自動発注システムを構築したが、現場からのクレーム(品切れ等)になる解決策とは

自動発注システムを構築したが、現場からのクレーム(品切れ等)になる解決策とは

当社では、自動発注システムを多く経験しているからか、本題のような相談をよく受けます。

大方は、構築側(システム部)と現場側(店舗・商品部)の考え方の違いとお互い結果がでない事に対する不満です。

 

しかし、それ以上に深刻なのは、多額の費用をかけ構築した自動発注で、販管費が落ちないという経営側の問題です。

では、どうしてお金をかけて考えて構築したシステムなのに結果がでないのか?

当社で数多く相談をうけた内容から、共通して言える事を以下にご紹介しましょう。

【効果の出ない原因①】システム構築までは一生懸命考えるが、稼働後は使って文句を言うだけ・・

システムを作り上げる段階では、皆協力しあい、知恵を出し合い、一生懸命取り組むのに、稼働後はうまく行かないところ(品切れ等)ばかりに視点がいき、人のせいにする傾向があります。これが大きな間違い!

 

自動発注のシステム構築はあくまで方法(準備)であり、目的ではありません。

目的はシステムをつくる事ではなく、改革を含め仕事を変える事(販管費の削減等)。

システムが完成した時点は、やっとスタート地点に立ったという位置で、自動発注システム完成までの中間地点です。

そこからが実は一番重要で、あらゆるテスト・実験を徹底的にくり返し、問題点・課題点を整理し、試行錯誤の末、人間よりも正確でミスの少ないルール作りができるはずなんです。

 

それを理解せずに、構築側の責任にして使わなくなったり、現場側の責任にして、試行錯誤を止めてしまう・・ 

このような完成半ばで、さじを投げるケースが、とても多く見受けられます。

「成功とは、成功するまで続ける事」を認識できる企業は自動発注システムで大きな効果をあげています。

【効果の出ない原因②】単純、簡単に考えすぎ・・

「 Simple is best」まさにその通りではありますが、自動発注に関して、簡単に考えすぎている傾向が見られます。
まずは、簡単にはじめてみようという事で、例えば以下のような実施の仕方をすると・・

 

 ・売れたものを単純に自動補充発注
 ・在庫数が発注点を割ったものを自動補充発注

 

セルワンバイワン方式(売れたものを自動補充)の自動発注も一定の効果はありますが、商品販売実績(特売含む)や商品特性、商品のライフサイクルをきちんと考慮して行う必要があります。

仮に死に筋商品のPI値も低い商品がたまたま売れた際に、また発注がかかっていいものか?売れ筋商品で品切れを起こしているのに、売れた分だけの発注でいいのか?

その新商品は、リピートされる商品なのか?等々疑問が残ります。

 

また、在庫数が発注点を割ったら、決められた一定数を自動発注するしくみででも、シーズン毎の最大在庫数や過去の実績やリードタイムの考慮は最低限必要であり、単純に自動発注を実施してしまうと、過剰在庫だらけになって、在庫量や廃棄が増えたり、品切れで穴だらけの陳列になる恐れがあります。これでは本末転倒ですね。
「バイヤーや店舗担当が自動発注される商品を毎回チェックして調整してるから大丈夫!」という声もありますが、それは自動発注ではなく、発注勧告システムです。

それでは他社との競争力がつくほどの効果が期待できますでしょうか?

【効果の出ない原因③】基礎データが揃っていない

これもよくあるパターンですが、良い自動発注システムであっても、基礎となるデータが正確で即時揃わないと、全く機能しないという事実があります。

在庫が狂っていたり、仕入データや振替データがその日のうちに計上されなかったりしたら、当然発注も正しくされません。

よって、大前提として、確固たる基幹システムと運用ルールの確立は、自動発注の絶対条件となります。以下に紹介しますと・・

 

 ・仕入の即時計上(POR(検品)またはEDI(事前出荷明細)等による計上)
 ・売上の即時計上(POSによる計上)
 ・振替、廃棄の即時計上(HHT等による計上)
 ・上記を確実に正確に処理する在庫管理システム
 ・運用ルールの徹底(部門打ちやまとめ打ちの廃止、返品商品のルール等)

 

上記は、必須となるといっても過言ではないと思います。

データの発生時点で現場担当者が仕事としてデータ構築をしないと、仕事が前に進まないしくみにしなければ、結果として、データの漏れはなかなか防げません。

ポケットから伝票が出てきたり、後から入力しようとして忘れたりは、必ずありますので・・