【スーパーマーケット改善事例】”人海戦術”を”少数精鋭”に変えて課題克服を実現

【スーパーマーケット改善事例】"人海戦術"を"少数精鋭"に変えて課題克服を実現

日本で常態化した30年間のデフレは、世界第2位経済大国からの転落と来日観光客から「なんでも安価な日本」との評価をもたらしましたが、好むと好まざるとに関わらず、デフレからの離脱は避け得なくなりました。

しばらく前から、スーパーマーケットは生活者の好み多様化に対応し、一品大量の見直しと、多品種少量へシフトをすべきとの風潮が実しやかに語られています。

しかし、以前からスーパーマーケットの商品は、必要な品質であれば安値が大衆(=生活者の8割)には歓迎されました。
ましてや、急激にモノの値段が上がるインフレ下では安価へのニーズが一層高まります。

方で、安価ビジネスを継続するには“儲かる仕組み”言い換えれば、コスト削減と効率向上のレベルアップが欠かせません。
今回は、スーパーマーケットにおける『人海戦術』を『少数精鋭』に変えた業務改善事例から、コスト削減と効率向上の方法を提言します。

業務(作業)システム改善事例にみる効果

業務(作業)システム改善事例にみる効果

スーパーマーケットの多くは、2桁以上の店舗で営業活動するチェーンストアです。

本部やセンターの業務は1回実行すれば良いのですが、店舗の業務は店舗毎に同じ作業を店舗毎の担当者が実行するので店舗数分の同じ仕事=人海戦術をしています。

量的な課題にも増して、店舗では実施する作業者が違うので、完了までに要する時間や仕事のレベルに格差が出てしまいます。

つまり、可能な限り店舗における業務を減らさなければ『人海戦術』を『少数精鋭』に変えるのは不可能です。

店舗業務削減の具体的な改善事例は、商品管理関連業務の本部への集中や在庫型物流センター(=DC)、通過型物流センター(=TC)、加工センター(=PC)の設置と活用に他なりません。

また、設置するだけでは無く本部やセンター機能を極限まで拡大して、店舗で実施しなければならない業務を極限まで削減します。

本部やセンターの業務エキスパートに集中化すれば、店舗数分の人数の配置が不要=少数精鋭になります。

この様に提言すると、店舗における作業を継続している企業は総菜の出来立て熱々提供と販売を例にしますが、生活者が購買して持ち帰り、食卓に並ぶ時には冷めているのが現実です。

 

つまり、大半の顧客にとっては意味のないサービスなのです。高度なPC運用の改善事例では、高度な知識を持つPC技術者が高価な什器を利用して冷めても美味しい商材を開発して提供しています。

この事例の店舗では加熱と組み合わせと包装作業等の単純作業に限定するので、時給単価の安い作業者でも高いレベルの商品提供ができてしまうのです。

更に、単純な作業は1日分の作業を纏めて実行できるので、前作業と後作業の回数が減り、総時間数が減少し生産性がアップします。

ロジスティックをスーパーマーケットがコーディネートする時が来た

ロジスティックをスーパーマーケットがコーディネートする時が来た

スーパーマーケットでロジスティックが語られる際には、センターから店舗への配送が主であり、精々お取引先からの運送が話題に上るのが関の山です。

ところが、商品が店頭に並ぶまでには、メーカーからベンダー、ベンダーからセンター、センターから店舗バックヤード(BY)、店舗BYから店頭と4回の移送があるのです。

そして、商品の種類に違いはありますが、売価の10-30%がロジスティック・コストと言われます。

ディスカウンティングを目指すチェーンストアのマーチャンダイザーは、LB(ローカルブランド)、SB(ストアブランド)やPB(プライベートブランド)の開発では原料や生産に関するコストには細部に亘る削減努力を怠りません。

そのようなマーチャンダイザーもメーカーからベンダー、店舗BYから店頭の移送には注目していないケースが散見されます。

 

一方で、驚異的な低販管費を実現するスーパーマーケット事例では、店内物流に関して最も効率的な作業者の行動を録画し、細部の作業工程を検討して最も効率の良い手順をモデル化して全店に展開しています。

正に製造業で行う科学的管理法の『時間研究』をスーパーマーケットの売場で行っているのです。また、チェーンストア側都合を優先したトラックの待機や検品作業、輸送と保管のコストが高い冷蔵商品の常温化や青果物のサプライチェーンを見直す取組等、一般的にはチェーンストア=小売業の持ち分を逸脱した分野の再構築にも尽力しているのです。

 

更には、ラストワンマイル対応としてネットスーパーやお届けサービスの改善は重要な作業削減になります。

つまり、現在多くのスーパーマーケットでは、ネットスーパーは店頭商品をピッキングして宅配しますが、品出しコストとピッキングコストの無意味な両方を負担しています。お届けサービスにおいてピッキング作業はスーパーマーケットがしないもののBYからの品出しは行っています。

お届けサービスを利用する商品は重量品であることが多いので、これを改善すればコスト削減への貢献度は高いのです。

 

更には、江戸時代から大きく変化していない青果物の流通形態に革命を起こす方法として、家具・インテリア用品小売大手企業の様に生産地に受け取りに行く対応をして、零細生産者が小口配送を多用するロジスティックスから脱却し、一括大量ロジスティクスに変革して飛躍的な効果を出しています。

やっぱり標準化が課題克服の中心

やっぱり標準化が課題克服の中心

スーパーマーケットで省力化を実現するに際して、現実的な方法として『自動化』があり、自動化の対象には発注、陳列が有ります。

しかし、多くの事例を分析すると自動化推進するにあたり最大の障害になるのが『不十分な標準化』です。

地域密着という耳障り良く情緒的な標語のもとに、店舗毎の類型化を行わず、売場分類と売場構成が統一されていない売場が課題解決の足を引っ張っているのです。発注や陳列を自動化するには、棚割や販促企画そしてEDIが欠かせないと弊社は多くを経験法則として学んでいます。

 

特に棚割が標準化されていないと、本部要員に因る作業集約と店舗作業の削減が実現不可能であり、『人海戦術』を『少数精鋭』に変えて課題克服を実現したスーパーマーケット改善事例では、棚割は標準化して良い意味での『金太郎飴』にしています。

特に発注の自動化において導入効果が不十分な主たる原因は、店舗毎に店舗レイアウトと売場構成に違いがある時です。

 

棚割を標準化した事例では、システム化した店内物流により極めて効率的な品出し陳列作業を実施しています。

また、店舗の標準化が不十分だとスキルの薄い店舗担当が棚割等を決定せざるを得ないので、店舗の負担が増えるのみならず、合理性を欠いた品揃えと陳列により顧客の購買に迷いが生じてショートタイムショッピングができなくなります。

来店顧客はコスパのみならず昨今はタイパ(タイムパフォーマンス)を気にする傾向が強いので、ショートタイムショッピングの提供を疎かにはできないのです。

計数管理における改革と効果

計数管理における改革と効果

スーパーマーケットを始めとした日本のチェーンストアの強みに計数管理レベルの高さが有ります。

チェーンストア時代の前身であるビッグストア時代つまり昭和30年代には売上至上型管理でしたが、昨今は客数、営業利益、労働生産性の数値管理が重要になってきました。また、数字を根拠にした原因分析と課題解決を実現するには、見やすい上に役立つ数表や画面が必要であることは言を待ちません。

しかし、凝った数表を追求するあまり、操作が複雑で高いITスキルを要求するようでは、現場の役には立ちません。

更に、的確な分析と対策立案には物語性を持つ分析画面が効果的であると多くの事例で経験しています。この様な改革が計数管理にも必要なのです。

 

『大企業病』とは言い古された言葉ですが、スーパーマーケットの大手や中堅企業には保守的な経営により病に罹患している企業を見受けます。新しいシステムと技術を積極的に採用して武器にしたスーパーマーケットは、徐々に現状の人海戦術を少数精鋭に変革してローコスト・オペレーションを実現しています。

変革できたスーパーマーケットが現時点の規模に関係なく覇者となる可能性を秘めています。

まとめ

「【スーパーマーケット改善事例】”人海戦術”を”少数精鋭”に変えて課題克服を実現」というテーマでご紹介させていただきましたがいかがだったでしょうか。

テスクは基幹システム「CHAINS Z」、バイヤー向け商談システム「商談.net」を提供しています。

どちらも本部・店舗・バイヤー業務の標準化を目指すものになりますので、ぜひご覧ください。