売上アップ!小売業の成功事例や面白い取り組みを集めてみました

教育するのを諦めたら、スタッフが育った

■ 教えること「教育」が無意味?

元凄腕バイヤーのある小売業経営者のお話しです。

この経営者の方は、自分の経験をもとにスタッフに対して、売場の作り方や陳列方法、売れる商品の育て方や、商品選定・価格決定等々、手取り足取り何度も何度も一生懸命教えたそうです。しかし、スタッフはなかなか理解しない、行動しない、育たない・・ そして、この子はダメだ・・ と何人も何人も店長やバイヤーを変えたそうです。

 

それをくり返しているうちに、これだけ教えてもダメだということは、教えること自体が無意味なんじゃないかと思えてきたそうです。

そして、次にとった行動が凄い!なんと「教える」のをスパッとやめて、全て「任せる」ことにしたのです。

よく考えてみたら、自分自身も誰から教わることなく、一生懸命やってきて身についたのだから、任せてしまえば、スタッフも責任をもって自ら動き、きっと変わるはずと思い「好きにやれ」と丸投げしたそうです。

■ 恐るべきスピードで育つスタッフ

任せた結果何が起こったか?

見ちゃいられないほどのダメダメな行動をするスタッフも多くて、何度も口を出しそうになったそうですが、よく見ると任せた結果スタッフがみんな生き生きとして仕事をしていたそうです。そして、自分の思い入れで仕入た商品は責任を持って売らないといけないわけですから、必死で考え、必死で売る。すると、あれだけ教えてもできなかった売場づくりや陳列、売れる商品を育てることができるようになったのです。

 

もちろん失敗が重なれば、給与や職位に直結するそうですが、このような任せられる立場と緊迫したムードに立ったスタッフは、自ら考え、自ら学び、次から次へと試行錯誤をくり返すという行動をとる。年齢に関係なく、むしろ若いスタッフが、恐るべきスピードで育ってきてくれたということです。

今回は、私が”これは凄い”と思ったことの事例を中心に書いていきます。ご存じの事例もあるかもしれませんが、あらためて、気づきがあることを願って記事にしていきたいと思います。

凄すぎる商品選定・販売の妙義とは

■ ネットでの売切れ商品

私の友人バイヤーの話しです。なんかこのこと書いたら怒られそうな気もしますが、子供の頃からの同級生だから何でもありということで、そして読まないことを願って・・(笑)

これまでのメルマガで商品選定のことは幾度も書いてきましたが、商品を決定するのにメーカーやベンダーさんの言うことだけ聞いて選定している人は論外。自分の目で確かめる行動をとることが重要ってなことを中心に伝えてきました。

ちなみに、これから書く内容は、これまで記事にしなかったんですが、これは凄い!と思った商品選定方法と販売方法なので、今回のテーマに合わせご紹介しちゃいます。

 

それはズバリ、amazonや楽天で、売り切れ商品を探すこと。

そんなこと前からやってるわい!と言われそうですが、amazonや楽天は日本中の人達が利用しているため、自社で取り扱ってない真の売れ筋商品を見つけられます。

そして、その中で売り切れということは注文が殺到している可能性が極めて高い商品であることは事実です。

■ 甘いバイヤーのおかげで

そして、ここからが凄いのですが、友人曰くその売り切れ商品を俺の力なら仕入てこれるというのです。

どうやるのかは私にも少ししか話してくれませんでしたが、売切れ続出の品薄商品を探すとき、大抵のバイヤーは2~3件のベンダーに連絡して・・

バイヤー:『○○(品薄商品)って入らん?』
ベンダー:『今、○○は全くないです』
バイヤー:『やっぱりないかー』

で、終わると言ってましたが、彼はそんなんで諦めるバイヤーがゴロゴロいるから、俺は仕入てこれると豪語してました。そして、「あるところにはあるんだな~」と意味深な発言をしておりました・・

 

あともう一つ、amazonや楽天には商品の口コミや商品評価が必ず書かれているので、それを読みまくり、心を打つ(思わず買いたくなる)メッセージを探しまくるそうです。

そして、それをPOPに書く。売上跳ね上がるそうですよ。商品の評価はなかなか自分の店に来るお客様に直接聞けないので、ネットの口コミを参考にして、商品紹介文に役立てているそうです。

素敵な言葉・マインドに脱帽

■ 私が心を打たれた言葉

次はちょっと一息。私が人から聞いて、これは凄いと思った言葉です。

  • 明日死ぬと思って全力で取り組み、永遠に生きると思って学び(勉強し)続ける
  • 好き嫌いを決める前にチャレンジする
  • 人は、やったことを後悔するよりも、やらなかったことを後悔する
  • 我々にとっての最大の競争相手は、同業他社・他店ではなく
    世の中の変化、お客様のニーズの変化こそが最大の競争相手

 

いかがですか?たった一言で心を動かさられる言葉ではないでしょうか?

解説はいらないですよね?

半端ない回転率をたたき出す

■ 売上を押し上げる在庫回転率

売上を計算式で表すといろいろな数式があります。

売上 = 客数 × 客単価(買上点数×一品単価)
売上 = 坪売上 × 坪数
売上 = 従業員売上 × 従業員数

書き出せば、いくらでもあり、この各々の項目(例えば客数や坪売上)を増やせば売上が上がるわけです。

中でも、これを上げれば多くの項目が相乗的に上がると言われる項目があります。

 

それは「在庫回転率」。回転率を含めた売上の計算式を書くと・・

売上 = 在庫回転率 × 在庫高

 

在庫回転率が上がれば、商品提供スピードがあがり、鮮度の高い商品をどんどん提供できるため、客数や点数、坪売上に1人あたり従業員売上も上がります。

そんな重要な在庫回転率を、凄い数字でたたき出している事例をご紹介しましょう。

■ トヨタのかんばん方式は、スーパーマーケットが手本

あの有名なトヨタの「かんばん方式」は、はじめ「スーパーマーケット方式」と呼ばれていたことをご存じでしょうか?

「かんばん方式」は、スーパーマーケットの「必要なときに、必要なものを、必要なだけ、並べておく」 「必要最小限、生産して補充していく」というやり方を見て思いついた方式なんです。

 

この事例は、この原点に戻っただけの話しですが、見事にこの方式で半端ない回転率をたたき出しています。

在庫回転率を上げるために、必要最小限の在庫で、必要なものを必要なだけ、手に取っていただけるよう並べておくということを実践しています。その中でも凄いのが・・

  •  凄い点①:購買頻度の高い商品は、地域一の安さで提供している
  •  凄い点②:品出し要員のスタッフ数とスピードが半端ない

 

まず、①の購買頻度の高い商品を徹底的に安くすることで集客力を上げ、お客様数を増やします

そしてその増えたお客様に、②の品出しをもの凄いスピードでやりきることで、鮮度の良い商品を、必要なときに、必要なだけ、並べておくんです。

 

それにより、できる限り在庫を抑えながら、回転率を向上させています

品出しをするだけのスタッフが、ものすごい数いて、最も効率のいい作業手順で品出しし続けてます。

 

この原点を忘れて商品を山積みにしたり、つくる効率を考えて大量に惣菜を生産したりで・・

売れ残る → 鮮度が落ちる → 見切る → 味が落ちリピートしない → 売上(回転率等)が落ちる

 

といった、悪循環(悪のスパイラル)に陥ってませんか?

なんといっても出来立てが美味しいですし、みずみずしさが全然違いますよ。食べ比べてみてください。

予約14年待ち商品とその理由

■ 予約14年待ちの『天使の大納言パン』

以前メルマガでご紹介した、1日に何千個も売れる「仙台のおはぎ」や「兵庫県の巻きずし」も凄い商品ですが、現在14年待ちというそれを超える凄い商品があります。

それが「天使の大納言パン」(税込1,944円)注文した方に、14年後に突然商品が届いても覚えてないんじゃないの?と思ってしまいますよね。

 

なぜこんなことになるのか?美味しいはもちろんのこと、それはこの商品の背景や想いが広く知られていることと、1日に2~5個しかできないという限定感からです。

そもそも、このパンはレースで大ケガをされた競輪選手の奥様が、ご主人の回復を心から願い、パンの生地を練ることがリハビリになると始めたパン屋さんで、商品への思いがとても感動的です。

■ お客様は商品の思いや価格の理由を知らない

このように商品への感動的な思いや限定感が広く伝わると、爆発的売れ筋商品が生まれる可能性があります。商品を担当する人は、生産者の思いや商品の良さを熟知していますが、お客様は実はそれを全然知りません。

先日もテレビでやっていましたが、産地が全く同じフィリピンで一房90円と900円のバナナ。

我々からすると低地か中・高地栽培かで糖度が違うって当たり前のように分かりますが、消費者はほとんどその事実を知りません。

海苔でも全く同じサイズで同じメーカーで「270円の海苔」と「648円の海苔」。これも収穫タイミングの差で、味と値段が全然違うということをほとんどの消費者は知りません。

 

商品がなぜ売れるのかというと「商品を見るから」「商品を知るから」です。見えなければ売れるものも売れないし、商品を知らなければ値段だけで判断され、本当にいいものは売れないのです。

私は一度買ってくださった商品を末永くリピートしてくれる商品が真の良き商品と思っています。

以前、このメルマガで298円の弁当の横で、798円の弁当がPOP一枚で売れまくった事例を書きましたが、商品の思いや値段が高い理由がお客様に伝われば売れると思います。

 

今回は『売上アップ!”凄い”と思った小売業の成功事例や取り組みを集めてみました』というテーマで書かせていただきました。

本ブログを執筆したのは、名古屋を本社に置く流通業専門のシステムベンダー「株式会社テスク」です。

小売業向け基幹システム「CHAINS」卸・メーカー向け基幹システム「GROWBSⅢ」を提供してます。

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