スマホアプリで店舗集客!導入・運用の効果をチェックするためのKPIを紹介
目標に向けて事業を進める上で、順調に進められているのか、後退していないのかを定期的に確認する必要があります。
その際に必要となるのが、KPI(Key Performance Indicator, 重要業績評価指標)です。
アプリについては、あまりこのKPIを定められず進捗チェックもされていないケースがほとんど。言葉は悪いですが、やりっ放し。
そこで、今回はアプリの導入後、何をもって上手くいっているのか?いないのか?を判断していくのかを考え、ご紹介していきたいと思います。
目次
スマホアプリ導入後の管理にKPI
昨年12月のブログ「スマホアプリで店舗集客!Webマーケティングの成否を左右する4つのKFS」では、いわばスマホアプリを導入する前の心構えとして、4つのKFS(Key Factor for Success, 成功要因)をご紹介させていただきました。
少し振り返りますと、その4つのKFSとは
■Factor1.コンタクトポイントとしてスマホを考えているか?
■Factor2.スマホアプリは販促手段なのか?事業なのか?
■Factor3.アプリ導入の目的は明確か?共有されているか?
■Factor4.アプリ会員化の目標設定とは?
というものでした。ブログの内容が皆様のお役に立てたかどうかは別として、この短い間にも手前どもへの引き合いの数やご相談の内容から、スマホアプリを必要とされる小売業様がジワジワと増えてきている実感があります。
目的と目標をしっかり設定されることがスマホアプリ導入の前提ですが、導入後も目標に向けての進捗を確認し、継続的に改善を続ける努力が必要です。
スマホアプリに限らずWebマーケティングすべてに言えることですが、ちょっとした訴求方法の改善や企画の工夫がすぐにお客様の集客や購買に結びつくこともあるので、ツールとしてKPIを使用して推移を見ていくのです。
いわば体調を管理するために、毎日血圧を測るようなものですね。
では、スマホアプリ導入の場合のKPIをどのように考えるのか?代表的なものを以下に解説していきます。
導入・運用効果のKPI その1:ユーザーのアクティブ度
スマホアプリはWebに存在する「もうひとつのお店」です。自社のスマホアプリをインストールしてくれた会員様も、その「お店」で活発に活動してくれる方もいれば、あまり動きがない方も休眠会員もいらっしゃいます。
したがって、アプリの総ダウンロード数に一喜一憂するのではなく、「新規流入数」の動向や、継続的にご利用されている会員の割合「リテンション率」(継続率、定着率ともいいます)が重要な評価指標となります。
アクティブなユーザー、リアル店舗でいうところの最重要顧客が
・どのメニューに良く来るのか?(PV , ページビュー)
・どこから来るのか?(ユーザー属性:地域)
・どんなユーザーなのか?(ユーザー属性:性別・年齢)
・どれくらいの滞在時間なのか?(エンゲージメント)
・再訪率はどのくらいなのか?
などを、定期的にデーターを取り検証していくことで、スマホアプリの機能アップや魅力づくりに役立てることができます。
そうすればスマホアプリ会員全体の活性化や、その方々の満足度向上につながる良い循環を作ることができるのです。
これらのデーターは、大手検索エンジン会社・GoogleのGoogle Analyticsなど、比較的廉価なサービスを利用して容易に収集することができるので、ぜひ利用したいところです。
因みに、アプリを運営管理していく上でAppleやGoogleの管理ライセンスを取得する必要がありますが、Apple Developer ProgramやAndroid Developersなどの管理ライセンスを取得すると、アプリ管理の為のWebツールも使用できるようになり(App Store Connect , Google Play Console)、この中でもインプレッション数(表示回数)、コンバージョン率(アプリストアで閲覧された数のうち、初回ダウンロードに至った数の割合)など、アプリストア内でのベーシックなユーザー動向のデーターは拾えるので、こちらも定期的にチェックをしたいところです。
導入・運用効果のKPI その2:クーポンの利用度
スマホアプリによってはクーポン配信機能が付いたものも多く見られます。もともとクーポンも紙で配布された再来店を促すための販促媒体ですが、現在はスマホアプリの主要メニューになっているといえるでしょう。
スマホアプリのクーポンも再来店を促すものもあれば、特定商品の購入を促すものもあり、ほとんどが自由に設定できるようになっています。
したがって、クーポンを配信するタイミングや対象を変えるなど、反応をみながら、そのクーポン利用率のデーターを取ることが重要です。
例えば、市街地の食品スーパーマーケットなら、有職主婦層を対象にお惣菜の値引きクーポンを帰宅される時間帯に配信してみるとか、お給料日直後の週末の午前中にファミリー層の会員にビールのケース買いを促す値引きクーポンを配信するとか、決して折込みチラシにはできない店舗別・顧客別・時間帯別のリーチが可能です。
会社全体で、店舗スタッフ全員でアイデアを出し合い、このような試行を何回か繰り返すことで会員の反応(クーポン利用率)を計測し検証し、成功パターンを習得していきましょう。
しかし、クーポンを乱発することはぜひとも避けたいところです。
クーポンの配信は主にプッシュ通知機能を伴うので、その乱発は会員にアプリそのものを疎ましく感じさせますし、お店の安売りイメージを助長させてしまい、本来来て欲しいお客様を遠ざけてしまいます。
また、クーポンの配信自体が目的になってしまうことで、計測・検証作業が疎かになりかねません。計画的で節度あるクーポン配信が望ましいでしょう。
導入・運用効果のKPI その3:お店の客数や売上げに対する貢献度
スマホアプリ側で取得できるデーターに対し、POSで取得できるお店の客数に関するデーターや各部門の販売実績に関するデーターを相関させて分析することも大事です。
例えば、チラシ掲載を行った直後ではお店の客数(時間帯別レジ通過客数)にどのような変化があったか?クーポンを配信した部門や単品の売り上げ、一客当たりの購入単価、あるいは粗利はどのように変化したか?など見るべき点は多いでしょう。
特に単品に関しては、1,000人当たりの購入数量や粗利(数量PI、粗利PI)を算定し、クーポン配信前後で比較してみると面白いのではないでしょうか?
さらにカード会員やポイント会員情報と連携できるスマホアプリなら個人情報と買い上げデーターも連携できる為、個人別の来店頻度や購入単価、購入品種の変化もつまびらかにすることが可能です。
多くの小売業が持たれている本部システム(基幹システム)には分析ツールが用意されているものもあり、これを経営者や部門長だけでなく、せめて店長、商品部担当者も使えるよう基本操作だけでも習得しておくべきでしょう。
導入・運用効果のKPI その4:アプリ会員の満足度
そして、大事なことはスマホアプリ会員が、現状のアプリの内容に満足されているのか?物足りなさや不便を感じながら使っていないのか?を測ることです。
アプリそのものにアンケート機能があれば、アプリ内でWeb越しにアンケートを実施し、ある程度の満足度が定量的に確認できるので便利ですが、この場合、アンケートの取り方に注意が必要です。(これはアンケート調査そのものについて言えることですが)
例えば、クーポン配信についての満足度を問う時、「クーポン配信に満足されていますか?5段階でお答えください」とするのではなく(当然、どちらでもないという回答が多数になります)、「鶏卵10個入 通常価格128円を100円でご提供するクーポンと、冷凍餃子12個入 通常価格258円を198円でご提供するクーポン、どちらを魅力に感じますか?」と二択にした方が良いでしょう。
より具体的な内容の方が答えやすい傾向にあり、使えるデーターにもなりやすいでしょう。
また、アプリの利用満足度の把握は、むしろサイト訪問数やクーポン利用率、あるいは逆のユーザーの不満足度を示すアンインストール数の推移(先にご紹介したGoogle Play Consoleのメニューにもあります)などで、ある程度定量的にとらえることができるので、むしろ定性的にとらえるデーターの方がより重要です。
あまりクーポンのご利用のない会員だけを対象にして、「どのような商品のクーポンがあれば、もっと利用したいと思われますか?」「なぜ利用されないのか?」をフリーアンサーで伺う方が、より実用的なデーターになると言えるでしょう。
アプリ利用者、つまりは生活者全体に言えることですが、ユーザーはあまりご自身のニーズやウォンツに自覚的ではないため、より具体的な問い方が重要なのです。
フリーアンサーといえば、App StoreやGoogle Playでの評価(レビュー)も参考になるでしょう。
それぞれのアプリストアでの評点は、ひとつの目安として考えておくに留めるのが妥当ですが(ユーザーは良い評点より悪い評点を付けたがるので)、そこに書き込まれる評価コメントには、利用者目線での具体的な改善ポイントが書かれることが多いので有用な情報になります。
時々、自社アプリのストアでの評価をチェックして、どんなコメントが書かれているのか確認しましょう。
【まとめ】スマホアプリで店舗集客! 導入・運用の効果をチェックするためのKPI
今回はスマホアプリの導入後の効果測定のお話をさせて頂きました。紹介したものは基本的なもので、さらに高度な分析の上に戦術をお考えの小売業様には物足りないものかもしれません。
どんな優れた道具を手に入れても、それを手になじませ100%使いこなす迄には、相当の日々の積み重ねが必要です。
いきなり高度な分析を目指したり、コストをかけてデーター取得のためのシステムを組み立てたりする必要はありません。すでに手持ちのデーターを使って、それらを組み合わせ、継続的に推移を追うことの方がよほど重要です。
その観察の中で小さな変化を発見し、推測し(仮説立案)、改善の打ち手を実行し、またデーター検証から変化を見つけていく。このような地道な努力をし続けることが、他社に一朝一夕真似のできないノウハウ、強みになっていくわけですね。
本稿がスーパーマーケット向けアプリのさらなる活用により、導入効果の向上を目指す小売業の皆様のお役に立つことができれば幸いです。