受け取りリベートを増やすために解決する課題とは?

受け取りリベートを増やすために解決する課題とは?

リベートとは、卸売業や小売業等の購買等に対して、メーカーや大手卸売業者が売上高確定後に既定条件で支払う、謝礼や報奨の意味合いの割戻金といった流通業界では日常的な制度です。

価格競争が激しい中では思い通りの値入が取れないので、リベート収入を見込んで計算し、荒利予算を達成するバイヤーは少なくありません。

 

しかし実態は、リベートの条件設定が複雑なのでバイヤーが正確なリベート回収の管理ができておらず、メーカーや大手卸業者の一方的な入金の結果を集計しているに過ぎないのです。

ビジネスにおける対価の授受は相互に管理されるべきなのですが、リベートに関してはメーカーや大手卸売業者に計算を委ねているようです。

 

中小規模の卸売業や小売業等なら已むを得ないと考えるバイヤーや管理者は少なくないのですが、大規模は言うに及ばず、中小規模企業こそ利益を逸失しないために、販売により達成した実績を基準にして「予実管理」をすべきであると筆者は考えます。

リベート契約において小売業が気を付ける点

コンプライアンスがビジネス活動において必須要件である日本において、リベート契約において特に気を付けるべき点が「不法」と「不正」です。

リベートにおける「不法」とは、主に独占禁止法に対する違反行為と見なされる場合です。

 

公正取引委員会による指針では、①リベートの水準、②リベートの累進性、③リベートを供与する基準、④リベートの遡及性、が挙げられているので抵触しないように、契約承認稟議のプロセスで気を付けなければなりません。詳しくは公正取引委員会のホームページをご覧ください。

リベートにおける「不正」とは、取引先との事前の取り決めが前提であるにもかかわらず、受け手側が事後的な要求をする場合を言います。

一方で、出し手側が事前の取り決め内容に対して過少な金額しか割戻しをしない場合も「不正」です。

 

お互いが納得した取り決めであるはずなので、履行の正確性を担保するためにも「文書化=契約書」が必要です。

ただし、取り交わす契約数は膨大な量になるので、旧来の“紙”によるのではなく、“電子データ”として相互に保管しなければ条件検索が大変になり、結果的には契約内容の管理が疎かになります

リベートに潜む課題と解決策とは

筆者の知る処では、多くの小売業はリベートに関して属人的管理つまり商品部の部員やアシスタントがExcelで管理しているケースが大半です。

便宜上「Excelで管理」と記述しましたが、とてもではありませんが「管理」などと言ったレベルでは無く、言わば「忘備録」に近い状態です。

 

まともなビジネス・プロセスとは言えない状態の改善に取り組めていない理由は、取り決め内容が複雑であり、計算すべきデータ項目が大量である点が挙げられます。

例えば、品目ごとの売上=仕入結果に基づき計算される条件が多いので、大量の品目を扱う小売業の現場では計算が大変なだけでは無く、種類毎に発生の有無や計算式も違います。システム化されていなければ結果の把握が困難なのです。

 

単純な比率計算でも困難である上に、後述するように多種多様なリベート条件になるので、「Excel管理」では部分的な管理に留まっているのが実情です。

総額としては決して少なくない金額なので、内外の利害関係者に対する不正防止の観点からの牽制制度が必須なのです。

 

したがって、これらの課題を解決するには、抜け漏れの無い予実管理が可能なリベートのシステム化が解決策なのです。

受け取りリベートの事例

受け取りリベートには「累進型」といった取引量に適用される単純なモノや、「達成型」といった段階的な率や額が適用され、達成条件は数量の場合と金額の場合があったりします。

また、「期間型」のように新商品が発売されてからの一定期間のみに適用されたり、「店舗特定型」といった一部の店舗実績のみに適用されたり、「荷姿型」といった出荷形状(ケースやパックといったバラではない形状)に適用する型式もあります。

 

更に、「専売度型」といった、特定カテゴリーにおいて特定メーカーの商品のみの専売時への適用や、「EDI型」といったEDIを利用した取引に適用する型式もあります。

これら条件は単一条件のみならず、複合的に条件が重なる型式もあり、計算根拠が数量×単価の額や総額に対する率、中には現物の無償提供と言った方法もあるのです。

 

この様に、複雑な条件を大量なデータに対して適用しなければならないので、とてもではありませんが、Excelや況(いわん)や手計算では管理は不可能なのです。

小売業側リベート・システムのポイント

小売業側のリベート・システムには次のような要件が備わっていると良いでしょう。

  1. 仕入れた実績に基づいて発生するリベートで、仕入商品毎にリベート条件を設定して仕入計上時にリベート額を計算して確定します。
    半永久的に発生する条件と数日間から数か月間といった一定期間の条件に対応します。
    条件内容には、単価引き条件=商品1個に付きいくら引くかの単価引きと、%引き条件=基本仕入単価に対しての%引き、現物条件=仕入した商品に対してプラスで現物商品を無償で付ける条件に対応します。
  2. 仕入や売上とは連携せずにイベント的=事前にメーカー及び得意先との商談で決定した条件が確定した場合に発生するリベートで、得意先の周年や特別なイベント等で発生します。
    登録する項目は、対象メーカー(仕入先)情報、イベントの概要・発生日、個別商談契約番号、リベート発生内容と発生リベート金額、リベートの支払い条件等です。

  3. メーカー(仕入先)から提示された条件を満たした場合に支払わられるリベートで、一定期間の間に指定された商品の合計仕入実績が設定した目標を達成した場合に支払わられるリベートです。
    条件内容には、一定期間の間に指定された商品の合計仕入数量を段階的な達成目標とする場合と、一定期間の間に指定された商品の仕入金額を段階的な達成目標とする場合があります。
    特に、成り行きから脱して、達成出来そうな場合をいち早く把握して進捗管理を確実に行い、意図的に達成させて、リベートの取込が漏れないようにすれば収益の向上に多大な貢献をします。

  4. リベート・システムを整備してリベートを管理しても、実際に受け取ったリベートとの整合性が取れていないと価値が半減します。
    そのため、自社で発生させたリベート実績をメーカー側へ未収リベート請求として提示して確認すると良いでしょう。
    また、その請求に対する入金を登録して回収残高管理する必要もあります。

  5. 発生したリベートを社内の利益管理にタイミングを逸することなく活用すれば良いでしょう。
    この様にリベートは、メーカーや大手卸売業者が商品を拡売するための販促として、多種多様な条件で提示されます。
    提示される名目としても、仕入割戻、販売奨励金、販売助成金、協賛金、または達成リベートなどなどいろいろあります。
    そのため、提示された条件を一元的に管理して、リベートの各種条件を整理して対応するのが重要です

【まとめ】受け取りリベートを増やすために解決する課題とは?

近年、リベートの管理には相当なコストが必要になるので、リベートを排除する動きも一部の業界では出てきていると言われています。

しかし、単なる商品の値引きであれば、出し手側であるメーカーや卸売業者の売上額が減少してしまうのですが、値引き無しの請求書を発行し、売掛金として仕訳した会計処理の後に代金が決済され、後日に販売促進活動の手数料としてキックバックすれば、出し手側の売り上げは減少しません。

 

リベートの占める割合は小さくありません。リベートを漏れなく管理して回収することのメリットは双方にとって非常に大きいのです。

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