基幹システムで納品率向上を目指す意味とは?
納品検収する側から見た時の仕入先の評価基準や、条件交渉時の材料となるものの一つに「納品率」があります。
あらためてどういうものなのでしょうか?
今回は、基幹システムにおいての意味とその活用方法について考察していきます。
また、立場とてしては出荷側・発注側それぞれの立場からみたときの基幹システムで算出する「納品率」の活かし方と意味についてもふれていきます。
目次
納品率とは?
いきなり「納品率」の話と言われてもあまりピンとこないかもしれません。
世の変化に対応し、重要さが増し、注目されてくる指標や数値が存在しますが、その中のうちの一つが「納品率」です。
納品率自体は以前から重要な指標であったのですが、このご時世でさらに重要度が増しました。「納品率」とは、納品精度の指標のことで、「納入個数/発注個数」で算出されます。
納品率には、(卸側目線の言葉ですが)大きく分けて「出荷納品率」と「得意先納品率」があります。
「出荷納品率」は出荷段階での注文充足率を指し、「得意先納品率」は店舗において検収された商品の納品率のことを指します。
「得意先納品率」は検品によって発覚した誤配送や破損の分が含まれなくなるため、「出荷納品率」よりも低い数字となります。
「納品率」は全業界において重要な指標ですが、業界によって「納品率」を重視する比率や度合いがことなると思われます。
ひときわ重視する業界は飲食料業界や医薬品業界、B2B市場やアパレル業界などがあげられます。
一部では、納品率を重視し、定番を除き再販不可(売り切れ御免)とする販売政策をとる卸企業もあります。
基幹システムにて納品率はどのように算出すればよいか?
基幹システムにおいての「出荷納品率」とはセンターからの出荷段階での注文充足率を指します。
一方の「得意先納品率」は、サービス率と表現されている場合もくらいで、店舗での検品後に明らかになる納品率を指します。検品によって発覚したミスや破損の分だけ出荷納品率よりも低い数字になります。
店舗段階での受け入れ検品を省略する「ノー検品」が、今では広く普及しているように、検品後のデータを返してくる店舗は限られているため、タイミングによって出荷側では把握できていないケースがあります。
つまり「得意先納品率」は出荷側では取得しにくい数値となっているのが現状ですが、それでも取得していったほうがいい理由があります。
それはどういった理由なのでしょうか。
基幹システムにて納品率の取得はなぜ必要??
なぜ納品率の取得が必要なのか?
検収する側(仕入する側)は注文(発注)したものの納品されないことがある場合、予定した販売計画通りいかないケースが発生し都合が悪くなります。
言い換えれば、チャンスロスを生んでしまう可能性をはらんでいることになります。
よって「注文充足率」を一つの指標にして取引先を選別します。また、この「納品率」でより良い取引条件を引き出すための交渉条件にするために必要としていることもあります。
一方、出荷側からしても「出荷納品率」・「得意先納品率」ともに数値を無視した管理は、顧客からの評価を落としてしまう恐れがあります。
どちらの納品率に注目するにせよ、リードタイムが短縮化され、タイミングよく確実に「注文分を用意できること」が重要であるこの時代に管理する一つの指標として「納品率」を取得する必要は非常に高くなっています。
基幹システムにて納品率は取引先評価と交渉のカギ
主に検収側(発注した側)の視点ですが、「納品率」は上述のとおり、よりよい取引条件を引き出すための交渉条件にするために必要です。
しかし現在、流通BMSやEDIデータにて出荷データを受注側(出荷側)から取得し、発注データと比較して差を出し、発注の充足率をデータとして活用しきれているところは思ったほど多くありません。
まずは数値を取得することが重要です。さらに、定期的かつ継続的に確認し、交渉条件に用意するところまでを真摯に実施することがまず必要となります。
ただし、発注側から無茶な発注をしていないか、契約を無視した数量となっていないかなど十分な確認が必要です。
また、出荷データと実際に納品されるものとの間の差も現実問題として発生しており、事故による破損や不手際・ご配送などによるものも存在しますが、まず、責任範囲が出荷側によるものなのか、センター納品後の発注側の責任によるものなのかの判断をする必要があります。
これらの作業は業務の多忙さから判断タイミングが遅くなりがちです。
そのため、タイミングのよい数値としては捉えにくいですが、返品データの一部として明確にしているところもありますが、基本的には効率を追求し、店舗での納品検収作業を実施しないことなどから、店舗などにおいて品出しをする段になって発覚することなどがあり、どの段階での運送途中で破損したのか責が明確にならないこともあります。(場合によっては店舗保管時の不備であることも存在するためです)
さらに責が明確に出荷側だと判断した場合についても支払時の交渉で済ませている場合も多く、発注側はそれらの数値データを十分に出荷側に提供できておらず、出荷側も十分に取得できていません。
さらに実施できていたとしても発覚するタイミング的にはタイムリーなものでない場合が多いです。
納品率の意味 総括
なんといってもご時世。ものにもよるが商品の調達が思ったとおりにいかないケースが増加しています。
それがゆえに「出荷納品率」を上げること(欠品率を下げること)が発注側も出荷側も信頼を勝ち取るために重要な要素となります。
出荷側としては受注データと出荷データの差異は取得できるため、なぜ出荷数に差異が発生しているのかを分析する必要があります。
イレギュラーな需要が発生していたり、コミュニケーション不足による調整不備であったり、契約内容の周知不足であったり、さまざまな理由や原因が想定される。
ここで真摯にこれらの原因を分析し、欠品もしくは出荷できない状態を発生させない努力をすることが、競争を生き抜く道の一つとなるでしょう。
原因分析した結果、さまざまな要因があることが分かるはずです。
集約すると
- 同業他社の在庫状況:他社の在庫状況や売れ筋商品の品薄の有無
- 販売起因:販売予測精度・安全在庫(販売側で抱える在庫)
- 調達/生産起因:リードタイム・安全在庫(本部や工場側で抱える在庫)
- 物流起因:配送コスト(多頻度配送)
などがあげられるようですが、出荷側の対策としては以下のようなものが考えられます。
販売予測精度の向上
以下のものを意識して対策する。
- 商品市場の反応
- 流通在庫、販売実績の状況
- 品質問題
- マーケティング要因
- 販売見込みや担当者のスキル
- 特殊要因:物流上の問題、天災(台風、地震、気候変動)、他様々な要因の特需等
安全在庫の見直し
商品ライフサイクルを意識した安全在庫の見直し
リードタイム短縮の努力
このように納品率を改善するためだけでなく、これらの指標と連動して管理し資産効率を改善することで企業価値を向上させます。
さらに現場力を強化して、無駄な在庫を削減していくことが必要となるのです。
また、発注側としても努力や協力が必要となります。
数量調整
代替品調整
納期調整
上記について、コストメリットや長期契約メリットなどを加味したうえで検討し、受け入れることです。
また、これらが最初に述べたように条件交渉時の材料となりえます。
それと同時に「得意先納品率」の指標となるデータの提供を行うことが必要です。
出荷側は物流費比率を重視して経営をしているため、物流品質がともすれば落ちがちです。
【まとめ】基幹システムで納品率向上を目指す意味とは?
返品データの中でも返品理由にて責を明示したうえで出荷側が対策できるようデータ提供することは、発注側が考えているよりも重要なのです。
こうした事故によるチャンスロスや返品手続きの手間は、どちらにとっても時間・労働力的なロスとなります。意図的に時間をとって対策することをお勧めします。
改めて記載しますが、「納品率」という指標は オペレーションの精度、商品調達力、情報共有のレベル等々、すべての要素が集約されて表れます。
発注側・出荷側どちらかだけでの努力では不十分であり、双方に意識して「納品率」の改善に取り組むことが重要であり、お互いに益をもたらすのです。
また、このご時世がゆえ、販売予測精度は悪化し、コミュニケーションもとりづらくなっているかもしれませんが、だからこそ、「納品率」は改善に取り組むべきなのです。
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