消費財向け販売管理システム クラウド利用とオンプレ運用を徹底比較

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卸売業 課題解決 

効率的で統制のとれた企業経営をする上で、ITを活用した業務システムは欠かせなくなってきています。特に取引先との取引内容を管理する販売管理は、会計処理をする上で正確な必要がありますし、監査統制面で徹底した管理を求められる重要な情報になります。また、IT化によったデータ管理によって多くの利点を得られます。例えば、データ化をすることで、営業的な販売傾向(商材・販売チャネル単位の売上・荒利・件数など)の分析がしやすくなり、営業戦略を策定するうえで大きく役立ちます。
現在、システムの構築方法として、大きくは、「ハードウェアやソフトウェア資源を自社設置するオンプレ運用型」 と 「システムベンダーの提供資源を利用するクラウド利用型(ASPサービス)」 の2ケースがあります。ご利用される企業様の中では、クラウドは高い、セキュリティが心配など色々な点を懸念していると思われます。今回、クラウド利用が企業にとって有益なものなのかどうか、オンプレ運用型との比較する形で解説を行います。

 

なぜ、消費財向け販売管理システムをクラウド化するのか?

最初に、なぜ販売管理システムをクラウド化する必要があるのかという根本的な点について整理します。Wikipediaなどで、クラウドコンピューティングサービスが本格的に提供されたのは1999年のセールスフォースぐらいからと言われてますが、当時はシステム機器の煩雑な運用から脱却したいという点が強調された高額なサービスでした。その後、2011年の東日本大震災の計画停電の対策などでも注目を浴び、2016年からクラウドサービスの利用動向も大幅に上昇しています。(※総務省 「情報通信白書(平成30年度版)」 より)

現時点では、提供から20年以上も経過し、運用上で懸念される障壁も少なくなってきています。インターネット回線のブロードバンド化(高速化・大容量化)の技術発展もその中の一つになります。また選択肢の一つとして各提供会社がしのぎを削ってきているため、ご利用企業様も選びやすくなってきているのが実情です。その実情をふまえて、クラウド検討における懸念事項とそのメリット・デメリットについて整理します。

クラウド利用とオンプレ運用の比較1 「クラウド利用は高いのか」

まずポイントとするのは、一番気になる費用面についてです。
オンプレ運用型の場合は、システムを自社設置するためにハードウェア・ソフトウェアを買い取って資産化し、償却していく形態を取るのが一般的な措置になります。クラウド利用型(ASPサービス)の場合は、サービス利用料を支払う形になります。ASPサービスはサブスクリプション方式で、昨今では牛角やすき屋での飲食チェーン店やトヨタ自動車(KINTO)などで馴染みのある定額料金サービスになります。オンプレ運用型の買取形式と異なり、初期構築時にハードウェアやソフトウェアなどの大きな機器の調達が不要になるため、スモールスタートができる形になります。

ここまでの説明では良い事づくめのような気がしますが、システムを構築する時に必要な機器がなくなる訳ではありません。クラウド提供ベンダーでハードウェアなどの資源を用意し、その費用がASPサービスとして付与されています。そのため、月額もしくは年額のランニングコストはクラウド利用型の方が高額になります。より企業様では、オンプレ運用型の償却期間(5年間や10年間など)の総額(TCO)でコスト比較をすることが多いです。

一般的にクラウド利用型については、4~5年間ぐらいで総額はオンプレ運用型より高額になるように見受けられます。各クラウド提供ベンダーも収益を上げる必要があるから、5年償却のハードウェア費用分+α(サービスコスト)が含まれているため、仕方ないです。そのため、5年総額では殆どのケースではクラウド利用型の方が、オンプレ運用より高額になります。

しかしながら、オンプレ運用の場合はハードウェア保守という消費期限があるため、延長保守を含めても7~8年目に再更新(買い替え)が必要となり、また大きな費用がかかります。その費用を考慮すると10年総額では、殆ど変わらない傾向です。但し、対象となるクラウドサービスが10年以上継続して使えるものなのかは確認ポイントになります。より、結論としてはクラウド利用もオンプレ運用も変わらないというのが概ねの見解になります。

補足ですが、税務上で多少違いがあります。あるていど大きなシステムである前提ですが、オンプレ運用型ではサーバなどの設備投資が必要となり、固定資産税の対象となります。クラウド利用型の場合は基本的にはサーバなどの設備投資は不要となるので、固定資産税が不要となるケースがあります。詳しくは経理担当の方と確認する必要がありますが、一つの考慮点にはなります。

クラウド利用とオンプレ運用の比較2 「安全性は高いのか」

次のポイントは安全性についてです。
販売管理システムでは、企業の取引データ(取引先情報、受注・発注情報など)の機密情報を保管しているので安全性は求められます。オンプレ運用型の場合は、自社設備(サーバルームなど)の閉鎖的な場所に保管するため、そのサーバが外部と接続していなければ、まず安心と考えられます。クラウド利用型の場合は、システムベンダーの提供する設備(アマゾンウェブサービス等のパブリッククラウド、ベンダー提供のホステッドプライベートクラウドなど)を利用してます。ベンダー提供のホステッドプライベートクラウドの場合は多くは専用設備のあるデータセンターにサーバを設置することが多いです。

パブリッククラウドもホステッドプライベートクラウド(データセンター)も安全性の相対的指標を示すため、ISO 27001などの国際基準に沿ったセキュリティ対策や日本データセンター協会の設備評価(格付け)を確認することにより、自社設置より強固なセキュリティかどうか確認することができます。昨今では、銀行などの金融機関や個人情報を扱っているB2C企業もクラウドサービスを利用しているので、信頼度は高いことも言えます。

 

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クラウド利用とオンプレ運用の比較3 「継続性はあるか」

次は継続性です。
販売管理などの基幹業務を管理するシステムがもし止まってしまいますと本業に支障がでて、取引先様との信頼を損なうことに繋がります。そのためシステム構築の際は、事業継続性(BCP)を考慮するのはとても重要です。では、システムが停止する原因はどのようなことがあるのでしょうか?

1点目としては、サーバ機器などのインフラ環境の障害があります。
オンプレ運用型の場合は、サーバや記憶装置(DISK)などの冗長化(2重化)、無停電装置(UPS)などの設置で担保する形になり、コストに沿った対策を行うことになります。クラウド利用型もサーバ機器の設備としては同じ対策と言えます。但し、各クラウド提供ベンダーではシステムの信頼性基準となるSLA(サービスレベルアグリメント)を設定してますので、ある程度の安心できる目安を持てます。つまり、オンプレ運用型は自社で調達して担保する。クラウド利用型は提供ベンダーに任せる。という解釈になります。

2点目は、サーバ機器以外の資源(OS、ミドルウェア、ソフトウェアなど)の障害があります。
こちらは、大雑把ですが、オンプレ運用型もクラウド提供型も大きくは変わらないです。どちらでも構成が同じならば一緒になるためです。また、長期利用できる点としては、OS・ミドルウェアなどのパッチやサポートにどれだけ対応できるかということことになります。特にWindowsサーバではセキュリティ対策のためのパッチ(Windows Update)が頻繁に発生しますので、その適用に対して保証しているのか、またOS自体のサポート保守が切れたら次のバージョンも利用できるのかということは確認しておきたい事項です。オンプレ運用型の場合は殆ど対応できず、再構築になります。クラウド利用型の場合はASPサービスであれば、基本的には次バージョンのOSでも利用できるはず、しかし移行費用が別途必要などの条件があるかもしれませんので、予めチェックしたおきたい点になります。

3点目は、災害になります。
昨今では特に台風や地震などの天災によって、洪水が起きたり、建屋の崩壊や電気通信機器の供給が停止されたりすることがあります。システム機器は電気がないと稼働できないですし、湿度や空調にもとてもデリケートです。基本的にこれらの対策としては、サーバ機器類を耐震性のある建屋に設置する、自家発電装置を備えるなど考えられる停止要因に応じた設備を整えておくことになります。オンプレ運用型の場合、自社設置では大掛かりな費用が生じしてしまいます。より一般的には設備のしっかりしたデータセンターにサーバ機器類を預かっていただく対応(ハウジング運用)を取ります。クラウド利用型も基本的には同等レベルの設備に用意しています。つまり、オンプレ運用型の場合、サーバ機器類をハウジング運用する対策を取れば同じになると言えます。

消費財向け販売管理システム クラウド利用とオンプレ運用を徹底比較  まとめ

費用面、安全面、継続性の3点について比較してきました。要約は以下になります。

1.費用面

5年以上の継続利用をするのであれば、オンプレ運用型もクラウド利用型も変わらない。

2.安全面

設備によっては、クラウド利用型の方が安全になる。但し、国際基準や設備評価などの相対的な指標を確認する必要がある。

3.継続性

サーバ機器やソフトウェアの面は、オンプレ運用型もクラウド利用型も同等である。但し、災害時の対策を考慮するとクラウド利用型の方が安心できる。

今回は、オンプレ運用型とクラウド利用型の2つの方式で比較してきました。記載した個々の内容については、販売管理という企業の重要な基幹業務システムを構築する上で、是非含めて頂きたい検討事項になります。ご参考にして頂ければ幸甚です。