小売業向け自動発注の失敗例から学ぶ成功のポイント
目次
自動発注は小売業で注目されているソリューション
当社が以前実施したアンケート結果で、『興味のあるリューション』 『今後取り組む予定のソリューション』で、ともに第1位に輝いたのが『自動発注』でした。
自動発注に27%(およそ4社に1社)が興味を示すという結果になりました。
しかし、既に実施・導入した企業では、『結果がでない』 『うまくいかないので結局廃止した』という、失敗も数多く聞かれます。
いったいその失敗原因はどこにあったのか?今回はそれをさぐってみました。
失敗例1: ”自動”を勘違いして、売上を落とす結果に・・
■ セルワンバイワンの落とし穴
自動発注システムをセルワンバイワン方式(売れたものを自動に補充発注するしくみ)で導入したが、現場が自動発注は“自動”だからと何もせず放置した結果、品揃えや売場に変化をなくしてしまい、商品回転率を落とし売上減。
さらには不良在庫を積んでしまうという最悪の結果を招いてしまった。
■ 自動 ≠ 何もしなくていい
この失敗例は、“自動”という言葉を勘違いした事が原因と考えられます。
そもそも、自動車でも全自動洗濯機でも自動操縦でも、“自動”がつくものほとんどは、人が手をかさないと動きませんし、正しく機能しません。
しかし、自動発注というと、「システムが全部正しく自動に発注してくれるから、何もしなくていい」と思ってる方が多いようです。
これだけ商品改廃スピードが早く、世の中の変化が早い現在において、何もしなければ当然この失敗のような品揃えや売場に変化をなくしてしまう事が発生します。
◇ 成功のポイント
発注を自動化する事で削減できた多くの工数(時間)を、商品需要の判断・必要情報蓄積や分析にあて、自動発注の精度を高める事が成功のポイントになります。
これまで担当者の経験や勘だけに頼っていたところから、しくみとして動く事に企業として移行し、魅力ある売場、ロスの少ない売場を構築をする事が自動発注導入後の課題となります。
自動発注は稼働がスタートであり、ゴールではありません。
失敗例2: 需要予測に取り組むも、欠品が多発
■ 需要予測が当らず、使い物にならない
需要予測システムを多額な投資をして構築し自動発注を始めたが、需要予測値と現実とのギャップが広く発生し、欠品が多発してしまうという結果になった。
現場からは使い物にならないという声まで・・
■ 需要予測はまだまだ人間が上
需要予測システムの多くは、過去のPOSデータをもとに傾向をはじき出し、コーザルデータ(天候・温度等)も考慮しつつ、未来の需要予測をするというモデルです。
しかし、優秀な発注担当者は、それ以外にも、競合店の売価や品揃え、そして自社のエンド構築やPOPの有無、運動会や遠足などの行事、給食の献立、ワイドショーまで意識しています。
まだまだ国内の需要予測システムは未成熟です。
◇ 成功のポイント
よって、現場からの「使い物にならない」というクレームに需要予測を断念してしまうのではなく、様々な事象や情報も加味し、あきらめることなく予測精度をどんどん上げて、絶え間なく変化し続ける事が成功のポイントではないでしょうか。
・小売業向け基幹システム「CHAINS Z」基本ガイドブック
・電気代・物価高・人件費高騰、物流2024年問題…これからのスーパーマーケット ~難局への処方箋~
失敗例3: 一気に展開して最悪の事態に・・
■ 机上では問題ないはずが・・
他社で実績のある自動発注システムを導入し、理屈上問題もなく(人が発注するよりはあきらかに精度があがる)、テストも実施し、自信をもって全店、多数部門で稼働させたが、欠品や過剰在庫が多発して、全店舗・多数部門でトラブルとなり、結果お客様に迷惑をかける事態となった。
■ 無謀なチャレンジで・・
日本の小売業での自動発注は、まだ完成度はさほど高くなく、大きな成果を上げたのは、ごく一部の企業といっても過言ではありません。
それにもかかわらず、システム構築、即展開という無謀なチャレンジをしてトラブルを起こすケースが後を絶ちません。
◇ 成功のポイント
完成度が高くないアプリケーションは、「一点突破全面展開」が原則で、1店舗である分類での実験導入が原則です。
そこで結果が出て、成功してから、店舗・部門を広げていく事が成功のポイントになります。
自動発注で大きな効果を上げた企業の例では、導入前のテストだけで1年間かけて試行錯誤を繰り返し、責任者は相当なご苦労をされたそうです。
そして、やっと1つの部門からスタートし、効果を確認してから、展開したという経緯があるくらいです。
失敗例4: 全社に浸透していないため運用問題が多発
■ 悪気はない現場担当者たち
システム部門や商品部の幹部だけで、綿密に打合せをし、試行錯誤のうえ構築した自動発注システムであったが、いざ運用してみると、仕入伝票入力もれによる過剰在庫や、レジでの部門打ちによる欠品、レジ数量まとめ打ちによる品揃えの偏りなど、様々な問題が発生した。
原因をつくった現場担当者に悪気はなく、「早く仕事をこなす為」 「お客様に迷惑をかけない為」という意識であった。
■ 全社一丸となる事が重要
「伝票は後で回そうとポケットに入れたままだった」 「JANが読めないから部門打ちした」 「同じシリーズの色違いだから、スキャンせずX2で打った」現場ではよくある話です。
しかし、自動発注においてはこれらの運用は命取りになります。
◇ 成功のポイント
自動発注には在庫を中心とした正確なデータが要求されます。現場までその主旨としくみが浸透していないとこうしたトラブルが発生します。
自動発注を成功させるには、全社一丸となる事が重要となります。
いかがでしょうか?失敗例の共通点。それは、システムを作るまでは一生懸命、または人任せ・・
自動発注に限らず、多くのシステムは、システム完成はゴールではなく、実はそこがスタートのはずです。
システム投資の目的を果たすために、基幹システムを道具としてうまく活用するまで、成果があがるまで、試行錯誤をくり返し、システムや運用のブラッシュアップが必要です。
株式会社テスクが提供する小売業向け基幹システム「CHAINS Z」はチェーンストア理論に基づく機能が備わっており、小売業様に最適な自動発注が可能です。
ガイドブックも提供しておりますので、ぜひご覧ください。