小売業・スーパーのオペレーション効率化は商品部が担う
この現象はスーパーマーケットが我が国で普及した高度成長期の頃とは真逆と言っても過言ではないでしょう。
過去には経験していない買い物熟達者比率の増加に対して、過去の踏襲は加速度的に通用しなくなります。
効果的な施策は少ない中で、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した業務改革による生産性の向上はその一つです。
自社内の業務はDXとは程遠いとお考えの方々も少なからずいらっしゃると予想しますが、その様な方々も日常的にノートパソコンやスマホを持ち歩いて使いこなしています。
つまり、DXが効果を発揮しない理由は、自社ITが自社ニーズを満たして構築されておらず、その原因はスーパーマーケットの業務を知らないIT技術者に任せているからにほかなりません。
ここで解説する内容をご理解いただき自社に適合したDXを実践いただければ、業務が効率化しローコスト・オペレーションの実現した企業活動シーンが自社内で共有でき、これをリードする商品部様の英姿が現実のものになります。
小売業のお店課題の多くを解決するには効率化が効果を発揮する
業績が停滞しているチェーンストアは、いくつかの課題を抱えています。
中でも、買い物熟達者にアピールする要素即ち「安さ」と「品質」更に「買い易さ」が十分ではないのです。
一つ目の「安さ」は低価格に他なりません。
筆者の長年に亘るチェーンストア様を観察してきた結果では、低価格を実現している店舗は低コストです。
そして、低コストの最重要なキーワードは「業務の効率化」です。
そして、効率化を可能にするのは店舗で業務に従事している方々の創意工夫では無く、商品を選定して、売価を決定し、陳列を指示する商品部門の方々なのです。
この様な発言をすると、「各店の状況を本部の商品部が把握するのは困難であり、各店が競合状況に応じて柔軟に対応したほうが効果的である。」とお叱りを受けます。
しかし、数多くのチェーンストア業務をヒアリングして、ITの利用に因る業務の効率化を実現した経験法則は大半のチェーンストアで有効です。
この際の最も効果的な施策は、陳列アイテム数の削減と売上に応じた陳列在庫量です。
「取り扱いアイテム数が多い方が売上は増える」と誤解されている方がまだまだ多くいらっしゃいます。
しかし、一定レベルまで陳列アイテムを絞り込んだ方が売上は増加します。
そして、陳列アイテム数が少なければ発注や入荷検品、陳列という商品作業が減少するので低コストになります。
更に、売上に応じた陳列数にすると、発注や陳列等の作業負担が下がり、作業の効率化が可能なだけでなく、最低陳列量もしくは在庫下限数を割り込む頻度が激減するので、サービスの品質が上昇します。
その上、適正な在庫の維持は鮮度向上につながるので、二つ目の「品質」も高いレベルになります。
結果として、効率の良い売り場は店舗サイドのみならず買い物する側の「買い易さ」にもつながり、店舗課題の多くが解決できるのです。
小売業の店舗効率化は商品部業務とシステムの再設計が効く
「安さ」や「品質」そして「買い易さ」に取り組まなくてはならないとは解かってはいるが、そんな暇がないと反論が聞こえてきます。
そこで、商品部様の課題解決に割く時間を創出するために、商品部業務とシステムの再設計が必要になります。
一つ目は、商談の見直しです。
商談の見直しと言ってもWeb会議で済ませるのでは、有用なコミュニケーションとは言えません。
また、旧来の電話で行っていたアポイント受付をメールに変えただけでは効率的とは言えません。御取引先各社の要望を調整する作業は大変な労力を要します。
そこで、各バイヤーもしくはMDのスケジュールをお取引先に開示して、空き時間に商談を入れて頂くシステムを導入すると効率的に商談スケジュールを設定できます。
また、バイヤー等の業務を煩雑にしている要素にはリベートの計算があります。
これも、支払い条件と実績によるリベート計算を自動化して、入金が速やかに実行されるようにできるシステムの稼働も有効でしょう。
二つ目は、季節感を売場で演出するシーゾナブル・アイテムの計画と実行も効率化します。
お客様の8割が事前に購入品を決めずにご来店してからお決めになるという実態を考えると、エキサイトな売場は売上につながります。
この際に、過去の実績を利用しやすくし、新しい要素も容易に取り入れることができる企画システムが有効的です。
三つ目は、買物がし易い買い場、黙っていても売れてしまう売り場です。
お客様と店舗双方にとって効率的な売場にするための効果的な施策は「商品分類の再構築」です。
多くのスーパーマーケットで使われている商品分類は、仕入視点で作られています。
システム再構築に際して分類再構築を促すのですが、多忙と猶予期間の無さを理由にほとんどの場合は守旧されます。
他社との同質化から離脱して、抜きんでた商品構成を実現するには、「お客様視点」の商品分類が欠くべからざる『ツール』になると確信します。
例えば、精肉→牛、豚、鶏では無く、焼肉、ステーキ、鍋材料にすると、棚割がお客様目線に準拠して買いやすくなるだけでは無く、分類実績分析から食卓の光景を把握できて、ご来店して下さる顧客の日常の嗜好を反映した商品展開が的確になります。
小売業の効率化のポイントは“時間短縮”ではなく“無くす”
「効率化する」と聞くと作業に要する時間を短縮すると発想する方が多いと拝察しますが、多くのケースでは10%の時間短縮が至難の業ではないでしょうか。
また、同じ結果を得る作業も人によっては内容に違いがあります。
この二つから見出す結論は、実施中の作業をなくしてしまうもしくは動作のいくつかをなくしてしまう事であり、この取り組みが良い結果を得るのです。
では、具体的にはどの様にすれば良いのでしょうか。
第一の作業をなくすとは『集約』です。
例えば店舗における入荷検品は、配送をTC経由にすれば入荷検品作業はTCに集約ができ、店舗では不要にできます。
第二の動作のいくつかをなくすとは『標準化』です。
例えば各店舗で実施している作業も、科学的な分析に基づく細かなマニュアル化がなされた、最も効率的な作業手順を指示していないと多くの無駄な動作をしています。
『科学的管理法』のF.W.テーラーが提唱したように、『作業研究』で導き出されたデータを処理・分析し、その成果をマニュアル化し、作成したマニュアルを業務改善のツールとして全店舗で利用するようにすれば、仕事の無駄な動作を削減できます。
この『作業をなくす』と『動作をなくす』の二つが効率化を実現でき、これを可能にするには商品部の関与が必須なのです。
【参考】小売業・スーパーのムダなコスト・経費を削減!効率化するための業務改善とは
【参考】チェーンストア理論とは?メリット・デメリットと標準化を解説
まとめ
チェーンストアでは、利益に直結する職務を社内で担当しているのはライン従事者で在り、ラインは『商品部門(クリエイティブ・ライン)』と『店舗運営部門とセンター部門(オペ―レーション・ライン)』の二つです。
そして、ラインの効率化を計画立案するのは商品部に他ならない理由がご理解いただけたと思います。
商品部様自身の業務効率はもちろん、店舗運営部やセンターの効率化も商品部がカギを握っているとご理解を頂けると思います。
多くのチェーンストア様が当資料内容をご検討下さり、ご発展の一助として頂くことを願ってやみません。
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また、バイヤーの商談履歴を残して透明化を図る「商品.net」、リベート管理を効率化させる「リベート管理システム」を提供しております。
人手不足が深刻化するなか、業務の効率化が非常に重要になってきておりますのでぜひ製品ページをご覧ください。