小売業基幹システム再構築 ずれていく目的設定

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基幹システムを再構築しなければならない時、再構築にあたっての目的をどう設定するだろうか?

当初立てた目的からずれていくケースが意外に多い。ずれていかない目的設定について考えていきたい。

 

小売業基幹システム再構築のきっかけとなる出来事

基幹システムを再構築しなければならないときが往々にしてある。

様々な経緯から再構築をしなければならなくなるのだが、今回は再構築時に考えておきたいことについて触れていきたい。さて、再構築といっても、どういった経緯から再構築という話になったのかは本当にさまざまだ。ただ、よくあるケースというものは存在する。

システムを再構築するきっかけとなる事例として多いものを以下紹介しよう。

 

1.保守切れとともに見直しを入れるのは、実質最も多いパターン。

システムの内容や運用に問題・課題がない場合にも見直しとなる場合もある。ただし、現行システムの開発元や保守サービスを実施している会社がなんらかの理由でサポートができなくなっていたり、将来的なリスクを抱えている場合がある。

2.新しく課題が発生した場合。(例:センターを新規で設立するが仕組がない。既存システムとの連携が困難である。)

この場合は、基本新しい課題の解決が目標となり、再構築というよりアドオンとなる場合もあるが、再構築が必要な場合も相当数存在する。

3.システム担当者に属人的になってしまっている問題の対処がいよいよ必要になってきたパターン

誰も改修できずシステムが政策に追いつかなくなっている。もしくはシステム担当者が高齢であり、猶予期間が少ないといった場合である。

4.法令が変更

法令変更によるシステム変更が必須となるも、既存システムは対応していない。対応するとしてもサポートがない。もしくは高額な改修費がかかるためシステムを再構築する話がでる。

といったきっかけである。

もちろん、他のきっかけも多々存在するが上記のような理由により再構築を考えていくことになるケースが多く、概ねそういったきっかけからシステムを再構築することがシステム課題となり、これらの課題の解決が目的に含まれていくことになる。

 

小売業基幹システム再構築時に考えること

さて、再構築というからにはすでに既存で稼働しているシステムが存在していることが大前提である。いままで基幹システムが統合されておらず、今回新規で基幹システムを導入する場合、目的は、おのずと統合した基幹システムの稼働となり、十分な導入時の準備と現場の訓練があれば問題なくシステムを稼働させることができることが多いだろう。だが、システムを再構築する場合は、新システムの要件確定時に既存システムの固定観念に引っ張られるため要件がまとまりにくくなる。

既存システムの固定観念とは、長期にわたり業務で実施してきた内容について「これはやらなければならない」と必要性の是非を考えずに思い込むことである。システム要件として何が必要となるのかという本質より、「今これやっているから必要」という意識にひっぱられて本質が見えなくなってしまう。

 

小売業基幹システム再構築時に考えるべきこと

システムを再構築するときは、課題点が一斉に収集されるが、ユーザーの声を整理せずに聞けば、方向性さえ定まらず結局どのような決定にもっていけばよいのか不明な場合がある。そのため、課題点の一覧については項目ごとに整理をして、対応する優先順位や方向性を決定・合意しなければならない。

ここで重要となるのは、情報収集をしたうえで、システム再構築時に文字通り、システムや業務を上流の視点から「再構築」をすることである。なにを当たり前のことをと思われるかもしれないが、「やらなくすることを決める」もしくは、「置き換える業務を決める」ことが優先順位としては高い。なぜなら、システムが継続している間、業務やシステムの見直しはしにくく、システムを再構築する場合にしか「やらなくすることの説得力」は、他のタイミングに比べ低いからである。だが、実施している業務をやめることは、みなリスクを感じる。「ひょっとしたら見えてないところで必要なのでは?」と考えてしまい、結局やめられない…わけである。上流の視点をもって不要判断をした場合は、問題がないことが多いため、上流の視点で不要と判断できる方が判断するのが望ましい。さらに「やらなくすること」を決めなければ「新しく課題対応をすること」は導入できず、組み込めない場合も多い。

アプリケーション的な要件としては、現在モニタリングに意味が薄くなってしまった帳票や、それらの作成作業など存在するケースが多い。

また、ハードウェアや資源的にもシステム切替時は、現システムできめられた制約が多い。(時間制限・リソース制限・仕様制限など。特に時間制限は、現在インターフェイスする時間は、この時間に決まっていてそれによって周辺のインターフェイスも連続して稼働するなど動かないと思われていることが多い。)制約の条件にもよるが、システムの再構築時でないと、それらの制約が見直されることも少ないだろう。

これらは、業者からの提案時見直せるポイントがないかどうか改めて考慮すべきではないだろうか。

 

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小売業基幹システム再構築時 ずれていく目的設定

とはいえ再構築作業を進めていくうち、当初目的とは異なった手段変更や課題解決が目的となっている場合が現実的には多い。(例えば、再構築時にはインターフェイスを簡素化・軽量化して全体最適を目指す予定だったのが、これもあれもとインターフェイスが増えてシステムが複雑化・重量化してしまうような場合である。)このとき意識すべきなのは、現行業務を継続実施できるかということではなく、現行業務の目的が当初何だったのか、という真の目的を想起し、現在必要な処置であるかを検討することである。今やっていることができなくなるのはダメという局所的な話から、現行業務で実施していることが再構築後も実施できることとして、課題や目的として設定されてしまうが、基幹システムの再構築で意味もないタスクを増やすことにつながる場合がある。必要なのは、業務を現在の視点から見つめなおし、本当に必要な課題をとりあげ不要なものを排除することであり重要な目的となる。

いままでの業務+新課題ではどんどん作業が多くなり、現場の負担は重くなり精度も下がる。再構築時は、本当に必要な目的から文字通り再構築して置き換えるか外すことをしていかないと、本来新たに対応しなくてはいけない課題への取り組みが不本意な取り組みになってしまう。もちろん、再構築時は改めて業務の再定義や、インターフェイス先の調整、その他、部署間の調整なども発生するため簡単ではない。

だが、再構築時でないと実施できない見つめなおし作業であることも確かである。見つめなおした結果、本来的な改革につながることも少なくない。新たな課題解決への取り組みのためにも再構築時には新たに業務の見直し、撤廃も視野にいれてはどうだろうか?

 

効果的な再構築とは?

ではなぜ、現実的には再構築がうまくいかないのだろうか。

関連する部署や、取引先、相手先との調整に手間がかかってしまったり、法改正の場合など、やむを得ず追加で考えざるを得ないような場合があるからであると推測される。再構築時の残された時間、コスト、人的関係などにより調整しきれない場合もあるとは思われる。

しかし、そもそも「再構築」するきっかけとなる経緯の課題は解決しなくてはならず、それに伴い業務の見直しに必要な時間、コストも準備は必要なはずなので、計画的に再構築作業を進められるよう日頃から課題を認識し、解決策を模索しておく意識を持つべきである。「再構築」の計画が実行される時には意識しておいた課題などを踏まえたうえで「再構築」の目的設定から考えてみるべきであろう。

効果的な基幹システム再構築のため準備は万全としておきたい。

2020/12/11