やらなくていい仕事、無駄なことをやる人たち

やらなくていい仕事、無駄なことをやる人たち

上司や部下に「ムダなことやってるな」と思ったり、

自分自身の振り返りをすると「どうしてこんなムダなことしているんだろう」

 

そんなことを感じたことはないでしょうか。

今回は、ムダなことをやる人の特長と今後どんな人材が求められるのかをお伝えいたします。

一歩も引かない頑固者

一歩も引かない頑固者

では、ムダなことをやる方の特長をお伝えします。

■ どーでもいい仕事に固執する

小売業に限らず仕事をしていく上では、必ず新しい業務や新たなことへのチャレンジは発生します。変化が早く、お客様のニーズに応えなくては生き残れない今の時代は、特に新たなる仕事が多いもの。いち早くお客様の方向を向いて業務改善をしなければならないときに、「はぁっ?」と、どーでもいいことに固執する人をよく見かけるので、今回は事例を含め、ご紹介していきたいと思います。

 

例えば、売り場をお客様のニーズに合わせて、部門の壁をとって品揃えにするというような業務改善のケース。こんなときにも、どーでもいいことがさっそく発生しました。「このプランを言い出したのは販促部なんだから、そっちから申請を上げるのが筋」、「いやいやこれはそもそも商品部の仕事なんだから、そっちから申請をあげるべき」。こんなことにこの人たちは、お互い一歩も譲る姿勢を見せない。このような複数部署にまたがる仕事など、今後お客様ニーズに合わせたら、いくらでも出てくる仕事なのに・・・

 

そしてどっちかが折れて、やっと申請を上げても今度は、「この経費負担は商品部だ」 「この件は商品部がやるべき仕事だ」 「案内は誰に出して、○○部長には送るべきではない・・」等、まためちゃめちゃ固執し始める。思い当りませんか?よく見かけませんか?

これって、お客様に何の価値も生まない、ホント”どーでもいいこと”ではないでしょうか?当の本人たちは、いたって真剣で、めちゃくちゃ固執し、譲れないことかもしれないですが、客観的に見たら「まったく、時間がもったいない光景」にしか見えませんでした。

■ 仕事が止まり本末転倒になる

これらの固執が、業務改善の内容にならまだ良いですが、上記のように、完全に違う部分にこだわってしまっています。さっさと申請して業務改善にかかれば、売上も荒利も改善する、お客様も増える見込みがあるのに、妙なこだわりで申請すら進まず、業務が止まってしまい、業務改善が進捗しないのです。

やれ経費負担だ、誰が申請上げるんだ等、こんなことにこだわっても何も生まれないから、こだわるメリットが全くないです。ホント”どーでもいいこと”です。

 

どの会社にいっても必ず頑固者はいます。企業には組織の形のせいか、頑固というより、どーでもいいことに固執する人が多くいる気がします。 おそらく、その人たちにとってはどうでもよくない話ななんでしょうが・・ 傍から見たら、お客様から見たら、そのこだわる部分が妙であることに気づいてもらいたいものです。

今回は「どーでもいいことをする人たち」と題して、どーでもいいことをしてる場合ではない今の時代に、事例を通じて、しなくていい仕事や本来の小売業の業務の本質に迫っていきます。

そこっ?にこだわる上司たち

 そこっ?にこだわる上司たち

もしかしたら、あなたの周りにこんな上司はいないでしょうか。

■ やたらと細かい上司

企画や提案を上司も持っていったとき、またどーでもいいことに細かくこだわる人がいます。

上司には、本来その企画や提案が本当にお客様のニーズに応えられるか?自社の理念や方針に沿っているか?という本質的なことを見てもらいたいのに、誤字脱字や図の位置等の細かい点ばかりを指摘してくる。いませんか?

書類の綴じ方や、ホチキスの位置や角度にまで譲れないこだわりを持っている人たち。几帳面でとてもいいことなんですが、本質的な部分が飛んで、そういうところを重点とすることはどうなんでしょう?そして、こだわりはいいですが、その細かさを人に押し付けるのは問題だと思います。

 

他には、部下に聞かれたら「何か言わなければ、何か役に立つアドバイスをしなければ」と、存在価値を一生懸命出そうとする上司。これまた大きく本質からずれてます。そんな存在価値やプライドは、どーでもいいことであり、それを出すばかりに、かえって不要な仕事を部下に与えてしまう可能性すらあります。

■ 部下のモチベーションが上がらない

次に業務を実施するうえで、指示が細かすぎる上司もいます。

最初から最後まで細かい指示をしたがる上司は、部下を信用していないのではなく、細かく指示がしたくてしているケースが多いです。現代ビジネスにおいて、仮に現場にも出てない上司が、自分の経験に基づいて指示をしたら、おおよそうまくいきません(汗)。

そして、部下からしたら、何から何まで仕事の内容を上司から強いられるわけですから、そこに自主性はゼロです。自主性があってこそ仕事に対するやりがいがあり、自分で考え工夫して、結果が出せて、大きな満足感や達成感があるのにです。

 

あげくのはてに、「私が君くらいの年のときには、会社の命運を決める大きな仕事をして最優秀賞をもらった」等の自慢話を始め、部下ではなく自分をやたら称賛する。「俺もがんばったから、オマエもがんばれ」のつもりで言っているのかもしれないですが、これこそ部下のモチベーションも下げる、どーでもいい話です。

と言いながら、私も酒の場で散々部下に言っていた気がします・・(苦笑)

当時の私の部下のみなさんごめんなさいm(_ _)m

完全に本質からズレる人たち

完全に本質からズレる人たち

では、本質からズレるからはどんな方でしょうか。

■ どーでもいいことに議論が集中

ある企業の販売戦略会議で、私からみたらどーでもいいことで激論になったことがあります。

たしか・・ 新しい取引先との商品取り扱いを検討している際に、誰かが「この件は常務が絶対に反対する」と言い出しました。すると、販売戦略会議のテーマが見事に”常務をどう説得するか””誰が常務に言うか”に完全シフトされ、すごい激論会になったのです。

たしかに常務の説得は相当大変なことではありそうでしたが、販売戦略の主目的が”常務”になっていて、売上や荒利、お客様満足というところは完全にないがしろにされてしまい、私は客観的に、「それどーでもいいことじゃないかな?これでは売上も荒利も上がらないだろうな」と思ったことを今でも覚えています。

 

このように目的達成の過程で、想定される「どーでもいいこと」に思考がシフトしてしまい、本質を見失っているケースはよくみかけます。

このどーでもいいことを取り除くことができれば、上記の会議も短時間でポジティブな会議になるし、いたって単純化されるのです。スピードや変化が要求される現代ビジネスでは、このことがとても重要であると私は感じています。

■ 分かるの語源は”分ける”

上記のケースは本質からズレて、完全に目的を見失っています。

何かを考えるときには、本来の目的である「本質」と、その途中で起こる「どーでもいいこと」を切り分けるように意識しなければなりません。

どうして混在してしまうかというと、目的を見失い、出てきた目の前の問題に飛びついてしまうからです。

 

全体を見る俯瞰の目がなく、短絡的な対応をし始めると必ずこうなります。よって、本来の目的をベースに全体を見渡したうえで、問題を整理し、「本質」と「どーでもいいこと」を分ければ、どーでもいいことであることが簡単に分かると思います。”分かる”の語源は”分ける”という説があります。この説、正しい気がします。

やらなくてもいい仕事をする

やらなくてもいい仕事をする

日常の業務で、やらなくてもいい仕事をしている方も、いらっしゃいませんか?

■ どーでもいいことから始める

分けるついでに、仕事も3つに分けてみましょう!

① やらなくてはならない仕事
② やった方がいい仕事
③ やらなくてもいい仕事

 

このように分類すると、誰でも③は不要であると分かります。そして、効率よくスピード感を持って仕事をこなすには②も不要であることは分かりますよね?そう、①だけに集中して仕事をこなすという当たり前のこと。
これが意外とできな人が多いんです。

さー仕事を始めよう!といきなり机の整理整頓や、不要メールの削除から始めるというような、③→②→①の順番で仕事をする人が実に多い。

 

例えば、会社に企画書を早く出さなくてはいけないのに、

③まず机の上の整理整頓を始める
②見栄えのいい書式や画像をネットで探し始める
①企画内容を考え、作成し始める

みたいな・・

 

仕事以外でも、ダイエットを始めるとき、

③ 何が楽に痩せられるかを探し始め、来月からやろうとか明日からやろうとどーでもいい決意をする
② 形から入り、そのダイエット法に必要な道具やものを揃えだす
① そのダイエット法を実施する

結局始めても続かないし、②で終わる人も多くいる。通販でダイエット系のものを買った人には多いのでは?
私から言わせれば、③も②もいいから、とっとと食事減らして、運動しーや!と思います。
知らぬうちにどーでもいいことにパワーを使ってしまい、ある程度満足し、①の本質に入ったときには、③と②の満足感と疲労感でいい加減なことになる・・

 

上記のように、多くの人がまずは③やらなくていい仕事に手を付ける。そして次にやった方がいい仕事をする。

私はこのどーでもいいことから始める現象を「無駄から始める法則」と呼んでいます。

■ 仕事のスピードを上げるには?

仕事のスピードを上げなければならないとき、短絡的にその仕事そのもののスピードを上げることに注力してしまいがちですが、この仕事は何のためにするのか、誰のためにやるのか、どういう結果を求めているか等をベースに、仕事を上記の3つに分類し、②と③を完全排除することが、最もスピードが上がると私は確信しています。

 

「無駄から始める法則」が、身に覚えのある方は、どんな小さな仕事でもいいので、上記を試してみてください。
最初はこれでいいのか?という違和感があるかもしれませんが、劇的にスピードが上がります。おすすめです!

現代社会で重要なこと

現代社会で重要なこと

では、変化の激しい時代のなか、重要なことはなんでしょうか。

■ お客様にとってどーでもいいこと

これまで流通業が当たり前としてきた、製造業 → 卸売業 → 小売業 という流れは、製造する → 集荷する → 陳列する と各企業間の都合で仕事を分けてきました。

これは決してお客様の都合ではありません。ということは、お客様にとってこの流れは、どーでもいいこと。ひと昔前までは、ものが不足していたため、この企業側の都合に合わせてお客様はものを買うしかありませんでしたが、今はそうではありません。

ユニクロさんに代表されるSPA業態や製造元から直接購入できるネット通販が、お客様にとっての無駄を除き支持を得て業績を伸ばしているのはご存じの通りです。

 

お客様にとってどーでもいいことはまだあります。

企業は、当然自社の売上・利益を上げるということに注目をします。企業レベルに限らず、バイヤーでも店長でも、売上・利益を上げることがいつも頭にあるはずです。

しかし、お客様にとっては、企業が売上や利益を上げることなど、全くもってどーでもいいこと。

 

菓子のバイヤーは、どの商品を取り扱って、どう値付けして、どう陳列して、売上・利益を上げるかと考えますが、お客様は、そんなことはどーでもよく、全く別のことに関心事があるのは分かると思います。そう、「安いか」「美味しいか」「体にいいか」「好きか嫌いか」今はそういったところです。

この関心事のギャップが、流通業各社の苦しさを生んでいるのは間違いありません。

 

もの不足で手に入らない時代は、商品が欲しい!、その商品は当店で扱ってる!で基本売れます。

そう、売れるものを集め、どう売上・利益を上げるかの知恵を使えば企業は潤いました。そしてお客様との関心事とのズレもなかったんです。

しかし、今これをしていては、悲しいかな、お客様にそっぽを向かれてしまう時代になってしまいました。

■ 変化したお客様のニーズを知る

たしかにかつては、NB商品の売れ筋や死筋を把握してマーチャンダイジングを実施すれば、自ずと売上・利益は上がってくれました。

製造業は売れ筋商品をいかに効率よく作るか、卸売業は売れ筋商品をいかに効率よく流すか、小売業は死筋商品をカットして、売れ筋商品をいかに効率よく陳列するか、それだけを考えていれば商売を間違うことはありませんでした。

しかし、この方法だけを今実践してもジリ貧です。なぜなら、NBの売れ筋商品は今ではどの企業も把握できるので、必ず価格競争に陥り、利益がとれない代表選手となってしまうからです。

 

そして、企業側が、「苦労して手に入れた」、「利益がこんなに少ない」、「赤字で売っている」・・ これらはお客様にとって、どーでもいいことです。その売れ筋商品は、どこにでも売っているので、どこよりも安く買えるという関心事だけしか企業とマッチしないのです。だから企業は価格競争に打って出てしまう。

 

売れなくなると価格を下げたくなる気持ちは分かりますが、これがジリ貧の正体です。

よって、過去の延長線上で仕事をしていては苦しいだけです。現代社会では、お客様の関心事を知り、いかにニーズへ応えるか、そして、お客様の抱えている問題や悩み、不便をどう解決するかというところへシフトしなければなりません。ネット通販や大手小売業が、ビッグデータを駆使して、それを知ろうと投資しているのは周知のところです。

今、各社が知りたいお客様のその関心事は、現場と各社のシステム上のデータの中に落ちていると私は思います。あとはそれをどう引き出し、分析して、どう改革し、行動するかです。

 

【まとめ】やらなくていい仕事、無駄なことをやる人たち

今回は『やらなくていい仕事、無駄なことをやる人たち』というテーマで書かせていただきました。

現代社会は変化のスピードが早く、答えのない問題が多く出てくるようになりました。そんな時代に、どーでもいいことは、ますます無駄な象徴になっていくような気がします。

本編でも書いたように、過去の延長線上の仕事の方法では、やればやるほど無駄な力を使うことになりかねません。

今は一歩立ち止まって、どーでもいい仕事やお客様にとってどーでもいいことを消し去ることを、まずはした方がいいのかもしれません。そして、お客様や会社から必要とされる人や企業となることが最も求められていることではないでしょうか。

 

本ブログを執筆したのは、名古屋に本社を置く流通業に特化したシステムベンダー株式会社テスクです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。