情報分析システムで効果がでない理由

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”高価”な情報分析システムを導入しても”効果”がでないのは何故?

■ 現在では高性能・ビッグデータを楽々検索できる性能

現在では、ほとんどの小売業が情報分析システムを何らかの形で導入しているのではないでしょうか?20年前には単品のデータがとれるだけでも画期的なことでありましたが、現在では、レシートレベルの詳細データに、お客様IDを含め、どんなシーンで購入したかまでもが取得でき、それらビッグデータを瞬時に取り出すことができるほど、検索マシーンや分析ツールも進化しました。

■ 宝の持ち腐れ・・

しかし、技術の進歩の一方で、情報分析を利用して圧倒的効果があがったという声が少ないと私は感じています。むしろ、高額のデータベース検索マシーンや検索エンジンを購入したにも関わらず、効果が上がってないところが非常に多いと感じています。

それは何故か?

そこには単純な理由がありました。今回はそんな効果のでない理由を、事例とともにご紹介していきます。

”分析する”は、実は何の意味も持たない

■ 典型的な ”分析して” ”行動しない” というパターン

これまで私は数多くの企業での情報分析システムの利用方法をみてきましたが、効果のあがらない典型として「データを見てるだけ」というケースがあげられます。マーチャンダイジング、マーケティングにいかすべき分析データを、日報や月報、計画対比や目標達成率と同じ感覚で見ているため、結果を確認しているだけにとどまるケースが実に多く見受けられます。

また一生懸命ご自身でデータを加工して、データをこねくり回して徹底的に分析をして、「やっぱりそうか」「こんな傾向なんだ」と、分析したことに満足してしまい、次のアクションにつながらないケース。

もうお分かりかと思いますが、”分析する”ことや”知っている”ことには、実は何の意味もありません。重要なのは、その分析結果に基づいて”やってるか?” ”行動してるか?” です。行動が伴わないのであれば、分析すること自体、時間の無駄であり、罪だと私は思います。

 ■ 否が応でも行動するしくみづくり

では、効果の出ている企業は何が違うのか?もちろん行動をおこしているというところではありますが、行動をおこすために、新たに部署をつくった事例があります。データ分析そのものと、PDCA(Plan Do Check Action)の組立てが業務になっている部署を創設した例です。いわばデータ分析して、次の戦略を考え、結果を検証し、与えられた目標数字を達成することだけが仕事の部署があるということです。

多くの企業がMDやバイヤーと呼ばれる人が兼任で分析業務もしていますが、それでは行動になかなか移せないため、PDCAを回し結果を出すことだけを仕事にする部署をつくり、否が応でも行動するしくみをつくり上げたわけです。

例えば、買上点数を上げるための関連商品販売を考案し、実験店舗で実施する。そしてデータを分析し、結果がでなければ中止し、次の戦略を練る。結果が出れば類似店舗展開から全店展開するといった具合です。最終的に結果はついてくるので、その部署のコストぐらい、すぐPAYできると聞いた覚えがあります。

名将の落合監督の言葉を見習うと結果がでる?

 ■ 基本に忠実にレベルアップすれば

2004年に中日ドラゴンズに就任した落合監督が、就任1年目にトレードや選手補強を一切せずに、「現行戦力で十分。野球は、投げて・打って・走って・守るこの4つ。これを基本に忠実にレベルアップしていくだけ」「そして全員のレベルを10%底上げすれば必ず優勝できる」と言って、本当に1年目で選手補強なしで優勝を成し遂げました。その後、8年間Aクラス・5度の日本シリーズ進出という途轍もない成績を残されたのは、周知のところです。

それとは違うと言われそうですが、私は小売業も、仕入れて・加工して・並べて・買っていただく。の4つを基本にお客様思考で忠実にレベルアップしていけば、好結果が生まれるのは間違いないと信じています。

■ 4つの基本の忠実なレベルアップとは?

例えば・・

  • お客様に価値のある商品を”頭を使って”適正な数量発注し、仕入れられるようレベルアップ
  • お客様が必要とするタイミングに必要な量だけ加工・提供できるようにレベルアップ
  • 本当におすすめする商品を中心にフェイスを確保し、基本通り陳列できるようにレベルアップ
  • おすすめする理由を分かりやすくPOPに書いたり、接客して買っていただけるようレベルアップ

当たり前だと思うでしょうが、この当たり前を忠実にレベルアップしているいる企業がどのくらいあるでしょうか?ちなみに私はほとんど知りません。思いつきや、他社のテクニックやマーケティングの真似、IT業界に勧められるがままに導入した分析システムに頼ってるところは多くありますが・・

お客様のこころを知るところから

■ 分析テクニックよりもお客様のこころを知ること

「データをどうやって分析すればいいか?」「他社はどういう視点で分析をしてるのか?」と、よく聞かれます。多くのMDさんやバイヤーさんは、他社で成功した分析テクニックをとても知りたがります。

けっして間違いではないと思いますし、有益な情報だとは思いますが、これにはいつも疑問を感じます。

それは何故か?

各々の企業には理念があり、ターゲットとしているお客様層や力をいれている商品、接遇方法等があると思います。他社や他人の実践した分析のテクニックを模索し単純に真似をしても、まずうまく行きません。テクニックの真似をすることよりももっと重要になるのは、そのテクニックの裏側にある本質、すなわちお客様の心を知ることであるからです。

お客様がどうしたら喜ぶか?何に反応されるか?どうしたら価格以上の価値を感じるか?等をデータを使って考え、そして実践して、その結果がどうであったかをデータで分析する。 その大前提で、細かいテクニックを勉強、研究しながら、独自の分析手法に磨きをかけることが順序ではないでしょうか。

売れ筋・稼ぎ筋商品は作り出すもの

■ やはり自己都合が先行して、お客様はおきざり

データを分析して、本当にそれをいかしているのでしょうか?私はこれまで、多くの商談内容やバイヤーさんたちのお話しを聞いてきましたが、新商品や季節商品の入替時に、メーカーや問屋さんの営業の言われるがままに市場での売れ筋商品を信じて仕入れる方が実に多いと感じました。メーカーさんや問屋さんのいう売れ筋商品は、各社の取扱いの中での売れ筋商品であり、売り込みたい商品です。それを信じてどうするのでしょうか?それならまだしも、イベントやPOPまで用意してくれるメーカーや問屋さんの商品の方をついつい買ってしまうケースもよくあります。完全にお客様の心理はおきざり、自分の楽を選んでいます。データ分析の結果は、いったいどこへ行っていまったのでしょうか?

 ■ 真の売れ筋商品を作り出す

お客様の心理を考え、お客様の生活シーンや笑顔を思い浮かべ、本当におすすめする商品を、その理由をPOPに書いたり、接客で伝え、そして買っていただける・リピートする商品が本当の売れ筋商品であると私は考えています。そのような商品は、大々的に店内・店外構わずプロモーションしてもいいと思います。

その結果を分析して、買っていただけないのであれば、お客様の心理が分かっていなかったか、プロモーション・マーケティングのしかたが悪かったかのどちらかでしょう。逆に多く買っていただけたのであれば、貴社の真の売れ筋商品ではないでしょうか?

こういう結果を分析するのに、ビッグデータはいりませんし、高速検索エンジンも実はいりません。簡単な分析でも、十分売れ筋商品を作り出すことはできるのです。

今回は、『情報分析で効果がでない理由』というテーマで書かせていただきました。

情報分析システムで効果を出すための大前提は、高性能な検索ツールでも、ビッグデータを処理できるマシーンでもなく、意思決定をするための道具として利用することであり、その決定事項をアクションして、検証し、次の意思決定をしてこそ、はじめて効果がでると思います。

決して高価な情報分析システムが悪いと言っているわけではありません。効果が出るのであれば、他社には真似ができないと思いますので、絶対おすすめです。ただ、情報分析システムで出てきたデータを見てから何をするかを考えるのは絶対におすすめできません。情報分析システムは、目的を達成するための道具です。売上を上げる、荒利を上げる、無駄を減らす、販促効果を上げるといったところに使っていただきたいと思います。

 2013/12/25