育たない社員はなぜ育たない?

当社で過去に実施しましたお客様アンケートで「競争力強化」に続く経営課題として、上位にランキングされたのが、

  • 『社員教育』
  • 『従業員生産性向上』
  • 『接客・接遇』
  • 『有能な人材の採用』

といった社員に関する課題です。

では、なぜ社員に関する課題が、ここのところ上位にランキングされてきたのでしょうか?

相変わらず経営上の問題を自己責任とは考えず、上司や部下の所為に問題点を転嫁しようとする情けない人もいるとは思いますが、それとは別に時代の変化によって、企業の最大課題である「競争力強化」に「社員の質」が密接に関係してきていることがこの背景にあるのではないでしょうか?

人が競争力のポイントの時代

■ すぐれた機能やアイデアも、すぐに真似される

これまでの競争優位のポイントであった、価格や品質(製品の機能)・品揃え、そしてアイデアは、ITの進歩や市場成熟化によって、すぐに競合他社に真似されてしまい、一旦競争優位に立ってもすぐに陳腐化してしまうようになってきました。

その結果、現在差別化のポイントは、これまでの商品そのものよりも「企業文化や社員のモチベーションの高さ」というところにシフトしてきているように思えます。

これは、社員によって築き上げられたノウハウや企業文化は、競合他社がいくらそれを真似しようとしても、そう簡単に真似ることはできず、それが競合他社に対する「大きな差別化・競争優位」のポイントとなるからです。

■ 社内大学制度や改善タスクチーム

当社においても、パッケージ製品の機能を向上させても、他社はすぐに追随して、製品機能比較は、いつの時代も”いたちごっこ”になります。しかし、当社のお客様業界の業務改善ノウハウや短期導入のメソドロジー、そして課題解決型システム導入の考え方は、そう簡単には真似されませんので、社内大学や改善タスクチームにて、絶えずブラッシュアップして競争力を維持・強化しつづけています。

『良い企業は良い社員によって作られる』ということは言うまでもありません。「社員を育てる」ということは重要な経営課題であり、真似されない競争力のポイントであるといえます。

育たない理由1 : 任せないから育たない

■ 名選手、名監督にあらず

「名選手、名監督にあらず」という名言。これは企業の上司にもとてもよくあてはまる言葉だと思います。とても優秀だった方が上司になると、自分ができたことができない部下に対してイライラし、自分がやった方が早いと、すぐに仕事に手をだしてしまったり、自分が常識・自分が普通と自分を基準に考えてしまうため、部下のモチベーションも下がり、いつも上司の顔色をうかがって頼ってしまい、指示待ち人間になる。

逆に無能な人が上司になると、部下は上司に頼れないから、育つとも言われています。「無能な上司には優秀な部下が育つ」という言葉も一部ではあるくらいです。

■ 人を育てることのできる人を上司に

どうすれば部下が育ち、企業の競争力となる社員が育つのでしょうか?

解決方法としては人を育てることのできる人(無能なふりをして部下をじっと見守ることのできる人)を上司にすることだと思います。当たり前と思われるでしょうが、一般的に出世し上司になる人は、プレイヤーとして優秀な実績を上げた人が昇格するケースがほとんどです。人を育てることができる人ということで上司に昇格するケースは、あまりないと思いますし、教育して部下や社員が育ったら評価され、給料アップにつながるという会社もあまりないと思います。なぜなら、評価ベースは業績や成績であって、人を育ててということではないからです。

育たない理由2 : 部下を受け入れ認めないから

部下を育てるうえで、一番大切なことは、部下がどんな考え方であっても、まずはそれを一旦受け入れるということだと私は思います。たとえ自分の思いや考え方と違っていて、納得できないものであったとしても、部下には部下なりの考えがあるので、まずはそれを一旦受け入れること、そう”のりツッコミ”がとても重要だと思います。

そして、次に必要なのが部下を労い認めてあげることです。例えば、販促企画を考えさせた時に、部下が徹夜で考えてきたとします。しかし、内容はひどく貧困な企画であったとします。みなさんならどうされますか?多くの場合は、「こんなんでお客様が喜ぶと思うか!売れるわけないだろう!やり直し」という対応が多いと思います。

まだ育ってない部下は、こう言われたらどう思うでしょうか?徹夜でがんばったのに・・ 現在の草食系男子なら悔しくて泣いてしまうかもしれません。やる気をなくして辞めたくなるかもしれません。

こういったケースでも、私は頭ごなしに叱るのではなく、まずは労って認めてあげるべきだと思います。「よくがんばったな。徹夜して作ったんだって?でも、この企画はもう少し練り直さないとお客様は喜んでくれないな」と一旦認めてあげることです。仮にその企画書が50点だったとしても、その50点を認める。そして、翌日に60点となっていたら、その成長した10点をしっかり認める。この一旦受け入れ、そして認めるということをしないと、どんなに叱っても、褒めてもあまり効果はないと思います。逆に受け入れ、認める事ができると、部下のモチベーションはあがり、自ら勝手にどんどん成長していってくれると思います。

以上