小売基幹システムソリューションを選ぶ時、どこから手をつければいいの?

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小売基幹システムソリューションのうち、どこから手を付けていくべきか判断にお困りの方も多いと思います。しかしながら、事例をもとにいくつかの例を挙げて重点的に考えるべきポイントを明確にすることで、判断する材料が絞られてきます。基幹システムソリューションは課題に対して効果を発揮するべきものです。今回は、基幹システムソリューションについて重要な確認点について考えてみたいと思います。

小売基幹システムソリューションで解決すべき課題点

小売基幹システムソリューションは数が多く存在します。基本的には業態や業種、取り扱う商品や自社の体制、抱えている問題課題に合致したソリューションを選ぶことになりますが、一体どこから手を付けていくべきでしょうか。

例として以下に課題を8つあげてみます。

 

(1)商品マスター登録・廃番のコントロール
 ・商品のソーシング活動および品ぞろえの吟味
 ・売り場づくりの元となる商品の採用廃番判断

小売基幹システムにおいて非常に重要となります。(2)の発注とも関連し、効率よく実施することが可能であり、極力一元化されており、管理しやすいことが望まれます。特売や販促活動の実施をされている場合は、その計画的な運用とPOSシステムとの連携などが問題ないことが望ましいと言われています。

 

(2)発注
 ・発注において発注数量が適切でない
 ・発注タイミングが適切でない
 ・流通BMSなど直近のスタンダードに対応ができていない
 ・特売時の原価と発注単位などとの切替えが実施しにくい

 

(3)在庫管理・棚卸処理

 ■数量観点
 ・店/単品単位での在庫の管理
 ・他店在庫の照会と店間移動指示・返品作業

 ■金額観点
 ・在庫評価方法の正しい認識
 ・正確な棚卸作業 循環棚卸や棚卸自動調整

 

(4)店舗システムとの連携
 ・陳列効率化・棚割システム・商品改廃との連動・棚札・POP
 ・LSP
 ・POS
 ・売上会計

 

(5)販促活動
 ・チラシ特売 発注やPOSとの連動
 ・計画に基づく販促計画
 ・販促の効果測定

 

(6)支払・買掛
 ・仕入と連動した支払締
 ・支払対象とする伝票の制御
 ・支払額の確定とファームバンキングとの連動

 

(7)出店政策
 ・出店計画
 ・新規店舗の準備

 

(8)複数法人対応
 ・発注仕入支払買掛の複数法人対応
 ・法人間や店舗間の情報公開

 

一般的なものを簡単にあげるだけでも、いくつもの課題があげられるため、これが業種・業態・企業ごととなると当然ながらさらに多くの課題が存在します。また、チェーンストア志向なのか店舗に決定権をゆだねるのか、さらに業務立場的にどのポジション(たとえばバイヤーの方・店舗の方・物流担当の方など)からの視点で課題点を考えるのか等、考える軸はまだまだあるかと思われます。

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小売基幹システムのソリューションの開発・運用体制について(自社開発?他社委託?)

前述のような小売基幹システムの課題点に対して、体制の例をあげてみましょう。

  1. 自社内のリソースで開発運用して解決
  2. 業者に依頼して開発し自社運用もしくは業者運用して解決
  3. 対応したパッケージを導入し運用して解決

 

それぞれのメリットデメリットとしては以下のようなものになります。

 

1. 自社内のリソースで開発運用して解決

<メリット>
小回りが利きます。体制にもよりますが、一般的に効率よく仕様がまとまります。

<デメリット>
対応者が固定化されていたり、Excelやマクロ、ACCESSマクロを利用するケースがあり、属人化リスクが存在する場合があります。セキュリティ上の問題や技術的な問題が発生したり内部監査的に問題が発生することがあります。仕様のまとめまでは効率がよくても実装し運用するまでに時間を要するケースもあります。

 

2. 業者に依頼して開発し自社運用もしくは業者運用して解決

<メリット>
セキュリティ上の問題や技術的な問題は発生しないことが多いです。また、個別で対応し開発するため業務にフィットしたものができあがります。

<デメリット>
あくまで一般的にですが、コストや開発期間がかかります。運用支援も委託する場合、保守体制が十分でないケースに注意が必要です。

 

3. 対応したパッケージを導入し運用して解決

<メリット>
比較的短納期で実績のあるソリューションを実装可能です。自社リソースも1,2と比較すると取られることが少ないです。

<デメリット>
デメリットになるかどうかは企業によりますが、特化した処理に対してはパッケージの仕様に合わせて運用いただくか、カスタマイズして対応することになります。運用支援も委託する場合、委託先によっては保守体制が十分でないケースに注意が必要です。

 

もちろんメリットデメリットは上述したものだけではないですが、1つの目安としていただければと思います。また、小売基幹システムソリューションを委託する企業によっては、上記を複合することも可能な場合があります。

小売基幹システムのソリューションの重要確認点

上述のように、ソリューションを実現していく体制は重要ですが、計画を実現していくうえでさらに重要な確認点があります。ともすれば副次的なことに注力するあまり、認識がおろそかになる恐れがある内容のため、改めて記載しておきたいと思います。

 

小売基幹システムのソリューションと一言でいっても様々で、企業規模・導入体制・開発体制・保守体制など確認点は無数に存在しますし、ソリューションを実施していくうえでどのフェーズの何を担当するのかによっても確認点は異なってきます。あくまでも一般的なソリューション選択の重要確認点のうち、比較的多くの方があげる観点について以下に記載します。

 

(1)導入実績のあるソリューションの選択

多くの人があげる観点として導入実績があげられます。多くの経験を重ねることでベストプラクティスが構築できます。また、そのベストプラクティスをソリューションに適用し、さらにブラッシュアップすることができます。導入実績があるかないかはソリューション構築の成功率に大きな差を生み出します。

もちろん前人未踏のソリューションに手を付ける場合では仕方ないですが、基本的には過去に同じような課題にあたっているケースが多いため、課題への対応実績や導入実績があるソリューションを選択しましょう。1から構築するにしても、パッケージを利用するにしても導入実績は重要な要素となります。

 

(2)業務適合度の見直し

どれだけ実績があったとしても、自社の課題や運用に適合したソリューションでなければ効果が大きく減少します。特別な運用をしていないつもりでも、業界全体からみたら特殊であり、(無駄とはいいませんが)コストを使用していることもまあよくある話です。この際、特別な運用をカットすることを視野に入れるべきではありますが、全体的にシステムが業務と適合しているかどうかも必要です。

特に、1から構築する場合は業務に合わせて計画構築するので良しとすることもできますが、パッケージを利用する場合は、“その機能が業務内容に則しているのか?” “結果課題の解決につながるのか?” を検討討確認する必要があります。念のため再度課題に立ち返って本当に課題解決に繋がるのかどうかを確認しましょう。この際、自社はともかくとして、システム会社に委託する場合は、より専門性の高い業務に特化している企業の方がソリューション実現の確度が高いといわれています。

 

(3)フェーズごとの体制

ソリューション実現に向けて、計画・導入・運用・保守それぞれの段階での実現可能な体制は整えられるのか?は重要な要素となります。自社で実施するにしてもシステム会社に委託するにしても、フェーズ毎での得意・不得意は存在する可能性がありますので、必ず確認をしましょう。また、参加する方の業務知識・ソリューションョン内容の理解度、対応可能な技術範囲も必ず確認していただきたい項目です。

小売基幹システムソリューションを選ぶ時、どこから手をつければいいの?

それでは小売基幹システムソリューションのうちどこから手をつければよいのでしょうか?

置かれている状況にもよりますが、“複数法人対応”といったような会社としての根本的な仕組みが整備できていない場合、運用でカバーするのが厳しいため、優先的に取り組むことになります。ただし、社内での方向性やその合意などをある程度決めてから周囲を巻き込まないと長期化することになりますので注意が必要です。

多くの企業は生き残りのためM&Aなどにより規模を拡大しますが、元々の企業システムの差や発注統合が原因となり、マスターの統合をするのか?支払いはどうするべきなのか?といった観点で混乱を招くケースもあります。そのため、こうした課題に取り組んだ実績を持つシステム会社を選ぶ必要があります。

 

また、“棚卸をするたび逆ロスが発生する“とか、“週末を迎える際に店舗で棚が空いてしまっている“など、個別の課題感をお持ちの場合は、その中での対応優先順位や緊急度によって決定していくことになります。

個別の課題の中で優先的に取り組むべきなのは、”発注に関する課題“ ”商品マスターに関する課題“ です。小売業において発注は重要かつ基本となる業務であり、課題が解決されていないと他業務にも影響がでますので優先的に解決していく必要性があります。商品マスターについてもほぼ同義ですが、在庫や値入のコントロール他、多くの業務が商品マスターに関連します。部門ごとに最適化するため管理が統合できず本来かけなくてもよいコストが大きくなっている場合もあります。

小売基幹システムソリューションを選ぶ時、どこから手をつければいいの? まとめ

小売基幹システムのソリューション実現については、大きい規模の計画・導入・運用・保守になるほど、現実問題としてどこかのフェーズには必ずシステム会社が絡んでくると思われます。自社内でのソリューションを実現させる際にも上述のした内容は重要になりますが、システム会社を有効に活用するためにも、①課題・体制を明確化し、②ソリューションの実績があるのか?業務に適合しているのか?体制として成立しているのか?を確認し、③ソリューションを現実的にしていくことが、成功のカギであると考えます。体制を自社、システム会社の複合型にし、体制・役割分担を明確にした状態でトータルコストを比較し、検討していくことになるでしょう。トータルコストの考え方については別ブログで記載がありますのでここでは控えます。多くの方が納得している状態で小売基幹システムのソリューションを図れるよう、今回ご紹介した重要確認点をぜひ考慮してみてください。

 

 

2020/9/18