基幹システムの課題を解決して業務改善するには?

基幹システムの課題と言われても、ピンとくる方は少ないかもしれません。

本ブログでは、経産省の“DXレポート”を皮切りに、課題の解説と、課題を解消するために知っておくべきポイントをご紹介します。

 

課題解決をして、業務改善を目指しませんか?

基幹システムの課題とは

「基幹系システムとは、企業や官公庁などの情報システムのうち、事業や業務の中核に直接関わる重要なシステムのこと。または、全社で共通して利用される、その組織全体の基盤の一部となるシステム。」

(参考:IT用語辞典「基幹システム」https://e-words.jp/w/%E5%9F%BA%E5%B9%B9%E7%B3%BB%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0.html)

 

上記の通り、基幹システムとは、会計システムや、販売管理システム、生産管理システムなどを指します。企業の“中核”にあたるシステムのため、動いていて当たり前、止まってしまえば企業にとって大損失…という存在です。

人によっては、基幹システムを操作することが、そのまま業務になっている方もいらっしゃるはずなので、「基幹システムの課題」と言われても、「今まで通り業務ができれば問題ないのに、何が課題なの?」とピンとこない方もいらっしゃるくらいです。

このブログを読まれる方には釈迦に説法かもしれませんが、皆様は“DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート”をご存知でしょうか?一部の方にとって、「DX」はもはや使い倒されて流行遅れな言葉かもしれません。しかしながら、基幹システムを考える上で、このDXレポートにあげられた「2025年の崖」という言葉は大変重要なので、改めて以下に引用させていただきます。

 

「多くの経営者が、将来の成長、競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネス・モデルを創出・柔軟に改変するデジタル・トランスフォーメーション(=DX)の必要性について理解しているが・・・

 ・既存システムが、事業部門ごとに構築されて、全社横断的なデータ活用ができなかったり、過剰なカスタマイズがなされているなどにより、複雑化・ブラックボックス化

 ・ 経営者がDXを望んでも、データ活用のために上記のような既存システムの問題を解決し、そのためには業務自体の見直しも求められる中(=経営改革そのもの)、現場サイドの抵抗も大きく、いかにこれを実行するかが課題となっている

 → この課題を克服できない場合、DXが実現できないのみでなく、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性(2025年の崖)。」

 

 (参考:経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~(サマリー)」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_01.pdf)

 

簡単に言い換えますと、基幹システムの課題は大きく、以下の4つがあげられます。

1.  複雑化・ブラックボックス化

システムを長年利用する中で、特定の部署の業務最適化を目的に、過剰なカスタマイズがされており、「このプログラムを修正した場合、どこまでシステムに影響が出てしまうかわからない」というところまでシステムが複雑になっている上に、構築したベンダーや社内の担当者の代替わりがあり、“複雑さ”さえも見えなくなっているという場合があります。

 

これはシステムを改修する際に、調査や構築に時間がかかるだけでなく、その分コストもかかる原因にもなります。
その結果、「法対応やOSバージョンアップなどの更新対応といった“今のシステムを維持する”のに精いっぱい」「令和なのに未だにこんな業務が残っている・・・」となってしまう問題が多くの企業で発生し、課題となっています。

2. 担当者の退職

これまで基幹システムを担当してきた方の退職や高齢化が進み、「複雑化・ブラックボックス化」がより一層進んでしまう、という課題です。

 

特に、情報システム部がない企業では、システム担当者は1名で、すべてその方に任せてきた、という企業も多くあります。

その方が退職されてしまうと、たとえ後任者がいたとしても、システムすべての把握はかなり難易度が高いです。

3. IT人材の不足

企業内だけでなく、社会全体として、IT人材が不足しています。DXレポートによれば2025年には約43万人まで拡大すると言われています。

その場合どういう現象が発生するかというと、国内すべてのシステムベンダーが手いっぱいの業務を抱えたとしても、その手から零れ落ちてしまう企業が発生してしまいます。

 

IT人材のコストは需要と供給のバランスが釣り合うまでどんどん上がっていくでしょうし、システムの維持にはさらなるコストが発生するようになるでしょう。

4. サポート終了・法対応

Windows7のサポートが終了し、2年が経過しますが、Windows11に対応していく必要もありますし、また、サーバーのOSで言えば、Windows Server 2012も、2023年にサポートが終了します。

その他、固定電話網の提供が2024年に終了、SAP ERPのサポートが2025年に終了するなど、外部要因によるシステム対応の必要性が今後発生します。

法対応で言えば、インボイス対応や電子帳簿保存法対応など、対応されていない企業様も、まだまだ多くあるはずです。

 

ここまでさまざまな基幹システムが抱える課題をご紹介してきました。
次は、課題を解消するためにどういった点に気を付けるべきかについてご紹介します。

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基幹システムの課題解決はなぜ難しいのか

前述した課題を乗り越えるためにDXが必要と叫ばれているものの、なかなかうまくいかない例も多いようです。

その理由として考えられるものをいくつか挙げさせていただきます。

・現場の反対が強い

基幹システムは初めに申し上げた通り、企業の“中核”にあたるシステムのため、動いていて当たり前であり、現場によっては、基幹システムを操作することが、そのまま業務になっており、そのシステムを変える必然性を感じない方も多くいらっしゃいます。

システムというものは、あくまでこちらが指定したことを、ひたすらやり続ける機械なので、人間が行うような忖度や、調整ができません。そのためシステムを入れることによって「業務が増える」「複雑化した」「柔軟性がなくなった」と感じてしまう方がいるのは、ある程度仕方がありません。

 

しかしながら、この先、その現場の方が10年20年と会社に居続ける保証はどこにもありません。

ベテランの方が抜けたときに、新人はいったい何を根拠に業務を行えばよいのでしょうか。

ベテランの方ができるスピードを新人ができるまでに一体どれくらいの期間が必要なのでしょうか。そうであれば、システムは「誰でも」「同じ質で」サービスを提供できるような仕組みであるべきです。

・上層部の理解が不足して無理を言う、目先の新しいものに飛びついてしまう

「AIを入れれば効率化する」というように“自動化”“省力化”というワードにつられてシステム導入されてしまう例があります。

これは、業務の“棚卸”が出来ていなければ、かえって業務を増やしてしまう本末転倒な結果になりかねません。例えば、AIは大量のデータを処理し、最適解を出すロボットです。

 

そのデータが間違っていたり、リアルタイムでなかったり、歯抜け状態であれば、最適解は出せません。

そもそも正しいデータを持てるような業務の回し方をしていたり、システム環境を整えていなければ、全く意味がないです。そうしたITへの無理解と現場からの乖離はDXを失敗に追い込みます。

・DXの根幹となる基幹システムが古い

どれだけ企業がDXに対してやる気があっても、基幹システムがブラックボックス化していれば手を入れるのにも躊躇します。

外部にデータ出力するだけでも大変・・という状況では、PDCAを回しDXを推進するのは不可能です。

・業務とIT化のバランスが取れていない、現場がついてこられない

初めからすべてをシステム化するのは非常にハードルが高いです。そのため、システムだけでガチガチで固めるのではなく、まずは段階的に仕組み化していく発想も必要と思います。

 

日本の伝統建築「木組み」には、木と木の接合部分に「遊び」と呼ばれる緩みが持たせてあります。

これによって地震で家が揺れても気が折れずに倒れない家ができます。システムにもこのような「遊び」を持たせ、緊急時にも柔軟性をもった仕組みとなります。

課題を解決して、業務改善へ

・責任者は現場・上層部・ITベンダーの橋渡しとなれる、バランスのとれた方であるべき

DXとは業務の棚卸からはじめる地道な業務である一方で、現場の反対を押し切り、思い切った業務変更を行う勇気が必要だと思います。

現場だけが主導だと部分最適化かつ現状維持のシステムになる可能性があり、上層部主導ではあまりに現実的でないシステムが導入されてしまうかもしれません。

現場と上層部のかけ橋となる人材が必要です。

 

それは必ずしもシステム部の人材とは限りません。責任者は上層部と現場の板挟みになってしまう場合もあると思います。

そのため、企業全体もしくは取引先も含めた全体の効率化を考えられ、かつ現場が実現できる業務フローを考えられる方が良いです。

また、欲を言えばIT知識がありつつも、IT知識のない方にわかりやすく説明ができる方が良いでしょう。ただし、IT専門知識が必要というわけではありません。システムを概念的にでも理解できれば、「できること」「できないこと」が分かり、よりスピーディーな判断が可能です。

・トライ&エラーを前提とした人事評価

ここ数年で役職に「DX」と付いた方と何度もお会いするようになりました。これまでお話ししてきたように、DXを進めるには大きな責任と地道な作業が伴います。

また、思い切った決断が必ずしも正解とは限りません。

 

しかしながら、さまざまな改革に挑戦し、間違っても戻って再挑戦するような姿勢が、「DX」には必要だと思います。

そのため、メンバーの人事評価についても、それ相応の評価制度であるべきと思います。

・ブラックボックス化した基幹システムは思い切った刷新を

「DX」の根幹となる基幹システムが、ブラックボックス化していると、どうしても取り組む企画が部分最適となってしまいます。

基幹システムを見直すともなれば、これまでにない思い切った業務フローを以って業務改革が可能です。

 

このような課題を解決して、基幹システムで業務改善を目指してみませんか?

まとめ

「基幹システムの課題を解決して業務改善するには?」と題しまして、基幹システムの課題と、それらを解決する困難さや、解決方法について筆者の思いを述べさせていただきました。

テスクでは流通業の基幹システムの課題解消や業務改善のご提案ができる「業務を理解したITベンダー」として、営業や技術者が多数在籍しております。

 

もちろん、当社だけで、貴社のDXを推進するのは不可能です。

しかしながら強力なサポーターとしてノウハウのご提供や、ご支援ができるはずです。ご興味のある方は是非一度お問い合わせや資料をダウンロードしてください。