商談のやり方革新 その道具とは?

商談のやり方革新 その道具とは?

世の中の至る所にリモートが浸透し、商談はオンラインがデフォルトになり、提案書はメールで送付されるようになりました。

歴史が2020年代を評価する時に“革命”と命名するかもしれませんが、2020年代に生きている我々には“革命”=“主従が入れ替わる構造変容”という意味合いを持つ言葉には拒否感があり、むしろ“革新”の方が受け入れやすいのではないかと思います。

ところで、今までの『やり方』の一部が”デジタルになってしまった”に過ぎない状況では、旧来の面談を繰り返す商談のやり方に比べて効果が落ちてはいないでしょうか?

また、部分的なデジタル化は効率化をも阻害してはいないでしょうか?

世の中の成り行きに流された対応で成功した事例はどれほどあるのでしょうか…?筆者は場当たり的な対応ではなく、業務内容を整理分析し、情報連携を統合管理して属人化を排除するシステム的な対応が有効だと考えます。商談のやり方に“革新”を起こす具体的な内容や、必要な道具を物語形式で解説します。

商談のやり方に、どんな変化が起きているのか。

【登場人物】

いずみ・・・中堅スーパーマーケット『キャップ 栄店』グロサリー主任
佐藤・・・・中堅スーパーマーケット『キャップ 栄店』店長
鈴木・・・・中堅スーパーマーケット『キャップ 本部』グロサリーMD(マーチャンダイザー)
渡辺・・・・中堅スーパーマーケット『キャップ』代表取締役社長兼COO
田中・・・・中堅食品卸『カント』営業部員
小林・・・・食品メーカー『六芒星(ろくぼうせい)』セールス
野田・・・・調味料メーカー『〇〇商事』ベテランセールス

寒さが幾分和らぎ花見のシーズンが近づくと、スーパーマーケットの店頭も季節を先取りした売り場づくりが活発になります。いずみがグロサリー主任として活躍している『キャップ 栄店』も、本部からの指示により順次棚割と陳列を変えています。

いずみ

店長!
本部の鈴木MDから新DXシステムを利用した、売り場のレイアウト変更依頼が送信されました。
でも、今まで紙媒体による説明だったのが、PCやタブレットを利用した文章や画像に変わったので戸惑ってしまいます。

 

佐藤

そのシステムは、渡辺さんが今年度方針で発表した経営方針の一つである『DXによる生産性向上』が結実した道具なのだよ。

今までのアナログ的な業務を部分的にデジタル化するのではなく、可能な限りWebを利用した業務に刷新するのに併せて、紙を徹底して無くすようにしているから最初は戸惑うけれど、慣れてしまえば便利に使いこなせるようになると思うよ。

 

いずみ

店長は慣れろと仰いますが、新しいシステムを使って鈴木さんから送られてくる商品紹介資料は、いかにもメーカーさんから提供された資料をそのまま利用したようにしか見えないのです…

 

佐藤

メーカーさんから提供された資料が利用しにくいのであれば鈴木さんに言って改善してもらうけど、実際はどうなんだい?

 

いずみ

読みにくいどころか、情報が濃くて良い資料だと思います。

ただし、メーカーさんによってレベルが相違しているので、高いレベルに合わせてくれるとありがたいのです。

 

佐藤

新しいシステムはメーカーさんだけではなく、卸であるお取引先や社内文書も商談サーバーに集められて一元管理されていると聞いたよ。

今までは、鈴木さんや他のMDやバイヤーがアシスタントの協力で資料を作成していたのを、メーカーさんやお取引先からの提供資料のレベル統一をお願いして、そのまま社内外への資料として使うようになり、随分作業が減ったらしいよ。

 

いずみ

新しいシステムは資料の一元管理が主な機能なのですか?

 

佐藤

それだけじゃないらしい。

そもそも、この道具を使いこなして商談に関する多くの業務処理がデジタル化し、商談回数が減った上にオンラインで実施され、面談スケジュールの調整も情報を共有化したシステムで行うように変わったそうだよ。

 

いずみ

大昔に国鉄の座席指定を電話と紙(台帳管理)でセンターが行っていたようなやり方を、現在はネットを利用してユーザーが席の埋まり具合をリアルタイムで見ながら予約できるようになったようにですか?

 

佐藤

いずみさんが生まれる前の大昔を話題にするとは意外だけどその通りだね(笑)

MDがメールや電話で受け付けて自己都合を調整していた方法を、お取引先がMDのスケジュールをリアルタイムで照会しながらできるようになったよ。

さらに、外部から提供された情報は、社内のワークフローやマスター登録などと言った二次利用三次利用に使われている。

 

いずみ

いつも忙しく走り回っている鈴木さんには、とっても役立つ道具なのですね!

 

佐藤

キャップメンバーの工数削減だけではなく、メーカーさんやお取引先の作業も効率的になったと聞いている。

今日の午後に鈴木さんが栄店に来るので、詳しく聞いてみよう!

 

いずみ

私もMDにキャリアアップしたいと思っているので、是非お聞きしたいのです。

 

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商談の部分的なデジタル化ではやり方は改善できない?

その日の午後は木曜日なので、お昼のチョットした繁忙を過ぎると比較的客数が落ち着き、店内はもとより事務所も時間がゆったりと流れているように感じられた。そんな事務所では、佐藤が本部通達への返信をPCに入力していた。また、いずみは担当部門の納品書を自動確定された仕入に間違いがないようにチェックしていた。

 

鈴木

こんにちは。佐藤さん、いずみさん。

 

いずみ

鈴木さん!お待ちしていました!

 

鈴木

おや、いずみさんが待っていてくれていたとは嬉しい限りですね。

 

いずみ

お忙しい鈴木さんに時間を割いていただくのは気が引けるのですけど…店長のお勧めもあって、新システムに関してお聞きしたいことがあるのです。

 

鈴木

遠慮は無用ですよ。

近い将来のキャップ・グロサリー部門はいずみさんに背負ってもらわねばならないと信じています。
そのお役に立つのであれば、時間なんて何とでもしますよ。

 

いずみ

ありがとうございます!

お言葉に甘えて早速ですが、商談のやり方改革のために導入された新システムはどのような道具で、今までのシステムとはどこが違うのですか?

 

 

鈴木

一言で言えば、今までは商談に関する作業を必要に応じて部分的にデジタル化したのですが、部分的なデジタル化では却って操作が複雑になって効率と効果が落ちてしまうのです。

そんな反省の元に、新システムは商談関連業務全体をシステム化・デジタル化・Web化して全体最適を目指したシステムなのです。

 

佐藤

こう言っては失礼だと思うけど、昭和の代名詞のような渡辺さんが推進しているとは思えないよ(笑)

 

鈴木

却って渡辺さんだから良いのだよ。

 

いずみ

何故なのですか?
昭和の発想とデジタルは相容れないのではないですか?

 

鈴木

中途半端にデジタルスキルがあると、過去や現在のテクノロジーやデジタル化に影響を受けて、大胆な発想ができないことがあるのです。

さらに言えば、生半可なITスキルを持つ人は、自分の知識の範囲で判断する傾向があるのですが、渡辺さんは中途半端な知識を持っていませんから、凡そ全ての業務をデジタル化しようとする固い決意をもって業務の見直しの旗振りを行ったので、聖域なき改善が実現したのです。

 

いずみ

聖域とはどんな内容だったのですか?

 

鈴木

例えば、メーカーさんやお取引先には、過去の成功体験が現在でも通用しているので、これを変更すると効率が落ちると言って聖域視して協力が得られ辛い部分があったのです。

渡辺さんは『私自身が先方の社長に会ってお願いする。』とまで言って、一部は本当に先方に行ってお願いしたので、メーカーさんやお取引先の抵抗勢力が忌避できなくなってしまったのです。

 

商談のやり方革新が変える小売業

いずみ

新システムにより、キャップの商談のどこが変わったのですか?

 

鈴木

先ずは、面談の回数が激減しました。回数が減ったからと言って質が低下したのではなく、逆に無駄が無くなって中身が濃くなったのです。

例えば、以前であれば、多い時は提案依頼、品揃え検討、条件交渉、採否通知、初回発注と5回面談していたのですが、試食や提案説明などの面談でしかできない商談以外は、新システムを利用したデジタル・コミュニケーションで十分になったので、一連の拘束時間が短時間で済むようになりました。

 

いずみ

鈴木さんが仰った作業内容であれば、メールを上手く利用すれば新システムでなくても良いと思うのですが、どうでしょうか?

 

 

鈴木

いずみさんも知っているように、キャップは3S、つまり単純化、標準化、特異化を推進しているのですが、メールに頼ると複雑かつ属人的になってしまうのです。

 

佐藤

先週の会議の後で、渡辺さんから新システムの評価を聞いたのだけど、商談の効率化として回数の減少以外にも価格交渉も迅速化したし、面談調整等のお取引先への通知やアポも随分早くなったと聞いたよ。

 

鈴木

おまけに商品マスターへの登録データをお取引先の担当から入手したデータをそのまま利用できるようになったので、商品部のアシスタントさんも楽になったと喜んでいたよ。

 

佐藤

鈴木さんにとっては耳が痛いのかもしれないが、商談の過程を管理職や経営層がチェックできるようになったので、マネジメントの質が向上したと渡辺さんも喜んでいたよ。

 

鈴木

そうなんです(笑)

手抜きも直ぐに指導されるから痛し痒しなんだけれど…結果的には良い方向に向かっていると感じるね。
ついでに情報が一元化されるから配属移動時の引継ぎ準備に手間がかからないから楽になったし、抜け漏れも無くなりましたよ。

 

いずみ

キャップのメンバーにとっては良いこと尽くめだけど、メーカーさんや卸さんにとっては迷惑なのではないのですか?

 

鈴木

いずみさんの鋭い突っ込みは、小売業の従事者が陥る独りよがりの罠に気づかされますね。

今度、カントの田中さんや六芒星の小林さんに聞いてみます!

 

商談のやり方革新が変える製造業・卸売業

ここはキャップではない某スーパーマーケットの商談待合室です。商談の順番待ちをしている田中と小林がマスク越しに小声で会話しています。

田中

キャップの鈴木さんから、新システムの評価の質問があったのですが、小林さんはご覧になりました?

 

小林

新システムを使ったメッセージだから、同時配信の依頼が私にもありました。
特に取引先のメリットに関してでしたよね。

 

田中

そうでした。
小林さんはどんな返答をするのですか?

 

小林

キャップさん以外の小売業でも、メールやWeb会議を使って商談のデジタル化や効率化を図っていますが…バイヤーさんはメールを見てくれなかったり、商談がダブルブッキングしていたりすることも多く、取引先は余計な手間暇が必要なんだよね。
けれども、キャップさんの新システムは一元化しているので、バイヤーさんが見落としにくいだけでなく、アシスタントさんやマネージャーさんもチェックしてフォローしているようなので、すっぽかしは減りましたね。
取引先もワンストップとシングルサインオンで操作できるので、慣れてしまえば効率的にできますね。

 

田中

その通りですね。
さらに言えば、我々取引先がピント外れな提案をしないように提案依頼の趣旨を指定して頂けるから、御用聞き営業から脱却して、小売さんには悪いけど『仕掛ける提案』ができるようになりました。その上、提案内容が悪ければ、面談前にダメ出しが通知されるから大胆な提案もできるようになりました。

 

小林

そう言えば、リベートも前は荒利補填のように使われていましたが、新システムではキャップさんの販売実績を事前に検討して、六芒星商品が売れるように文字通り販売促進に使えるようになりました。

 

田中

我々にとっては良いことが多いのですが、中年の営業マンには辛いようですね。

 

小林

確かに、〇〇商事の野田さんのような昭和時代の遺産的セールスマンは、デジタル化された道具を使うのが辛いのでしょうね。

 

田中

野田さん得意の人情劇場型『会ってなんぼ』営業スタイルには、僕も手を焼く時があるのです。

メーカーが提案する商品がいかに売れるかを提案するのではなく、今時はMDさんが売りたい商品…例えばPBと併売することによる相乗効果をアピールしないといけないのですが、野田さんにはできないようです…

 

小林

キャップさんが新システムで提供してくれる自社のPOS実績を分析し、販促や品揃えそして棚割の改善を通して、小売業さんが配送・納品・陳列・在庫を適正化できるように支援しなければ相手にされなくなりますよ。

 

田中

仰る通りです。
キャップさんから提供された道具の活用が、文字通り製配販のwin-win-winを実現でき始めました。

 

キャップの鈴木や佐藤が会話に入っていれば新システムへの高評価は御機嫌取りの可能性があるが、二人だけの会話なので本音だと理解しても良いだろう。キャップの商談のデジタル化システムは、渡辺の目的を十分に満たしているようである。

【革新物語は続きます。乞うご期待。】

株式会社テスクは、創業以来、流通業に特化し、小売業向け基幹システムの導入支援・運用支援に関する豊富な実績と経験によって蓄積された十分なノウハウを持っています。

弊社のWeb商談システム「商談.net」は、小売業をはじめとした流通業に特化したITベンダーである弊社が、小売バイヤー様の業務に焦点をあてて開発し、業務効率化にお役立ていただけると自信を持ってご紹介できるシステムです。
さらに詳しい内容を知りたい方は、「商談.net基本ガイドブック」をご覧いただければと思います。

2022/4/20