基幹システムで請求照合作業を効率化する3つのステップ

基幹システムで請求照合作業を効率化する3つのステップ

小売業の本部で行われている、お取引先様への支払確定業務。
店舗で働いている方にはあまり馴染みの無い分野ですが、期日に遅れることが許されない重要な業務です。

今回はその支払確定業務の中でも面倒な「請求照合」を効率化するための方法について考えます。

「請求照合」って何?

小売業はお取引先様より商品を仕入れ、それをお客様に販売することで利益を得ています。

お取引先様より商品を仕入れる(買う)ということは、当然お取引先様に対してお金を払う必要があります。しかし日々大量に仕入を行う小売業は、仕入の都度お取引先様に支払っていては埒が明きません。

 

そのため一部の例外を除き、お取引先様には「掛」で支払を行っています。

掛の意味をネットで調べると「金銭の支払いを売買の後日に行うこと」と出てくるのですが、小売業は各お取引先様とその「後日」について取り決めを行っています。つまり『毎月○○日まで』に仕入れた分を『○○日に支払う』、というルールです。(一般的には前者を締日、後者を支払日と呼びます。)

 

最も多いのは月1回締(つまり月1回支払)で、月末日締→翌月末日支払のパターンですが、中には月末日締→翌月5日支払というサイト(期間)の短いお取引先様や、締日が毎月10日・20日・月末日の月3回締のお取引先様もあります。

小売業は締日を迎えると、支払確定業務として、仕入(伝票)の金額を集計してお取引先に支払う金額を計算します。

ここで小売側が計算した金額と、お取引先様が把握している金額が異なる場合は違算となり、後から問題になってしまいます。

 

そのため、お取引先様は事前に請求書を小売側に送付し、「今回の締でウチが把握している合計金額は○円です。

その明細として、対象となる仕入伝票番号は○番と○番と○番です。」という情報を伝えるわけです。

 

小売側は請求書を見て合計金額が合っているか確認、さらには対象の仕入伝票情報に過不足が無いかを自社の仕入伝票と比べてチェックします。

これが請求照合です。

このチェック作業がなかなか面倒で、伝票の多いお取引先様や、前述のような末日締→翌月5日支払というサイト(期間)の短いお取引先様は特に、この請求照合をいかに効率化するかが重要なポイントになります。

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基幹システムで請求照合作業 ステップ1:請求書をデータ化して機械的に照合する

当然と言えば当然ですが、請求照合に時間がかかるのは「紙」を「目検」しているためです。

人間が2つの紙(お取引先様から届いた請求書の明細と自社の伝票)を目でチェックしていれば、時間もかかるしミスも多くなります。

 

そこで、請求書・仕入伝票の双方を紙ではなく電子データにしてしまえば、コンピュータでの機械的な照合を行うことが出来ます。

ここでは仕入伝票のデータ化は置いておいて(ほとんどの小売様が出来ていると思いますので)、請求書のデータ化について考えます。

考えられる方法は次の3つです。

 

1.請求書を見ながら内容を自分で基幹システムに入力する

2.請求書の入力を他社に依頼してデータを受け取る

3.EDIシステムを導入してお取引先様に入力していただく

 

1.は紙の請求書を人が目で見て「伝票番号・日付・金額」等を打ち込み、電子データ化するものです。

仕入伝票は既にデータ化されている前提ですと、これにより仕入伝票・請求書の双方がデータとして揃いました。

あとは基幹システムで照合処理(マッチング)を掛けて差異を出せばOKです。

(もちろん照合処理をするためのシステムの用意は必要)しかし、この方法は請求書の入力ミスがあると正確な差異が出ないのはもちろんのこと、「入力する手間をかけるくらいなら目検してしまおう」と考えてしまいがちなので、現実はあまり行われていないと思われます。

 

2.は1.と似ていますが、請求書を自分で入力するのではなく、入力作業を代行している業者様に依頼するというものです。

小売様は入力されたデータを受け取り、基幹システムに取り込んで照合処理を行います。

もちろん入力代行の費用はかかりますが、小売様の作業負荷は1.や目検と比べ大幅に軽減されます。

 

3.はEDIシステムを通してお取引先様より請求データを受け取る方法です。

こちらも請求書がデータ化されますので、小売様の作業負荷は1.や目検と比べ大幅に軽減されます。

事前にEDIシステムの導入が必要ですが、これが次のステップ2につながります。

 

基幹システムで請求照合作業 ステップ2:受領データを送信して違算を防ぐ

受領データは「○月○日にA商品を○円、B商品を○円で受け取りました。伝票番号○○です。」という情報です。

これをEDIシステムでお取引先様に送信することによって、小売様側の仕入情報に誤りが無いか等をお取引先様側で事前にチェックすることが出来ます。(差異があれば受領データ送付後3日以内にお知らせください、とお取引先様に依頼しているケースが多い)

 

受領データは日々お取引先様がチェックし、誤りがあれば小売様側に通知→小売様側で仕入データの確認と修正→再度受領データをお取引先様へ送信、となります。

こうしてチェックが終わった状態で締日を迎えますので、請求と仕入の差異は非常に少なくなります。

 

もちろんEDIシステムの導入が前提となりますが、多くの場合はEDIシステム導入により発注→出荷→受領→請求→支払の一連のやり取りが全てデータ化されますので、請求照合の効率化に限らない大きな導入効果があります。

導入時にはお取引先様のご協力も必要になりますが、導入後は小売様だけでなくお取引先様の作業効率化も図れます。

基幹システムで請求照合作業 ステップ3:仕入計上払いに変更する

このようにEDIシステムを導入してお取引先様との一連のやり取りがデータ化されたら、小売様での仕入データの精度(正確性)も高くなります。

そうすると最終的には請求照合を行っても差異が発生しなくなります。

 

この状態になると、お取引先様との交渉により、請求照合そのものをやめてしまうことが可能です。

小売様側としては請求照合の手間が無くなりますし、お取引先様としても請求データの用意が不要になります。代わりに締日を過ぎたら支払データ(=支払通知書)を必ずお取引先様に送信、確認いただきます。

支払金額は小売様側の仕入データ(未照合の状態)で計算されていますが、仕入データの精度が高いため、お取引先様での確認において差異が発生することは少ないと考えられます。

 

EDIシステムでのやり取りは

Before:発注→出荷→受領→請求→支払

After :発注→出荷→受領→→→→支払

このように変わります。

【まとめ】基幹システムで請求照合作業を効率化する3つのステップ

今回は請求照合の効率化についてご紹介させていただきました。

「ウチはステップ3まで実現してるよ!」という小売様も多いかと思いますが、そうでない場合は是非、まずは請求書をデータ化するところから検討してみていただきたいと思います。

 

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最後までお読みいただきありがとうございました。