基幹システムが客数向上に役立つ方法とは?

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多くの方々は客数向上を担う情報システムを問われれば、カードやポイントを管理分析する顧客管理システムと答えると推察しますが、多くの顧客を集客するスーパーマーケットやホームセンターにおいては、もっぱら客単価の押し上げに有効であり客数向上への貢献度は低いのです。客数向上を達成するには、客数向上の2面性、すなわち、新規顧客の獲得と既存顧客の来店回数向上のどちらか、もしくは両方であり、基幹システム内でマーケティングを実践するほうが有効なのです。ドラッカーは顧客創造のために企業がもつべき機能はマーケティングとイノベーションの二つだけだと指摘しています。マーケティングやイノベーションはもっぱら基幹システムが得意とする分野であり、顧客管理システムでは無いと考えます。本ブログでは基幹システムが客数向上に役立つ方法を解説し、小売業の業績に対して基幹システムが多大な貢献をすることを解説します。

基幹システムが客数向上を導き顧客管理システムは導かない

マーケティングとは、顧客のニーズを探り、対応する製品やサービスを提供する機能です。「顧客のニーズを探る」と聞くと顧客購買履歴を分析して購買傾向を探ることだと理解しがちですが、購買履歴は店頭に陳列されていた商品から選択した結果でしかなく、選択が積極的な意識であったのか消極的な妥協であったのかを確認することはできません。つまり、顧客の購買は極めて限定的な選択肢の中から果されたのであり、本当の意味のニーズでは無い可能性が高いと言えます。したがって、顧客管理システムの結果を分析する事がマーケティングとは言えず、顧客創造を誘発するマーケティングとは言えないので、新規顧客の獲得に対する貢献度は低いのです。

それでは顧客管理システムは、客数向上の2面性の別の効果、つまり既存顧客の来店回数向上に有効なのでしょうか。結論から言えば、来店回数の高低結果は判別可能ですが、高い顧客の離反を防止したり、低い顧客の来店を誘導することは困難であると理解しています。高い顧客の離反防止策として、ロイヤルカスタマーの購買商品を欠品しないようにすると言われることがありますが、限られた売場においては、売れる商品を陳列し、売れない商品を改廃することは絶対に必要なことであり、顧客の嗜好も変化するので、新たな選択肢を提供することが結果として支持向上に繋がるでしょう。また、来店頻度の低い顧客には他店舗で購入している商品を自店舖で買っていただく必要がありますが、顧客管理システムに答えを出すことはできないでしょう。では、どのような施策が新規顧客を獲得したり、既存顧客の来店回数を増して客数向上に繋げるのでしょうか。

答えは、世界的なマネジメントの巨人であるドラッカーや我が国のそうそうたるチェーンストア育ての親である渥美俊一氏が言っている「ひとりでに『売れてしまう』ようにすること」なのです。そして、顧客管理システムではなく基幹システムこそが“ひとりでに『売れてしまう』ように”変革することを支援するのです。

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基幹システムが担う客数向上はマーケティングに因る

既に解説したように、マーケティングとは「企業が自ら扱っているモノが重要なのではなく、顧客が買っていると考えるモノ、価値と考えるモノが決定的に重要」と考えることであり、顧客が価値と考えるモノは社外にあるのです。しかしながら、無数にある社外のモノ全てが自店舗での扱いによって顧客のニーズを満たすのではありません。そもそも、店頭に陳列するまでには調達に関するさまざまな課題を解決する必要があるのです。残念ながら商談時に持ち込まれるモノの多くは、自店舗で扱っても顧客のニーズを満たさず、短期間で廃番の憂き目にあうことになるでしょう。自店舗で扱っておらず顧客が価値と考えるモノを探すために、現時点で世界最大の売上を上げている企業=ウォルマート(米国)の創業者サム・ウォルトンは愛機を自ら操縦して多くの競業店舗を見学(ストアコンパリゾン)したのは有名な話です。つまり、想像力を働かせて顧客のニーズを満たすであろうモノを1店舗で試売し、3店舗10店舗と扱い店舗を拡大して、全店舗に展開する運用が正解を導き客数向上に繋げるのは基幹システムの得意とする分野なのです。

基幹システムが客数向上を誘導する低価格化を実現する

ここまで解説したように、マーケティングを基幹システムで実践する事により客数向上が実現できますが、マーケティング以外にも客数向上を強く誘導する政策があります。低価格政策です。スーパーマーケットやホームセンターにおける低価格政策の有効性は論を待ちませんが、コンビニエンスストアは低価格政策以外で顧客を獲得したとの解説を見ることがあります。しかし、昼食における飲食店の顧客を低価格で奪取したのです。

小売の輪理論として米国経営学者マルカム・P・マクネアが提唱した、ローコスト・オペレーションにより実現可能になる低価格によって競合他店舗の顧客を奪い取る、すなわち客数向上を達成するのです。そして、ローコスト・オペレーションの実現を強力に支援するシステムこそ基幹システムでなければならないのです。基幹システムが実現するローコスト・オペレーションの要素は、サプライチェーンの変革や店舗における作業の削減(能率向上ではない)、チェーンストア経営の3S主義(Standardization/標準化、Simplification/単純化、Specialization/差別化もしくは徹底化)、マス・マーチャンダイジングであり、基幹システムは必要不可欠な道具なのです。低価格政策以外では、特に食品スーパーで用いられる、鮮度・品質・品揃えといったスローガンが有りますが、品揃えに関してはマーチャンダイジングを通じた商品政策が重要であり、商品構成や品揃えを決定する商品管理、フェーシングや陳列数、基準在庫を決定する在庫数量管理、そして改善といった一連の工程を経ることにより『売れてしまう』状態を作り上げて客数向上に繋げる行為を支援するのも基幹システムの機能です。

まとめ

ドラッカーは顧客創造の重要性を説き、渥美俊一氏は来店回数の増加を目指すように説きました。共に客数向上が経営にとって欠くべからざる目標であると言っています。本解説で間違いに陥りやすい顧客管理システムの導入効果に警鐘を鳴らし、基幹システムこそが客数向上に最も効果的である理由を解説しました。無論、顧客管理システムが無効であることを言うつもりは無く、客単価やダイレクトアプローチには効果があると推察しますが、コスパを十分計算することが大切であることは否定できません。翻って、基幹システムを利用したマーケティングを実践し、売れてしまう商品で売り場を創りながら、ローコスト・オペレーションを通じた低価格政策により客数向上を実現できると確信します。

2021/03/08