小売業が基幹システムの入れ替えに失敗しない3つのポイント

小売業が基幹システムの入れ替えに失敗しない3つのポイント

コロナ禍の世界的人流低下とウクライナ戦争は、流通業界にも激変をもたらしました。

表立ってはいませんが、以前にも増した業績を達成した企業は相当数あります。

 

しかし、山あれば谷有るのが世の常なので、好むと好まざるとに関わらず『弱肉強食』社会の加速が容易に予測できます。

別の表現をすると『優勝劣敗』なので、勝者となるには流通業界において他社に“優”れ、世の流れの半歩先を行く事業変革を成し遂げなければならないのではないでしょうか。

 

この事業変革の施策が数あるなかで、基幹システムの入れ替えも上位にランクされます。

基幹システムの入れ替えに失敗しない重要なポイントを3つに絞って解説し、事業変革を推進する知見をお教えします。

 

基幹システムの入れ替えに失敗しない期間は?

基幹システムの入れ替えに失敗しない期間は?

Q:基幹システムの入れ替えは、導入する会社にとっての一大事ですから、導入する会社における基幹システム入れ替えの企画は、最高レベルの意思決定プロセスによる承認が必要です。

高レベルの意思決定には、論理的かつ現実的な稼働時期と検討・選定・開発に要する期間の記述が不可欠です。

そこで、論理的かつ現実的な期間はどのように考えれば良いのでしょうか?

 

A:必要な期間を確保せず、非論理的かつ非現実的なゴールに設定した多くは、失敗しています。

基幹システムの入れ替えには多種多様なアプローチ方法があり、採用企業はシステム提供システムベンダーに対して情報提供や製品・サービスの紹介を依頼しているにもかかわらず、稼働時期のアドバイスを尊重せず無理なゴールを強いるケースがあります。

 

察するに、旧基幹システムの老朽化等切羽詰まった状態で検討するからなのでしょう。

しかし、作る側の意見を尊重せず決めるのは無謀なのです。

ですから、選定候補のシステムベンダーから事例を基にした期間の提示を入手し、入れ替え期間を想定しなければならないのです。

 

Q:具体的にどれくらいの期間を想定すれば良いのでしょう?

A:一般論として流通業の基幹システムを例にすると、1.5-2年といったところでしょう。

 

Q:1.5-2年とはずいぶん長期であり幅がありますが、理由はなんですか?

 

A:基幹システム入れ替え時は、企画と稟議、提案要求書の作成とシステムベンダーからの提案内容の検討、提案選定と選定結果の承認。

さらに、機能要件や非機能要件の精査と関連部署の確認、システムベンダーの構築期間と中間報告の承認、サービスインといった工程を経ます。

 

関連システムと連携する場合には関連システム側の構築にコストと期間を要する場合があることも想定してください。

本記事では、複雑にしないよう連携は無いと想定します。

 

企画と稟議(導入会社作業)1-2か月」、「提案要求書の作成とシステムベンダーからの提案内容の検討(導入会社作業とシステムベンダー)2-3か月」、「提案選定と選定結果の承認(導入会社作業とシステムベンダー)3-5か月」、「機能要件や非機能要件の精査と関連部署の確認(導入会社作業とシステムベンダー)3-6か月」、「システムベンダーの構築期間と中間報告の承認(主にシステムベンダー)12ヶ月前後」を想定すれば良いでしょう。

 

もちろん、システムやシステムベンダーの規模にもよりますが、合計すると21-28ヶ月です。

並行して実施可能な部分があるので、全体ではおおむね18-24ヶ月ではないでしょうか。

 

導入会社が見込む期間は希望的観測により短めになりがちなので、採用候補システムベンダーと協議しながら決めないと無理がたたって失敗するのです。

また、採用候補システムベンダーが複数社の場合には足して2で割るのではなく、とりあえずは長い方で考えればよいでしょう。

基幹システムの入れ替えに失敗しない費用は?

基幹システムの入れ替えに失敗しない費用は?

Q:基幹システムの入れ替えには多額の費用が必要だと考えていますが、導入する会社が実施する諸作業に要する人的コストを除いて、ハードウェアやシステムに支払う費用の予算規模はどれくらいが妥当なのでしょう?

 

A:基幹システムの入れ替えと言っても、旧システムで利用している機器や基幹システム以外のソフトを全て入れ替える必要が無いだけではなく、新規に購入する機器やソフトの購入先を一本化するか分散するかにより大きく変動します。

また、オンプレミスかクラウドの選択もあるので、初期費用だけを考えると失敗します。

 

Q:基幹の入れ替えに、費用面で留意する点はなんでしょうか?

 

A:情報機器やソフトウェアの償却期間はおおむね5年ですし、必要資金をリースで賄う場合も5年とするケースが多いので、5年間のキャッシュアウト(クラウドや保守料等を含めた)総額を計算するようにすると良いでしょう。

 

Q:具体的な金額を知りたいのですが?

 

A:かなり難しい質問です。

過去の経験から推察すると、数百万円では少なすぎますし、二桁の億円では高すぎるくらいとしか返答できないです。

 

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基幹システムの入れ替えに失敗しない推進役は?

基幹システムの入れ替えに失敗しない推進役は?

Q:基幹システムの入れ替えを推進するのはシステム部門であると理解していますし、今まではシステム部門以外のメンバーはシステム部員の依頼に対応をしただけです。

今後もシステム部門の推進で良いのでしょうか?

 

A:今日では、業務の大半に基幹システムが関連するようになっているので、基幹システムの対応範囲が狭い時と同様の推進体制では失敗するケースが増えています。

システム部門やシステム部員だけに推進を委ねるのは賢明ではありません。

 

Q:では、基幹システム入れ替えは、どのように推進すれば良いのでしょうか?

 

A:基幹システムは、全部門の業務課題解決や作業工数の削減に貢献します。

つまり、関係者は全部門に跨るので、全部門を対象にしたプロジェクトを立ち上げて、トップマネジメントを含む全部門からメンバーを選抜したプロジェクト・チームを組織し基幹システム入れ替えを推進してもらいます。

 

全部門からメンバーを集めれば、各部門の要望や課題の洗い出しに役立つのみならず、所属部門への情報伝達や導入や操作等指導に貢献してもらえるので、失敗を防止するためにも大いに役立ちます。

 

基幹システムの入れ替え~まとめ~

今回、「基幹システムの入れ替えに失敗しない3つのポイント」というテーマで執筆しました。

基幹システムはシステム規模が大きいので、新機能の需要に対してリスクを低く抑えるために仕様追加を継続するケースが多いのです。

 

その結果として、基幹システムはスパゲッティ状態になり、社員の新陳代謝も相まってブラックボックス化し、全体を理解するメンバーが居なくなり極度に保守性が低下します。

 

更には、古いシステムを引きずっているので古臭い黒緑(くろみどり)画面のCUI(マウスを使えない文字ベース操作)が残っていて、GUI(グラフィカルな画面をマウスの様なポインティング・デバイスを利用した操作)に慣れ親しんでいる若手社員への操作教育に、多大な時間を要してしまいます。

 

このような内的要因以外に、法令の変化による事務処理内容の大幅な変化、人手不足に端を発した人員削減ニーズに対する操作生産性の向上課題、社会情勢の変化に対応した機能装備といった外的要因も加わると、今やマイグレーションの様なシステムや機能の移行では企業存続に差しさわります。

 

つまり、基幹システムを入れ替えるリスクより入れ替えない企業リスクが上回っていると考えなければなりません。

基幹システムは入れ替えることが企業戦略にとって重要になっているので、本記事を参考にして頂いて失敗しないことを願って止みません。

 

本記事を執筆したのは、名古屋に本社を置く株式会社テスクです。

流通業向けの基幹システム入れ替えに強みがあり、小売業には400社以上、卸売業・メーカー様には200社以上の導入実績があります。

 

小売業の基幹システム入れ替えを検討の方はCHAINS Z、卸売業・メーカーはGROWBS Ⅲ」の製品ガイドブックを一度ご覧ください。