5Gが変える社会と小売業

 

次世代移動通信システムとして “5G” が今注目を集めています。小売業の中では、一部大手小売業を除き、まだまだ深く理解されていないと思います。

 

しかし、5Gの可能性は今から想像しておくべきであり、あまり甘く見ない方がいいと思います。なぜなら、コロナ禍で変化が求められる中、5Gは絶好の変化のタイミングで現れ、新たらしいビジネススタイルや、業界の新常識・新ルールを生み出すベースの存在であるからです。決して焦る必要はありませんが、もし、その変化に企業がついていけなければ、ある意味、貴重なビジネスチャンスを逃す可能性があり、行く末は大きな変化の波に飲まれてしまう可能性も考えられます。

ちなみに、5Gだけで何かが変わったり、何かが起こったりするわけではありません。
5Gを有効に使ったデバイスやアプリケーションが今後誕生し、IoT、AI、ブロックチェーンを駆使した製品やサービスが生まれ、そこから(歴史に習えば)、既得権益、法律、倫理等のあらゆるものが絡み合って、新たな商品やサービスが生まれ、消えゆくものは消え、高付加価値だった商品やサービスが一般的(以降:コモディティ化と表現)になっていったりしていきます。

そんな世の中を変えそうな5Gですが、今のところ巷ではネガティブな見方が結構多いです。

例えば、電磁波が強すぎて体に悪影響があるのではないか(ベルギー首都では実験や導入を禁止)、超高速で上りのデータが取れるため、個人情報等は取られたい放題のセキュリティが問題だ!(某国にデータが取られたい放題等)とか、都心中心にサービスが行きわたるため、過疎化の加速や地方のビジネスが成り立たなくなるとか、いつでもどこでも監視されてる世界になりかねず、プライバシーも何もあったもんじゃない等・・ 確かにその可能性は十分にあります。しかし、5Gはアメリカや韓国では既にサービスが始まっており、日本でも今年開始され、6Gの構想までも既に固まってきてますので(ネガティブ要素に負けることなく)この流れは止まらないでしょう。

このように5Gの出現により、世の中が、社会が、ビジネス環境が大きく変化する可能性が十二分にあります。
今回は、そんな5Gがどう社会を変え、どう小売業に影響を与えるかを、いつもながら勝手に想像し、書いていきたいと思います。

 

小売業に与えた社会の変化を振り返る

過去を振り返れば小売業の変化が、何故起きたかが分かる

私が生まれてから見てきた事実だけでお話をすると・・

物不足の高度成長期に公共交通網が発達すれば、駅前の百貨店が大流行となり、インフレに拍車がかかれば、定価から値引き販売をする駅前のGMSが大流行し、自動車網が発達すれば自家用車がコモディティ化されて、駅前業態が苦しみ、郊外の巨大なショッピングセンターが流行り、車が一人1台になれば、モール型ショッピングセンターが流行り、インターネット網と移動通信システム(4G)が発達すれば、現在のようにamazonや楽天をはじめとしたネットショッピングがグングン伸びています。

 

今になって考えてみれば、そんなの当たり前だろうと思うかもしれません。しかし、この社会の変化が小売業に与える影響を事前に察知し、早くからビジネスに結びつけることができたのは、どれほどいたでしょうか?それは、ごくわずかの企業であり、当時の大成功者と言われる人達です。そして、もう一つこの現象から分かることは、お客様である消費者の動きは、社会の変化にとても素直に反応してきたという事実です。

 

ここからは、私が生まれる前の話なので、事実は分かりませんが、人類における過去を振り返っても、自給自足の世界から、鉄の鍬ができたことによって、一気に農業の生産性があがり、物々交換的な商業が生まれたということもありますし、いろんなことが便利になればばるほど、必ずヒマな人や失業者が増え、そこから宗教家や政治家、教育者が生まれたとも言われています。このように過去には革命を起こしたものや技術が、何度も何度も登場し、社会を大きく変えています。おそらく5Gもそれらにあたると思われます。

5Gが変える社会と小売業を大胆予想

消えいく商品やサービス

さて、過去の経緯や今後のITの進化から考えると、5Gは社会に大きな影響・変化を与える可能性は高いため、変化する社会への素直なお客様の動きが発生し、小売業に大きく影響を与えると予想できます。

 

5Gで社会に変化が起こる視点を、大きく2つに分けると

  •  現状の問題/課題の解決
  •  固定観念を覆す革新的な商品やサービス

 

前者は例えば・・

高齢者の自動車事故を無くすための自動運転システムや、無人化レジや品出しロボット等による人手不足問題の解決等がそれにあたります。(介護自動ベッドや無人見守り等)

後者は例えば・・

小売業で物を売るとか、買いに行くという固定観念から、サブスク(月額固定料金でサービスが受けられる)で、必要なものを必要なときにドローンで届けるとか、マンション内に設置された自動冷凍冷蔵倉庫から、部屋に直接商品が届くサービスの誕生等がそれにあたります。そんな自宅での個人消費ジャストインタイムが実現する日がひょっとしたら来るかもしれません。(こんなことを言ってるのは私だけかもしれないので、笑ってもらって結構です(苦笑))

そんなことあり得ない!と、みなさん思うかもしれませんが・・

そもそものものの本質を考えれば、あり得ると私は思っています。例えば、冷蔵庫は冷蔵庫が欲しくて買ってる人は少ないと思います。本質は、食品が長持ちするように保存したり、冷えたものがすぐに飲める、食べられる、食材を使って調理できることです。すぐに手元に必要なものが必要なだけジャストインタイムで届き、残りの保存サービスがもしあれば、極端な話、冷蔵庫は不要です。洗濯機も同じです。消費者は洗濯機が欲しいのではなく、きれいに洗えた衣類が欲しいのであって、洗濯機そのものが欲しいわけではありません。このように物事の本質を捉えると、サブスクで費用対効果のあがる、冷蔵庫や洗濯機に変わる、その他全てのサービス(掃除や整理整頓何でも考えられます)を提供する業者が現れたら、利用者が増え、コモディティ化する可能性はあると思います。

こうなってくると、「腐るもんでもないし、安いから今のうち買っておこう」とかいう発想は無くなり、必要なものを、必要なときに気にせずリクエストするという世界が生まれます。だから、特売という発想すら無くなります。定額でどこまでサービスを入れ込むことができるかの勝負になったりするのです。

 世界のTOYOTAが「自動車屋さん止めます」と言ったのは有名な話ですが、まさに5G・6G時代を先読みした、今後は「自動車を使うサービスを販売」にシフトするという考え方も、同じようなことと思いますが違うでしょうか?

 

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5Gよりも小売業に革命を起こすのは IoT

モノがインターネットにつながると劇的に生産性が向上?

IoT(Internet of Things)とは、みなさんご存じだとは思いますが、モノのインターネットと言われ、様々なモノとインターネットが繋がる技術の総称のようなものです。モノのセンサーが感知し、インターネットに繋がり、例えば、陳列棚が「○○の在庫があと1個ですよ」とか、ごみ箱が「もうすぐいっぱいになりますよ」とか、ショーケースが「刺身の盛り合わせからドリップが出てますよ」とか・・

あと震え上がるほど恐ろしいのは、ジャケット(上着)がインターネットに繋がり「ご主人今どこどこで上着脱いだよ」とか「今香水のきつい女性が寄り添ったよ」とか奥さんのスマホに通知が・・(笑)

冗談はさておき、5Gで通信スピードが最大100倍(特に上り)になることと、多数同時接続が断然強化されるため、上記のようなことも簡単に実現可能になります。

このIoTの技術を使えば、小売業では、配送センターの無人化や店舗スタッフの無人化も実現可能なことも想像がつくのではないでしょうか。まだまだ、ムダ・ムリ・ムラが多く、一人あたりの生産性が低い小売業にとって、製造業のように極めて生産性の上がるしくみを構築できるのではないか!と今から私はワクワクしています。IoTは、まさにこれまでの人間が機械を操作して効率化するところから、システムが人間に知らせて、一切のムダを無くす効率的な働き方改革を、きっと実現してくれるでしょう!

このように、5Gそのものは、あくまで高速化や大容量・低遅延・同時接続を実現するネットワーク技術であり、その他ブロックチェーンやAIという技術をベースに組み合わせたIoTの実現が実際は革新・革命を起こすのです。

ただ、実際このようなことが現実になるのは、5G段階での対応時期には問題も多く出て、それに対応する知恵も経験も少ないため、実際価値が最大化されコモデティ化されるのは、6Gになってからであると私は予想しています。

IoTが起こす小売業革命とは?

何にでも繋がるIoTが革命を起こす

モノとインターネットが繋がる的な話をしましたが、モノとインターネットが繋がるということは、イコール、モノとモノも繋げられるということになります。モノといっても何?となると思いますが、私が思うに、コストの問題があるので、実際繋げるかどうかは別として、固体なら何でも全て繋げられると私は思っています。

家電や自動車、機械や機器、スマートウォッチなどはイメージがつきやすいと思いますが、他にも・・

例えば、今みんなしているマスク、洋服(制服)、靴。床や棚や机、道路や電信柱やマンホール、ドアや鍵や窓、椅子や机やタンス、野球やサッカーのボール、ゴルフ場の芝生や土、ペットや自然界の動物、水道管から鉄筋鉄骨、そして人間にも・・\\

これらのモノとモノが繋がれば、人間が操作するのではなく、モノがモノを操作する時代が来るということになります。

これで、IoTが革命を起こす可能性があることをあらためてご理解いただけたのではないでしょうか?

しかし、冒頭でも述べたように、様々なことへの実現には、社会インフラや既得権益、法律、倫理などがやはり大きく影響するため、制度が変わる”革新”は起きても、社会が変わる”革命”はそう簡単には起こらず、かなり時間はかかると思います。しかし、劇的に未来が変わるときは必ず来ると私は思います。

そんな状況下、今小売業にできることが何かを深く考え、当社製品にも反映させながら、来るべきときに備え、今後も考察していきたいと思います。

 

 

今回は『5Gが変える社会と小売業』 というテーマで書かせていただきました。

またまた、私なりに空想を今回も勝手気ままに書かせていただきましたm(_ _)m
「そんなわけないだろ!」とかいう声もいただきそうですが(苦笑)、私の趣味で考察していることをお許しください。

5Gが社会やビジネスを変えるのは間違いないと思いますが、今私がみなさんにお伝えしたいのは、5GやIoTを利用したサービスの発想や構想は思考すべきですが、まだ5GでのIoTの実現に手を出すのは、時期尚早であるということです。(リスクが高く、市場も小さいからです)

しかし、冒頭のように、公共交通機関の発達や、自動車の普及、インターネットの普及等の社会の変化が、小売業のビジネスや業態に大きな影響を与えたことは間違いありません。消えた店舗やビジネスモデルや業態には、間違いなく社会変化と消費者の動きが大きく起因しています。よって、時期尚早ではあるものの、変化を予想し、そちらへビジネスの舵を切ることは、過去の成功者に習う未来への航路であると思います。

現在そして今を見れば、5Gよりも新型コロナが一番社会に変化を与えていることは言うまでもありません。

では、このコロナ禍で小売業が今できることは何でしょうか?

私ならコロナによる変化をチャンスと捉え、思い込みや固定観念を捨て、仕事改革(ムダな作業や活動の見直し)やお客様に寄り添うサービスの構築を、政府の支援(IT補助金等)を受けながら、5Gを感じながら・・ 実施に踏みこみます。なぜなら、今がこれらを実践する絶好のチャンスでありタイミングだからです!

当社でもそれらを有効に実現するシステム(Web商談システムスマホアプリ等)をご紹介・ご提案できますので、ご興味のある方は、是非お問合せください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

追伸
まだまだ5Gに関することは書き足りません。次回は・・

 ・小売業の店舗が5Gの出現によりどう変わるのか?
 ・5Gの出現でビジネス仕方がどう変わるのか?

あたりを書こうと思っています。

2020/8/6