基幹システムで業務改革をする絶対的手法

ずばり結論から言います!基幹システムで業務改革を実現するには…

思い込みや決めつけ、先入観、固定観念を捨てること、そして本質を見ることです。あの名将野村監督の名言に「先入観は罪、固定観念は悪」というのがありますが、今回のテーマにもそのまま当てはまります。また「今までこうやってきた」「自分のやり方が正しい、他は間違っている」という見方ではなく、小売業の本質である「お客様にどう喜んでいただくか」、ビジネスの本質である「どう価値を与え、どう収益を上げるか」という見方でなければ、基幹システムを導入しても、業務改革は実現できません。今回は例え話も交えながら、そのあたりを分かりやすく解説していきます。

基幹システムのリプレースは、業務改革の大チャンス!

基幹システムをリプレースする理由に、リース切れ、サービスの停止、法改正の対応、担当者の定年等よく耳にしますが、基幹システムのリプレースタイミングほど業務改革の大チャンスはないのに、それらを理由にシステムを置き換えてしまうと大きな損失を生みます。(理由ではなくキッカケならOK)

なぜなら、目線や価値観が、今の業務を新しいシステムに置き換えるというところになってしまうためです。Web商談のブログでも書いたように、商談をただリモートにするだけでは、かえって仕事量は増えるだけ、商談の仕方そのものを改革しないと意味がないのと同様です。これを例えるなら、引越でラクラクパックを使うようなもの。確かに部屋はそのままで荷物の梱包から開梱まで全部業者がやってくれるからこんなに楽なものはないけれど、実は捨てられる不用になっているものまで全部新居に運ぶため、その分余計にお金はかかる上、生活レベルやリズムも変わらない。お金をかけてチャンスにフタをしているようなものです。引越ほど不用なものを整理できて、スッキリと生活レベルや生活リズムを変えられるこんな大チャンスはないのに、そのチャンスを使わず、お金だけ使う…実にもったいない話です。

基幹業務システムのリプレースの本質は、今までの仕事のやり方を変え、低い生産性を向上させ、お客様へ価値が提供できる仕事に人がシフトできるようになることです。これらを確実に実現するには、システムの引っ越し(笑)、いわゆる基幹システムのリプレースの検討時期ですから、このチャンスを逃す手はありません。

逆に基幹システムのリプレースにおいて、一番もったいないのは、検討を進めている途中でやめてしまうことです。これをすると、そこまで費やしてきた時間やコストも、お客様もそして周りの協力者の方も業者の時間も全て無駄になりますし、それを実施したらどうなったかの結果検証も、経験も積むこともできません。そして、まわり全体にロスが発生し、全体コストを押し上げる原因にもなるからです。また、基幹システムのリプレースの遅れが生じることで、機能不足・無駄なコスト・機会損失といったデメリットがやがて発生してしまうので、本当に大きなロスになってしまいます。

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基幹システムとの連動で未来の業務は変わる

ここのところDX(デジタルトランスフォメーション)という言葉をよく耳にしますが、その行き着くところは、正解のある知的労働はAIに置き換え、単純労働はロボットに置き換えるというところにあるように思えます。もし、それが実現できたら、(極論ですが)労働集約型の典型であった小売業が、資本集約型に近づき生産性が極めて高い業態になれます。そして、人の仕事といえば、接客系と知恵と工夫・創造性のある優秀な人材のみが必要とされるような状況が考えられます。その状況に必要な情報はビッグデータであり、それらが基幹システムに連動することによって、優秀な人材に知恵や工夫、発想とか構想が導き出され、企業の生産性向上に一役買うことになるでしょう。

このような背景の中で、基幹システムを導入して「うちには合わない」をしたら、生産性が上がるどころか落ちてしまい、最悪は経営にまで影響が及んでくるので、とても危険です。だからといって自社の今の業務に合わせてカスタマイズを繰り返す手法は、20年前までは有効でしたが、これからの時代においては先入観と固定観念の塊として残り、かえって時代の変化に合わせる業務改革の足止めをしてしまいます。小売業の未来の業務は今後、大変と書くように”大”きく”変”わるのです。

では、大きく変わるにはどうしたらいいのか?その簡単な方法は、システムに合わせて業務を変えることです。それができれば多くの問題が消え去ります。自社の業種・業態に適した完成度の高い基幹システムがあれば可能です。そして、仕事の多くを発想や構想といった創造的なものに移行して、本質であるお客様への価値へと大きく舵を切ることが最も求められることになります。

ムダ・ムリ・ムラを基幹システムで排除

小売業で良く聞く言葉に、業務のムダ・ムリ・ムラというのがあります。簡単に言うと”ムダ”は、業務を完結するまでに必要以上に時間をかけてしまっている状態。”ムリ”は、一人当たりの業務の量が多すぎる状態。そして”ムラ”は、人や時期によって、業務が偏っている状態です。これらを人間の体に例えると、多くの脂肪がついてる状態です。だからダイエットをしないといけません(笑)

基幹システムにおいては、脂肪を落とす(全体最適)より、筋肉をつけようとする(部分最適)発想してしまう人が多いですが、ダイエットは、まずは脂肪を落とすことが先決ですよね?その脂肪を落とすダイエット法が、基幹システムのリプレースです。そしてそれは脂肪吸引手術のように簡単にダイエットができます。どうするかというと、これまでの固定観念を捨てて、システムに業務を合わせて、不要な業務を”やめる”、必要なことだけに間引きして業務を”減らす”、生産性が上がるように業務を“変える”という3つのアクションです。

本質に基づき、お客様に価値を生まない業務は”やめる” ”減らす” “変える”をすることで未来の業務は大きく変わっていきます。各企業には歴史があって、意味があって、積み重ねて、今の業務スタイルがあるとは思いますので、簡単に見切れないという気持ちには寄り添えますが、その先入観や固定観念にとらわれていては、未来の業務は変わりません。その業務は、本当にお客様価値につながるのか?お客様に喜んでいただけるのか?そういった本質・価値観に基づいて判断すれば、ムダ・ムリ・ムラといった余分な脂肪は排除できると思います。冒頭で言いましたが、もう一度言います・・ 「先入観は罪、固定観念は悪」です(笑)

基幹システムをリプレースしない理由

各企業が基幹システムをなかなかリプレースしない理由は大きく3つです。

・大きなコスト

・大きなワークロード

・大きなリスク

これらの三大理由でリプレースに踏み込めない企業は多いと思います。そして、気持ちもとても分かります。

しかし、基幹システムのリプレースは、部分的に業務システムを導入する部分最適とは違い、全体最適を目指すので、一時的なコストもワークロードも大きくかかりますが、先ほどの例のように不要な脂肪を落とすことができるので、全体を俯瞰してみればムダ・ムリ・ムラが減り、生産性も上がり、トータルコストも下がる可能性があきらかに高いです。よって、そんなに問題視することではないと思います。一番問題になるのは3つ目の”大きなリスク”です。リスクの種類も”稼働しない”という低レベルのリスクから、”コストパフォーマンスが出ない”といったように、さまざまなリスクがあります。

しかし、リスクを恐れていては、改革も成長もできませんし、現在のまま変化しない方が、よほどリスクが高いと思います。よって、これらの理由でリプレースをしないことは実にもったいない話です。それよりも私の経験上最も危険なリスクは、現場の不平不満と、結果的に使わず業務の仕方を変えないというリスクです。こうなってしまったら最悪の事態を招いてしまいます。これら「使いづらい、前のシステムの方が良かった」等の不満は、出るケースは意外と多いです。しかし、それはいわば仕方ない話で、そもそも人は保守的であり、変化に対して抵抗感と不安を抱えるようにできています。基幹システムのリプレースでは、社員のみなさんのこういった心理的な側面や、抵抗感に対するケアが、とても大切になりますので、リプレースに向け、その対処をする専門部署や役員を含めた人員を配置する等、思い切った組織やマネジメントの変革が必要だと思います。

基幹システムの役割は変わった

基幹システムの役割というと、さまざまな情報を管理し、システムの根本的な部分を支え、業務の効率を上げる役割という印象があると思います。決して間違っていないものの、基幹システムの役割は大きく変わってきていると思います。どう変わったかというと、業務の効率を上げるというのは、もはや当たり前の話で、時代の変化に適した業務改革を支援するもの。すなわち、知恵と工夫、発想・構想をアシストするようなものになってきたということです。

もともと我が国は、自動車をはじめ電化製品や半導体等の製造業がひっぱり、日本人は世界一賢い人種であったはずが、悲しいかな製造業に限らず、小売業を含め日本人は知恵や工夫する力が無くなった気がします。知恵がないから多くの小売業は安売りに走ります。極端な安売りが1店できると、周りの5店6店は簡単に潰れてしまいます。こうしてどんどんお客様はお金を使わなくなり、給与も上がらず、不安も広がり、経済が疲弊して国力も弱くなっていく気がします。

だから今、小売業がやるべきことは、基幹システムで業務改革を実施し、知恵と工夫で生産性を上げることだと思います。生産性を上げるということは、業務の効率を上げるということではありません。お客様に対して本当に価値のあるものを見つけて、付加価値をつけて販売することです。そして、お客様に価値を生まないムダ、ムリ、ムラをなくしてコストを下げることです。ベンダーを叩いて安く買うことでも、目先に来るお客様にフォーカスして他より1円でも安く売ることではないと思います。

今回は、基幹業務システムで業務改革をする絶対的手法ということで書かせていただきました。

その絶対的手法は、思い込みや決めつけ、先入観、固定観念を捨てること、本質を見ることです。そしてその本質に基づいて知恵を出すことです。多くの人は知恵を出さずに、業者や周りのことを鵜呑みにして”お金”を出します。出すのはお金ではなく”知恵”です!私が本当に伝えたかったのはこのことかもしれません(笑)

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

2021/04/06