Web商談ツール 訊いてわかった商談現場のWants
弊社のWeb商談システム<商談.net>は、何かとお忙しい商品部担当者(バイヤー)の皆様の商談業務を見直し、改善を図っていただくために、弊社が独自に開発しクラウドサービスの形で提供しているものです。
製品化にあたっては “何がバイヤーを忙しくさせているのか?”の観点から業務を分解し、精査しているわけですが、実際に提案営業や導入の支援を進めていくと、私たちも想像していなかった商談業務上の“お悩み”(ウォンツ)が見えてきました。
今回は、本稿をお読みの皆様にも比較のご参考になればと考え、そのお悩みの一端をご紹介させていただきます。
さて、皆様の現場に同様のお悩みはございませんか?
目次
現場に訊く前に~効率化の対象業務は?
まず、バイヤーの業務を分解・定義すると、以下のように整理されます。
①商談業務・・・取引先との対面・ウェブ商談、連絡、資料確認、展示会・商談会参加、現場視察
②商品改廃・・・売変指示、商品回収、定番マスターのメンテナンス
③商品事務・・・特売マスターやインプロマスターの設定、リベート管理
④資料作成・・・棚割り計画・棚割り表、MD計画書、商品投入表、売買契約書・リベート契約書、企画反省資料
⑤定例会議・・・商品部会、部門会議、販促会議
もちろん、各社のお考えや担当者のポジション・職責によっても、その業務のバランスは変わってきますが、平均的にはだいたい下のグラフのような割合になるのではないでしょうか?
現在はTEAMSやZoomといったリモートツールを使用することで、①の商談業務の時間はかなり短縮されています。
一方で、④資料作成業務や⑤定例会は、ご本人のスキルや職務遂行能力に因るところが大きく、つまるところ、②商品改廃、③商品事務が当面の効率化の対象業務になるはずです。
仕入れ確定した商品のマスター登録やメンテナンスなどの作業が相変わらず煩雑で、業務改善を考えておられる小売業様も多いのではないでしょうか?
従来は、バイヤー業務を後方で支援してくれる事務スタッフが何人も居たはずですが、どちらも本部スタッフは削減される傾向にあります。
特に中小規模のチェーン様の場合、バイヤーの業務の多忙がトリガーになって、ほかの部門の業務に支障が出ることもあるようです。
現場に訊く~集まらないチラシ用商品画像
販促部はチラシ制作のために、毎号、掲載する商品画像を集めなければいけません。
販促部が入手するためには、まず商品部のバイヤーに依頼をします。バイヤーから連絡を受けたお取引先各社は画像データーをバイヤーにメール添付で送ってきます。販促部で直接受け取るケースもありますが、いったんバイヤーを通して依頼をしないと画像データーは手に入りません。
バイヤーは10人ほど居るので、どうしてもメールでのやりとりが多くなります。その上、バイヤーも出張が多く不在しがちで、外出先で常にメールを見ているわけではない。
一方、チラシの入稿日は厳守なので、いくら待ってもデーターが来ない場合は、バイヤーを電話でつかまえ督促します。取引先への依頼をバイヤーがすっかり忘れていることもありますし、お取引先様がすぐに対応してくれていても、バイヤーからこちらの手元に来ないのが実状で、時間も手間もかかっているし、効率悪いことこの上ないです。
(ホームセンター・販促責任者様)
バイヤーを介した非効率的なやりとりを減らしたい。とても切実な販促現場のお悩みです。
一通のメールのライティング、送信作業の時間はわずかなものですが、それがバイヤーの数とお取引先の数の掛け算になると、実に膨大な時間を要してしまいます。
最近はどこの企業でもグループウェアを活用し、社員同士がチャットで気軽に連絡できたり、既読・未読が確認できたりと、とても便利になってきました。
しかし、社外の取引先との連絡となると、専用のツールを使用しているチェーンは大手でもまだ多くはありません。
上のようなお悩みを伺い、今回、販促部様にもアカウントをお持ちいただき、社外のお取引先、バイヤーとの三者間でのデーター共有していただくことを提案しました。
=商談.netのソリューション=
・コミュニケーション機能で、販促担当者、バイヤー、お取引先の三者が気軽にチャット連絡
・文書共有機能で、お取引先が商品画像データーを共有フォルダに直接アップロード
販促担当者はバイヤーを介しながらも、直接、目的のデーターにアタッチすることができますし、バイヤーも販促担当者とお取引先双方への仲介作業を大幅に削減することができます。
また、連絡業務についても、お互いに依頼やその返答にヌケ・モレ・オクレが生じていないかチェックできるため、その点でもコミュニケーション・ロスが防げるでしょう。
実際に、<商談.net>の導入企業では、お取引先一社ずつの収納フォルダを作成し、取引先・自社間の商談に関わるデーターをすべて集約されているケースがあります。
例えば、卸A社のフォルダ直下には、「御見積」「画像」「提案書」「改廃」「欠品報告書」「棚割り」「参考資料」「発注書」などのサブフォルダを作り、バイヤーがいずれかのフォルダを指定して、そこに目的のデーターファイルをアップロードするよう、チャットで依頼されておられます。
こうして、お取引先様への連絡にメールをほぼ使わなくなったそうです。
現場に訊く~煩雑な店からのお問い合わせや発注
現状は、改廃シーズン毎に商品を提案しています。シーズンインして定番棚の状態を完成度100%でスタートしても3カ月もすると棚が空いてくるので、完成度は50%ぐらいの状態になります。
そうすると、各店の売り場担当者が棚を埋めようと、電話やFAXで商品の照会や発注をしてきます。
中には廃番商品をFAXで発注してきたりして、その連絡で無駄なやりとりが結構生じています。
バイヤーさんとの商談は<商談.net>を使用していますが、同じようにお店(売場担当)とのやりとりにも使用したいです。
(菓子卸・営業担当様)
チェーンストアの基本原則からすると、すべて本部発注にして店発注を撤廃するのが正しいのでしょう。
しかし、デイリー商品を中心に、店発注を残しているチェーンもまだ多く見られます。
先の菓子卸の顧客である小売業様も本部発注と店舗発注の割合は、8:2ぐらい。
この卸様の強いご要望を受け、生じている非効率業務を解消するべく、以下の運用を経営企画部様に提案しました。
=商談.netのソリューション=
・店舗アカウントを各店に設定(まずは、全部門共通アカウント)
・文書共有機能で、取引先が商品の改廃情報(改廃商品リスト)を直接各店のフォルダにアップロード
・各店の売場責任者が、自部門の改廃商品リストをチェック
加えて、この卸様は担当バイヤーに年2回の頻度で、フリーサイトを使って棚割りデーターを届けていましたが、これを<商談.net>に変更。
バイヤーは受け取った棚割り提案をベースに、店別の棚割り計画表を作り、各店のフォルダに収納する運用を開始。店舗の売場責任者がいつでも最新の表を確認し、“正しい商品”の発注ができるよう業務が改善されました。
新商品の情報や商品改廃リストがチェーン全体で共有されていないという話は、よく耳にします。
さすがに送り込み表や棚割り表が店舗に届かないことはないと思いますが、機転が利かないバイヤーが改廃商品リストを部門や店と共有せず、せっかくの情報を自分のパソコンの中だけに留め置くケースは珍しくありません。
こういった“属人化”現象を防ぐためにも、商談関連情報を部門や全社で共有するツールが必要です。
現場に訊く~導入効果が見込める部門
テスクの<商談.net>は、小売チェーン様向けのソリューションツールですが、商品部のバイヤーのほか、先述の卸様のように、ベンダーやメーカーの営業担当者も利用します。
実際にお使いいただいているお取引先のユーザーは、どのような考えをお持ちなのでしょう?
実際に伺ってみました。
デイリー商品なので商品の改廃が激しく、また、特売商品になることも多いため、バイヤーさんとは提案時に商品情報(データー)のやり取りを何ターンかしないといけないので、<商談.net>で仕事は楽になりそう。
新製品はマスターに登録しないといけないが、既存商品のメンテができるのであれば、大幅に手間が省けると思う。また、POSデーター共有で販売データー以外に廃棄ロスの量も把握できれば、小売業のお役に立つ提案もできそう。
(大手食品メーカー・営業担当)
どの食品スーパー様に伺っても、単純に商談の量が多いのはデイリー部門。
一年を通して商品の改廃が激しく、さまざまな種類の特売の対象になりがちです。
マスター登録、メンテナンスなどの事務作業の効率化に着手する際は、やはりこのような商談量そのものが多い部門から着手するのが効果的です。
デイリー部門に次いでは、グローサリー、日用雑貨部門への展開が多く、これらの部門はSKUが多い割に帳合先が集約されているので、ベンダー様の協力も得やすいですし、やはり導入効果も大きいようです。
現場に訊く~地方における商談の現実
取引先から提供される情報がタイムリーでなく、最新でもないため、本部商品部でも終売商品がわからない。商品を発注して後、未納リスト(未納商品リスト)で発覚する始末。
(ホームセンター・販促部責任者様)
地方では一次卸が少なく、メーカー直取引が多いために取引先の数も多くなり、商談も煩雑で多忙になっている。
(スーパーセンター・商品部責任者様)
特に某大手メーカーは、担当者がルートセールスも兼業していて正常に機能しておらず、商品提案が遅く、商品マスターの登録も雑。提案の期日すら守らない。とても難儀している。
(食品スーパー・商品部様)
最新の商品情報や提案が受けられないといった話は、一部のベンダーさんの営業姿勢そのものの問題であることは否めませんが、一方、取引先側にも言い分はあるようです。
正直、地方の数店舗のチェーンにはあまり手間をかけたくない。できれば、大手チェーンに集中して時間も割きたいというのが本音で、このような商談効率化のツールを使うことで、訪問しなくても、滞りなく商品提案ができるのであれば、ぜひ活用したい
(塗料メーカー・営業担当)
地方には大都市圏とは異なる商談事情があるようですが、いくつかのコメントを伺う限り、小売り側もベンダー側も商談業務の効率化に向けての具体策を強く求めておられることは確かなようです。
【まとめ】Web商談ツール 訊いてわかった商談現場のWants
今後、商談は進んでリモート化し商品の提案・発注行為はどんどん自動化されていくでしょう。
しかし、いずれも100%の達成がない限り、小売り側とベンダー側双方に様々な非効率業務が発生し続けます。
こうした業務を効率化していくためには、業務にあたり不便を感じ、不満を抱えている現場の
方々の声を拾い上げること。現場になんとなく潜むウォンツ(Wants)に真摯に向き合うことが肝要です。