基幹システムとEC・通販サイトの関係性とは?システムとの連携について解説!
コロナ禍はECサイトにとっては追い風でした。
対面販売ではなく、EC・ネットショッピングへのシフトが進みました。
総務省統計局の「家計消費状況調査 ネットショッピングの状況について(二人以上の世帯) 2021年(令和3年)5月分結果」によれば、
コロナ前の2019年5月はネットショッピングへの支出額は約¥14,000でしたが、2021年5月には¥17,275に増加し、利用世帯は2019年5月には約42%でしたが、2021年5月には52.1%に増加しています。
(参考 総務省統計局「家計消費状況調査 ネットショッピングの状況について」)
目次
EC・通販サイトは市場規模も普及率も右肩上がり!だがEC化率はまだ低い
コロナ以前から、ECサイトは市場規模も普及率も右肩上がりでした。これは読者の皆さんもお感じの通りであろうと思います。
コロナ前のやや古い情報ではありますが、令和2年(2020年)7月に経済産業省 商務情報政策局 情報経済課が公表した報告書によれば、物販系のEC比率は6.76%であり、これは読者の皆さん意外に少ないとお感じになられるのではと思います。
ECの普及は進んでいるものの、対面販売のほうがまだまだ規模は大きいことが分かります。
(参考 経済産業省 商務情報政策局 情報経済課「内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査) 報告書」)
特に食品については、EC化率は2.89%にとどまっています。
その理由として、報告書には食品カテゴリーの市場規模が大きくて分母が大きいことがあげられています。
また、原価率が高いことや運営コスト・配送コストが高いことが障壁となっていることの説明も見られます。
「店舗出荷型」のみを採用する事業者には自社店舗からの配送費負担が大きく、「店舗出荷型」と「センター出荷型」を併用する事業者も両方を運営する負担が発生するため、運営コストの負担が課題となっている事例も見受けられる。」
(参考 経済産業省 商務情報政策局 情報経済課「内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査) 報告書」)
アパレルや健康食品などは粗利率が高いので運営コスト・配送コストを吸収しやすくEC向きである一方、食品は粗利率が低くてコストを吸収しにくいこともあると思います。
クレジット決済手数料ですら、ばかになりません。
EC・通販サイトの一般的な機能
購買履歴からおすすめ商品を出したり、配送条件を細かく指定したり、会員ランクに応じたサービスを提供したり…複雑さは個々のサイトにより異なります。
しかしながら、おおよそは以下のような機能が備わっています。
- トップページ 新着情報、お勧め商品、サイト全体のポータル機能を果たしています。
- ログインページ 会員がログインするための画面です。
- メニュー画面 商品カテゴリー、商品検索などで商品を見つけるために操作する画面です。
- 商品一覧画面 該当サイトで扱っている商品一覧が並ぶページです。
- 商品詳細画面 各商品の詳細情報(画像、在庫、価格、取引条件)を確認するページです。
- 会員情報 購買履歴、ポイント残高、基本情報、配送情報、決済情報などの会員情報がまとまったページです。
- 注文画面 買い物かごから、購入確認、決済確認、購入完了などのように画面遷移します。
- その他 問い合わせ先、メルマガ登録、Q&Aなど
EC・通販サイトを成功させるためには?
詳しくはECが本業の会社のページに譲るとして、おおよそは以下がキーポイントとなるでしょう。
1.操作性が高いこと
操作性が高い画面であることは重要です。せっかくECサイトを作ってもお目当ての商品が発見できない、せっかく買い物かごに入れたのに購入まで進まない、、、そんな状態ではお客様も不安に感じて別のサイトに移ってしまうでしょう。
PCでもスマホでも、画面の大きさに合わせて最適された表示がなされ、セキュリティ警告の出ないサイトであることは最低条件ともいえるでしょう。
2.ユーザーに発見してもらうこと・再訪してもらうこと
数あるECサイトの中から、該当のサイトを発見してもらうための工夫は重要です。
工夫の仕方としては、狙う検索キーワードを設定してSEO対策を行うことで検索上位に入ること、Twitter/Facebook/InstagramなどのSNSを活用してサイトに訪れる人の数を増やすこと、すでにメールアドレスが分かっているユーザーに対してはメルマガを発行して定期的にサイトに訪れてもらうことなどの工夫ができます。
何を隠そう、当サイトのブログもGoogleの検索上位にヒットしやすくするための工夫です。情報量が多く、更新頻度の高いサイトほど、検索上位に入りやすくなります。
サイトを作って更新もせずに放置しておくだけでは、検索上位に入ることはできず、当然ながら発見されにくく、商品を購入してもらえる確率も落ちることでしょう。
3.商品情報や在庫数量を詳しく、正確に表示
商品の魅力をアピールする分かりやすい文章や写真があると購買意欲を高められます。また、メーカー、商品の大きさ・荷姿、原材料情報などの基本情報が生じされていることはユーザーに安心感を与えるためのも必須ともいえましょう。
商品の魅力だけではなく、在庫の数量や、配送方法についても詳しい表示が必要です。
他のサイトでも取り扱いがある商品である場合、在庫や配送方法について表示がないからと言って問い合わせはしてくれません。別のサイトに移動してそこで購入されてしまうことになります。
EC・通販サイトと基幹システムの関係性
少ない品目数の商品に絞り込んだECサイトの場合や、在庫数量がたくさんあってシビアに在庫管理をしなくてもいい商品の場合は、基幹システムと切り離してECサイトを運営してもそれほどの負担にはならないはずです。
しかしながら、以下のようなケースにおいては基幹システムとの連携が取れていることがECサイト立ち上げ時の必須事項となります。
1.取扱商品の品目数が多い場合
ECサイトにすべての商品情報を登録し、それをメンテナンスし続けることは存外に手間が掛かります。終売となったり、取り扱いをやめたりした商品の情報がそのままECサイトに残っているとサイトの信用にも影響します。
販売管理システムと、ECサイトの二重入力・二重メンテナンスとならないように、取扱商品の品目数が多い場合は基幹システムとの連携が必須です。
2.シビアな在庫管理が必要な場合
本業が卸売業・小売業で、新たにECサイトを立ち上げるケースにおいて、在庫数に限りのある商品を取り扱う場合、基幹システムとECサイトで在庫数量をリアルタイムに連携はさせることは必須です。
例えば、酒卸売業において希少ワイン・ウイスキーなどをECサイトで販売する場合、ECサイトと本業で同じタイミングで該当商品が売れたときには問題が生じます。
また、ECサイトはリアル店舗などよりも、狙い撃ちのまとめ買いが行われやすいので、豊富な在庫数量があったとしても一気に売れてしまうリスクもあります。
在庫数10個以下の商品を取り扱うケースは、ECサイトと基幹システムの在庫リアルタイム連携は必要になるでしょう。
その一方、自社で大量生産する商品を扱っている食品メーカーなどの業態においては、取扱品目数もそれほど多くはなく、在庫数量も豊富なため、必ずしもECサイトと基幹システムが連携していなくともよいケースもあるかもしれません。
3.売上好調でECサイトでの処理量が多くなる場合
売上好調で商品が続々と売れていく場合、その分だけ在庫が減ることになります。
在庫が減ったら当然ながら仕入先に対して発注をしなければなりません。
在庫管理→発注業務は基幹システムが担うべき領域で、ECサイトに発注の機能が実装されているケースはほとんどありません。
発注数量・頻度が多くなればなるほど、基幹システムとECサイトのシステム連携の必要度は高くなるといえます。
基幹システムが正常に稼働していることこそ、EC・通販サイト成功の必要条件
ECサイトの機能を見てきましたが、実はECサイトに表示している商品情報、在庫情報は、基幹システムが保持している情報です。
基幹システムからECサイトにデータを連携させることにより、商品情報の二重入力をなくし、リアルタイムに在庫を管理することができます。
そして、その商品が買い物かごに入り、決済されたら、在庫がその分減少します。減った分の在庫補充は、これまた基幹システムの領域です。仕入先に対して発注を行い、買掛金を管理するのは基幹システムの役割です。
さらには、商品が売れたらクレジットカード、商品代引、現金書留、、、など様々な決済手段がありますが、この売掛金の管理についても、基幹システムが担うべき役割です。
基幹システムと連携させて二重管理・二重入力をなくさないと、業務の手間が倍となり、販管費の増加につながります。
また、ECサイトの構築費用・運営費用はそのまま販売管理費の増加につながります。
初期構築時は廉価に構築できたとしても、ランニングコストがアクセス数や売上に応じて高くなっていくケース、指定のクレジット決済手数料が高いケースや、オプション機能を足していくとドンドンとコストが積みあがっていくケース、、、ECサイトサービスにもいろいろな料金体系があるようです。
一度ECサイトを作ってしまうと切り替えるのは容易ではありません。顧客への再通知やポイントの引継ぎなども発生するためです。コロナ禍の影響もあり利用が増えているECサイトではありますが、成功した場合に見込まれるビジネスボリュームとそれに必要となる販管費、残る利益と利益率を想定しながら、慎重にECサイトサービスを選択する必要があろうと思います。
EC売上が増加したとしても、販管費も加味したらほとんど利益が残っていない・赤字だった、、、では目も当てられません。
いかがでしたでしょうか?
ECサイト成功の必要条件として、基幹システムがいかに重要かご理解いただけたのではないでしょうか。
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