ネットに勝つリアル店舗の小売業が日本を救う!

小売業をとりまく環境は、スマホの普及、インターネットの高速大容量化、ITの進歩、そしてコロナ禍による巣ごもり需要も手伝って、環境変化のスピードが加速しました。従来当たり前とされてきたお店へ出向いてショッピングを楽しみながら購入するというスタイルから、現在では自宅や会社、カフェや居酒屋から、そして電車の中からでもスマホを使って買い物をするというスタイルに変化し始め、それが定着してきました。この傾向が示す通り、物販系のネット通販の市場規模は、2020年において前年比22%増の12兆2千億円を超えました。消費全体が下がっている状況下でのこの伸びですから、リアル店舗がまともに影響を受けているのは言うまでもありません。この状況がこのまま続くとリアル店舗どころか、小売業全体、ひいては日本の衰退につながってしまうと私は危惧しています。今回はその理由と、リアル店舗によるこの危機回避について書いていこうと思います。

これまで日本の小売業がしてきたこと

50年前の話になりますが、私が幼いころ母親の買い物と言えば、MY買い物かごを家から持って、歩いて近所の八百屋さん、魚屋さん、お肉屋さん、酒屋さんといった個人商店に買い物に行っていました。

そして文具は文房具屋さん、本は本屋さん、家電は電気屋さん、洋服は洋服屋さん。あとは朝から張り切ってバスに乗っての一大イベント!”百貨店”で1日過ごす (笑)ですか。

 

そんな1970年前半から私が大人になるまでの20年の間に、スーパーマーケットやホームセンター、コンビニ、ドラッグストアと次々と町に登場してきて、価格・品揃えで太刀打ちできない(子供のころから馴染みだった)個人商店はどんどん町から消えていきました。当時スーパーマーケットやホームセンター、コンビニは、どれだけの個人商店を潰したのか?と正直思ってしまいます。

今度はその個人商店を潰したスーパーマーケットやホームセンターといったリアル店舗が、今ネットという大きな波に襲われています。今度はリアル店舗が同様に価格・品揃えでネットに太刀打ちできない状況になっているのです。

かと言って、太刀打ちできないから、採算が合わないから安易に、「じゃあ不採算店舗は撤退しまーす!」なんて言われたら…過去に潰された個人商店や商店街の人は報われないとは思うのは私だけでしょうか?

そして、安易に撤退するとそこで働く人達は仕事を失うわけですし、そのリアル店舗の近くにあった、みんなが利用してた喫茶店もパチンコ屋等も苦しくなるし、町の活気もなくなります。

ましてや、消費者がネットにシフトすれば、多くの外国資本のネット会社に、日本の小売業のビジネスやお金が流れることになり、町の衰退から、やがては日本の衰退にもつながるということにならないでしょうか?

このようにリアル店舗は周りに与える影響が大きいので、自分の目先の利益だけを考えて安易に撤退など考えずに、今こそ町のために、日本のために知恵を絞って立ち上げるべきだと私は考えます!

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リアル店舗小売業に今起こってること

日本の大手小売業が、つい最近売れ筋商品を中心に値下げを開始しました。

食品から日用雑貨、衣料品にいたるまでです。コロナ禍で巣ごもり需要を狙った家の中で必要な商品中心の販売戦略であると考えられます。

消費が下降しているので、少しでも消費を刺激する意味合いもあるでしょうが、値下げするということは、同じ量の仕入れや販売では、それだけ一人当たりの生産性は下がるということになるため、より多くの数量を販売しなければならなくなります。こういった戦略は大企業やトップ企業だからできるワザです。

この薄利多売戦略を中堅小売業がやったら大変です。多くの販売をするということは労働集約型の小売業にとって、単に労力が増えることになりますから、中途半端な量が売れてもかえってマイナスになりかねないのです。

値下げした場合の損益分岐点のラインは極めて高く、相当の数をさばかなければならないから大変なのです。

それを知恵も使わず「よそが下げるならうちも下げろ!」ってやるから、利益が上がらなくなるか、誰かを泣かすことになる。大抵そういう場合は立場の弱い、問屋さんや従業員に負担がくることになるのです。

よーく考えてみましょう。現場では今、本当に安いものが売れているのでしょうか?

株価は3万円を超え、日本ではお金は余っている状況も事実です。それを示すように、私の知っている高級スーパーマーケットは渋滞ができるほど流行っています。

そもそもこのスーパーマーケットは、値段で行くお店を変えるようなお客さんを相手にしていません。仮に値段を上げても離れていかないお客さんばかりです。

きっとここのバイヤーさんは、品質と品揃え、お客さんへの想いに知恵を日々絞っているので「他社より安くしないとお客さんは来てくれない」などと一切思っていないのです。

激安小売業が地域の笑顔を消す?

「安くないとお客さんは来てくれない、他社より高いと売れない」この思い込みは捨てた方が良い時代が来たと私は思っています。

例えば多くの量販店小売業のバイヤーさんは、500mlのお茶のペットボトル飲料は100円では売れないと思っているのではないでしょうか?

確かにドラッグストアが価格破壊をおこし、78円や88円が定番価格になっているのは事実です。

しかし、これは「この商品はこの価格じゃないと売れない」という飛んでもない思い込みです。

仮に原価65円で仕入れたお茶を当たり前に78円や88円で販売しているバイヤーさんに「250円で売ったら、売上も利益も上がりますよ!」って言ったら、「アホか!売れるわけねーだろ」という答えがおそらく返ってくるでしょう。

しかし、自動販売機では160円で販売しています。ゴルフ場では300円で販売していますし、居酒屋へ行ったら400円くらいします。リゾートホテルのレストランで頼むと1000円です。

私の知ってる名古屋の錦のクラブやキャバクラならもっとしますよ(汗)

それでも頼みますよね?(苦笑)

「原価50円やんけ!」って分かっているバイヤーさんでも頼みますよね?

ましてや自分のお金じゃなく、会社の経費なら(笑)

このように実は、商品と価格に決まりはないし、その値段じゃないと売れないということもないのです。

本当に、先入観は悪!固定観念は罪!と思いませんか?

安さを求めるばかりに日本の小売業は、標準化と生産性の向上に向け、職人を切り、品質をおとし、安全性も犠牲にしたのかもしれません。

このまま激安を求め続けたところで、超大手小売業やネットショップに太刀打ちできず、かつての個人商店同様に苦しくなり、おそらくますます品質や安全性を落とすばかりか、地域や喜んでくれていたお客さん、そこで働く人の笑顔まで落としてしまうかもしれません。

負けるな!リアル店舗小売業

だからこそリアル店舗は、お金のことばかり考えず、安くするだけといった思考停止をせず、知恵をしぼるべきだと思ます。

冒頭に申し上げたように、町のために、日本のために今こそ立ち上がるべきだと考えます。

地域のために、お客さんが喜ぶ商品の提供やサービスを展開することに知恵を絞り、地域を活性化することが使命ではないでしょうか。

例えば、ネットユーザーは山ほどある商品やショップの中から、どうしたら損せず、悪い商品をつかまされず、良い商品が購入できるか?とネットの書き込みを何通も何通も読んでいます。

そんな手間をかけ、誰が書いたかわからない買い込みや、サクラが書いた書き込みを信じて、結果商品を購入してしまうわけです。

そういうところを代行したらどうなんでしょうか?

「山ほどある商品の中から私があなたのために厳選した商品だけを選んで陳列しています。どうぞ私を信用して購入してください。絶対に後悔させません!」と言えないものでしょうか!

こういうことが今求められる本当のバイヤーの仕事の本質ではないでしょうか?

昔の個人商店は、本当にいいものを勧めてくれて、悪いものは決してお客さんに売らなかったし、体調が悪いときは「どうしたの?それならこっちの方が体のためにはいい」と本当にお客さんに寄り添ってくれたと私の母親も言っておりました。

売上や荒利よりも、お客さんを大切にしてたんですね。

今後リアル店舗で本当に必要なのは、お客様への心や想いだと思います。

これは人間にしかできない仕事です。事務や作業といった部分はどんどんITやテクノロジーに任せて生産性を上げ、エモーショナルな部分を人が強化し、他社より高い価格でも勝負ができる店づくりがリアル店舗の進む道ではないでしょうか。

今回は、「ネットに勝つリアル店舗の小売業が日本を救う!」というタイトルで、書かせていただきました。

本当はこんなタイトルで書くつもりはなかったのですが、書いているうちにどんどん熱くなり、日頃の想いをつい書いてしまいましたm(__)m

賛否両論もちろんあると思いますが、私はこのままでは本当にかつての個人商店のように多くの小売業が食われてしまうと思っています。

これまでは外資系の小売業が日本に進出して来ても、日本の文化に合わず、ほぼほぼ撤退していきました。

ネット企業は本当に日本の小売業ビジネスや日本のお金を外貨として稼いでいってしまう可能性があります。そこに対抗できるのはエモーショナルなリアル店舗しかないと私は思っています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

2021/10/21