消費税増税でどうなる?小売業

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小売業と軽減税率 

今できることもいっぱいあるのに、やらないと死活問題に・・・

2014年4月に予定する消費税率引き上げ時期が、いよいよ迫ってきました。政府見解はまだ決まっていないため半数以上の小売業がまだ何もしていないという状況です。しかし、この増税により・・

  • POP、棚札等の価格表示方法の決定
  • 駆け込み需要対策
  • 税率アップ後の需要ダウン対策
  • 情報システムの変更対応
  • レジ、計量器の税取扱い方針、設定変更
  • 取引先との商談方針
  • 実績管理の方針と過去データの取り扱い
  • それらに伴う準備、実行、管理

等々、ちょっと考えただけでも、多くの決めることややることがでてきます。投資効果も生まない投資になる部分が多いので小売業にとって腹立たしい限りですが、この対応を怠れば死活問題にもなりかねません。

今から無駄にならずやれることも多いはず。のんびりしている小売業各社のためにも、今回消費税増税に関するレポートをしてみます。

消費税増税なぜ決められない?

■ 消費税増税なかなか決定しない理由

政府の定めた法律では、2014年4月に8%、2015年10月に10%を消費税率を上げると元々決定しています。しかし、あと半年しかない現在でも、最終GOサインを出していません。既に決まっている法律なのだから、上げるならさっさと決めてしまえばいいものを、上げたくない事情でもあるのでしょうか?

現在アベノミクス効果で経済成長して、なんと税収は増えています。消費税増税して、さらに税収が増えればいいですが、増税により景気が低迷し、税収そのものが落ちてしまっては本末転倒です。そっとしとけばいいものを、増税で景気が落ちて→アベノミクス失敗→支持率低下ということも考えられます。なかなか踏み込めない理由はそういったところにあるのではないか?と私は思っています。

 ■ 結局いつからどうなる消費税?

ではいったいどうなるのか?私は兼ねてから、2014年の増税は延期され、15年に一気に10%という予想をしていましたが、ここにきて毎年1%ずつ上げていくプランや、まずは7%にして、その後毎年1%ずつ上げていくというプランも出て、さらに東京オリンピック開催決定、4~6月期のGDP上方修正と、来年4月に増税決定に追い風が吹いてきた感じです。いずれにしろ、対応を迫られる小売業にとっては、上げるなら10月1日には本当に決めてもらわないと右往左往してしまい、どうにもなりません。

消費税増税対応への道のり ~想定される作業とは?

■ 3%→5%の時は大した対応はいらなかったのに・・

私の記憶では3%から5%に消費増税した時は、運用・システム変更ともに、さほど混乱はなかったと記憶しています。なのになぜ今回は何かと大騒ぎしてるのでしょうか?

それは、5%への増税のあと、総額表示の義務付けということがあり、現在ほとんどの小売業が総額表示になっているからです。

今回の増税で総額表示のままですと、値上げに見えたり、他社と比較して割高に見えることとなります。そして、2017年3月までの時限措置で本体価格表示のみが許されていることから、総額表示から本体価格表示や併記表示を選択する企業がかなり多いと予想できます。総額表示をやめ、本体価格表示や外税対応するということは、レジからPOP、棚札、情報システムにいたるまで、全ての変更や運用・対応が余儀なくされるため、5%の時と違い大騒ぎになっているのです。

 ■ 想定される作業とは?

では、増税に向け何をしていかなければならないのでしょうか?

  • 現行業務の調査(部門別価格表示方法、POP等の表示、取引先との取引方法、価格政策など)
  • 現行システムの調査(商品マスタ改廃、変更対象システム、変更範囲、コスト、期間など)
  • 価格表示方法、外税・内税方式の方針検討、決定
  • 価格政策(末尾価格を本体でやるか総額でやるか)の検討、決定
  • 取引運用の決定(対お客様の返品運用、対取引先関係)
  • POSメーカーやシステムベンダーへ変更・改修依頼
  • 商品マスターメンテナンス(総額→本体価格)
  • 棚札、POP貼り換え方法の検討、決定
  • 増税に関せするお客様対応含め社内教育の実施
  • 変更・改修システムの検証
  • 新税率切替作業(システム置換え、棚札貼り換え、POP付け替えなど)

大まかですが、かなりの作業の発生が予想されます。政府方針決定前でもできることはいくらでもあります。決まってから動いたり、日本人特有の他社がどうするかを待っているのでは、手遅れになる可能性がありますので、できることから早めに動くことをおすすめします。

どうする価格表示 ~小売業各社の声は?

■ 本体価格表示(外税表示)が大半をしめそう・・

日本経済新聞の調査によると、現段階で70%の企業が
総額表示をやめ、本体価格のみ、または併記(本体+総額、
本体+税抜表記)に切り替える方針を出しているとのことです。
当社の調べでも半数以上は、同様に本体価格表示で、残り半
数はまだ決まっていないという状況で、総額表示のままで行く
という企業はほとんどありません。
※当社調査は、SM・Drg・HCで実施。専門店・衣料品チェーンは含まれていません。

■ 末尾価格政策も本体価格で

末尾価格政策(末尾8、9円)に関しても、本体価格での実施が大半をしめそうな傾向にあります。まだ決めてない企業も多いようですが、本体価格表示にするからには、そうなっていく傾向でしょう。

■ POPや棚札は併記の傾向が強い

POP、棚札に関しては、

  • 本体価格+”税抜” という漢字表記
  • 本体価格+総額表示

が、70%程度と多い傾向にあります。

本体価格のみの表示(2017年3月までの時限措置)
という企業も30%程度あるのも注目です。
※当社調査は、SM・Drg・HCで実施。専門店・衣料品チェーンは含まれていません。

 

軽減税率の導入で何がおこるか?

 ■ 軽減税率が導入されたらどんな影響が?

軽減税率(日常必需品や食品等には税率をかけない or 低くする)が実施されたら、量販店小売業にとって、どんな影響がでるのでしょうか?ひとつは、該当商品を含む全体の売上アップという喜ばしい現象。もう一つはシステムの変更対応や事務作業増で、結構なコストが出ていくことだと予想できます。

■ ヨーロッパでは外食産業が低迷傾向に・・

なぜ私が売上アップを予想したかというと、例えば、消費税率25%のスウェーデンでは、スーパーで購入する食品等には課税されず、外食には課税されるため、外食をする人がかなり少なく、家で食事をする人が圧倒的に多い傾向になったからです。日本でも同様の現象は予想されますので、きっと日常必需品を扱う量販店小売業は、売上がアップするでしょう。反面外食産業は大きな打撃を受ける可能性が高いと思われます。

■ システム変更は、法律次第で大きな変更に・・

軽減税率ともなれば、最終的には単品単位で税率を持たなければならないので、システム関連の変更は必至でしょう。商品マスターを持つシステム(POS,、計量器、MDシステム等々)は、場合によっては大幅な変更になります。

すでに軽減税率を想定しているシステムであれば変更は少なくて済むかもしれませが・・

  • 5%しか設定できないシステム
  • 年度毎しか消費税が設定できないシステム
  • 会計期間に1つしか税率設定がもできないシステム

というシステムも、まだまだあると聞きます。

最も多いのは、

  • 部門や分類単位でしか税率設定できないシステム

と思いますが、軽減税率のかけ方によっては変更を余儀なくされる可能性が極めて高くなります。

 

 

今回は、消費税増税で起きることをレポートしてみました。

法律が決まらなければ、手が付けられないとか、他社がどうするか様子見とか、やらない理由を述べてる小売業のみなさん。既に棚札を外税表示に変えたり、本体価格戦略を練って対応をはじめたりしている企業もいらっしゃいます。

方針は今でも決められますし、できることから始めることもできると思います。システム関連など、対応する業者は一斉にオーダーが入り、消費税増税の4月稼働をみなさんが希望するため、対応できないケースも考えられます。

始められるところから始めることをおすすめします。

 2013/9/25