お客様に選ばれる店舗とは?

KEYWORD :

店の選択基準を主婦に聞いてみました

■ ここが良いではなく、嫌なところを・・

小売業の経営環境は競争がますます激化する中で、各業態の取り扱い商品や販売方法、販売形態がどんどん類似してき、独自性を演出することが結構難しくなってきています。この状態をお客様目線で考えると・・

どの店に行っても価値や満足度は同じ

ということになってしまいます。しかし、流行る店舗と流行らない店舗に分かれ、客数や売上に大きな差が出てくるのは何故でしょうか?

どの店舗に行くか?お客様の選択基準は、価格だったり、安心・安全だったり、駐車場の広さだったりします。
ちなみに、私の知人の主婦(10名程度ですが・・)に、スーパーマーケットを選ぶ基準を聞いてみましたところ、以下のような意見が出ました。

1位 同じ商品が他より高いのは嫌
2位 鮮度(生鮮系)が悪いところは嫌
3位 レジに3人以上並ぶのは嫌
4位 駐車場から店舗が遠いのは嫌、狭くて止めにくいのも嫌
5位 暗いとか、汚い店は絶対嫌

まず、ここが良いではなく、「何故”嫌”(ネガティブ要素)からみんな入るんやー」とツッコミましたが・・
「これは行く店の最低条件っ(怒)」と逆にツッコまれました。

■ 無意識に比較して選択している

じゃあ今選んで行ってる店は何がいいの?と聞いてみたら・・

圧倒的1位は・・

あの店の○○はいい(美味しい、品質)

でした。○○というのは、「お肉」とか「お刺身」とか「お野菜」のこと。価格とかではなく、美味しいものや安心・安全を選択基準の一番にしているんですね。まずは、その店の”看板”(○○が強い)がありきで、価格は他より割高感がなければいいという話でした。

それ以降、長~い話しを聞いていて分かったのは、彼女たちは店舗の良い悪いを具体的に分析して評価してるのではなく、口コミと漠然としたイメージで良し悪しを決めているということ。また、必ず他と比較して相対的に選択してること。無意識でしょうが、間違いなく自分の中の感性で比較したうえで店舗の上下関係を決めています。

■ 選択される店舗を目指せ

このように、現在小売業の立場は、お客様に選択される立場にいることを強く意識しなければなりません。そして選択されないところは今後間違いなく淘汰されるということも意識しなくてはいけません。

お客様に数ある店舗の中からどうやって自店を選んでいただくか?お客様の選択基準が何かを考え、自店をその基準に合った店舗にしていき、自店の弱みをカバーする強み、すなわち”看板”をうまくマーケティングしていくことが今後大きなテーマになるでしょう。

全く業種が違いますが、飽和状態となってきた「高齢者向けデイサービス」で、行列ができ入所待ち状態になっているのが「カジノ型デイサービス」。体操や音楽を楽しむ通常のデイサービスではなく、ブラックジャックやスロットといったカジノを楽しめるデイサービスで、高齢者の心を打つ”看板”をつくって、「行きたい」と選ばれる施設になっています。

従業員マインドが生む致命傷

■ 「宣言」では、お客様に信じてもらえない

選ばれる店舗のために自店の”看板”を作ればいいのですが・・
よく見かけるのが「新鮮!鮮度一番!」とか「お客様第一主義!」。実はこれただの「宣言」。こんなのは誰にでもできます。大切なのは「あの店の野菜は傷まない」とか「あのお店はお客様の幸せを一番に考えてる」という「信用」をお客様から得ることです。鮮度一番とか言ってドリップの出てる刺身をおいていたり、地域密着と言いながら、お祭りの日に品切れおこしたりして、「宣言」だけに終わっているところが実に多い。これでは「どこがやねん」とツッコミを入れられ、かえって「信用」を落とすだけです。

では、「信用」を得るには何が必要か?

それは、信用していただける「人づくり」であると私は思います。今後、信用してもらえる、選ばれる店になるために、一番変わらないといけないのは、店で働く従業員ではないでしょうか。

■ 従業員マインドとは?

経営者や経営層の方々は、お客様に満足いただいた”結果”に対して、お金をいただくことをよく知っています。では店で働く人はどうでしょうか?働いた”時間”に対して、お金をもらうという感覚の方が多いのではないでしょうか。これが『従業員マインド』です。これからの時代、このマインドが企業をどん底に落とす危険があると私は思っています。なぜなら、このマインドでは”宣言”に対し、上述のような”信用”を得ることがまずできないからです。何時間がんばったとか、一生懸命やったとか、お客様には全く関係ないことです。そこに価値を感じ、あくまでも自分の時間を売ろうとする『従業員マインド』が、お客様に見えてしまったら、信用を失い致命傷となりかねません。

とにかく、お客様に価値を生まない無駄はこれからの時代なくすべきです。お客様に関係のない作業や仕事に多くの時間をさくことは、今の時代愚の骨頂です。一度ぜひ作業の棚卸をしてみてください。きっと、そんな作業がごろごろ出てきますから・・(汗)

これからは従業員の方々も、会社に依存して会社から与えられるノウハウだけで、働いた時間の給料をもらって、生きていけると思ったら大間違いだと思います。結果を出さなければ取り残され、職を失って今の生活レベルを維持することさえ難しくなるでしょう。今の仕事でしか稼ぐ方法を知らない人はなおさらです。そんな時代がまさに今なんです。ですから、お客様に満足いただいた”結果”に対してお金をいただく感覚を持ち、そのために自身を磨き、成長し、変わっていければ、お客様・会社・自分とwin・win・winの関係ができるのではないでしょうか。

お客様の真の欲求にせまる

■ お客様と店側の関心事のギャップ

私がこれまで見てきた中で、業績のおもわしくない店舗のパターンは・・

そもそもお客様の要望に応えていない

というものです。選ばれる店舗になるには、お客様の要望に応えなければなりません。
なぜ応えられないかというと、ひとつは売る側と買う側の関心事にギャップがあるからです。そもそも、売る側の関心事は何でしょうか?多くは自分の成績を上げるために「売上・荒利を上げる」ということ。では買う側のお客様の関心事は何でしょうか?「今日の晩ごはん何にしよう」「冷蔵庫に○○が残ってるから」「お値打ちなものはないか」「家族の健康のため」「美味しいか」「日持ちするか」「あまらないか」「家族が喜ぶか」・・少し考えただけでも、多くの関心事が浮かびあがります。この関心事に応えているかどうかが問題です。

■ 真の関心事は裏の欲求?

と、美しいお客様の関心事を並べましたが、実は買う側の関心事は、このような表向きの欲求だけではなく、裏の欲求があり、さらにその裏の欲求の方が買物に与える影響が大きいということを、私は先日の知人の主婦達とのディスカッションの中で気づかされました。

例えば・・

「冬は鍋にかぎる、切るだけでいいから楽」
「はっきり言って、毎日疲れてるから、ごはんなんか作りたくない」
「節分の恵方巻き考えた人天才!ごはん作らなくていいもん」
「夕食の残り=弁当のおかず」「弁当の残り=旦那のおかず」
「高級ランチ食べちゃったから、今日は安い食材で」

等々、出るわ出るわ本音の裏の欲求・・(汗)
そして、これらの話しを否定せずに、共感して主婦の苦労を労うと・・ 涙目で話続けてくれました。

表戦略か裏戦略かはお任せしますが、いずれにしてもお客様の要望に応える仕事の仕方は、お客様に売ることではなく、お客様の関心事に共感して欲求に応えること。表の欲求であれば「ご家庭の食卓の安全と健康を提供」等、裏の欲求であれば「忙しい奥様の味方です!毎日大変なごはんづくりを楽にします」等。私は個人的に、お客様を心から労い、裏の欲求を刺激することをおすすめしますが・・

怒られそうですが、このメルマガを読んでおられる情報システム部門の方々も、ひょっとしたら・・
システム導入は、コスト削減や生産性アップ、競争力強化と表向きは言っていますが、裏の欲求は、トラブラない、現場から文句が出ない、運用・管理が楽になる、ってとこもあるのではないですか?(笑)

私のお会いした凄い人達の共通点

■ ウロウロしてる・・

次は、私がお会いした選ばれる店作りをする凄い人達の共通点をお話ししましょう。

その人達の特徴ですが、ひとつは、上手くいってる人やセンスや才能のある人の周りをウロウロして、情報収集をいつもしています。私が雑談にあがると、あそこはこんなことやって成功したとか、あの売り方はうまいとか、めちゃくちゃよく知ってます。また、お客様のまわりをウロウロ、現場をウロウロ、優秀店をウロウロしています。あんまり机で仕事しているイメージがなく、いつもウロウロ、ニタニタしてます(笑)

このように、人を喜ばせる?結果を出す?ことにたけた人の典型は、お客様層や従業員の言葉にかなり耳を傾けます。買っていただけるお客様と、稼いでくれる従業員の気持ちと、うまくやってる人達のやり方に絶えずアンテナをはってる、言ってみればあたり前の話しなんですが、なかなかできている人は少ない気がします。

■ お客様の要望に応えられない一番の原因

また、もう一つの特徴は、行動力が半端ないことです。これは絶対に凄い人達に共通しています。ウロウロして得た良き情報は、すぐに行動に移されます。ちなみに、ある大手上場企業の社長は、少なくとも私の1000倍は行動力があると感じました。

そのことを私が「すごいですよね」と言ったとき、返ってきた言葉が「私よりあなたの方がずっといろんなことを知ってて凄いよ。でも、うまくいくコツとかを知ってても実は何の価値もない、実践してるかどうかだよ。それだけの違いだから、誰でも今日からできるでしょ」って(まさに・・)

このように、お客様の要望に応えられない一番の原因は「当たり前のことをやっていない」ことです。

  • お客様の心をうまくつかんでいる人から学び
  • お客様の要望や不満に耳を傾け
  • その要望に応える現場の人達に耳を傾け

その改善をすぐに実行する。

上記は誰が聞いても当たり前のことです。違いは、それを見事に超一流にこなしているところです。
私が感じた凄い人の共通点は・・

「当たり前のことを超一流にできる人」

です。

勝手にお客様が増えるラインとは?

■ どのラインを超えたか?

リピート・口コミを生むライン
お客様の要望に応えられたら、お客様は満足し、また来ていただけることは間違いないと思います。今度はその設定と、それ以上にお客様を増やす方法です。

右の図は、お客様感情を図にしたものです。
Aのお客様は満足ラインに達していないので、またご来店いただくことは難しいと思います。アンチや悪い口コミになる可能性すらあります。Bのお客様は価格以上の価値を感じ、満足ラインを超えているので、またご来店いただけると思います。いわゆるアクティブ顧客になります。Cのお客様は、感動ラインを超えていますので、家族や友人・知人にその感動を話したくて仕方なくなり、口コミが発生します。
感動してくださり、新たなるお客様を呼んでくれる人達です。

■ ラインの設定を上手くしないと苦労することに・・

満足とは、期待に応えてもらえたときに覚えます。
感動とは、期待していなかったものに対し、それ以上のサービスをされたときに覚えます。

ということは、マーケティングや広告で、期待値を上げれば上げるほど満足ラインは上がってしまうので、満足を提供することが難しくなります。ここは本当に要注意です。

この微妙な”さじ加減”が、実はとても重要になります。

例えば広告で、「雨の日はチェックアウトしたお荷物をお車までお運びします」と伝えてたら、お客様は期待し、してもらっても当たり前になります。もししてもらえなかったり、雑な対応だったら不満すら覚えます。そして、もちろん感動はありません。感動には驚きが必要なので、期待されたら残念ながら驚いてもらえません。

しかし、もし何も知らず、子供を抱え大きな荷物をもっている人がそんなサービスを受けたら、スーパーマーケットでそこまでしてくれるとは・・と想定外の出来事に感動するのではないでしょうか?潜在ニーズをみたされると人はすごく感動しますし、感動すると人は無性に人に自慢したくなるので、口コミでどんどんお客様が増えると思います。

ちなみに、知人の主婦達に聞いたスーパーマーケットでうけた感動は・・

「野菜売場の男の子が超イケメン♪」という、なんともプアーな返事でした(苦笑)

今回は『お客様に選ばれる店舗とは?』というテーマで書かせていただきました。

これから選ばれる店舗とは、

  • どれだけお客様の要望に応えられるか?
  • どれだけお客様にとって必要な存在になれるか?
  • どれだけお客さまに「感動」いただけるようになれるか?
  • どれだけ強い”看板”を持ち、他よりサービスセンスが高くなれるか?

というところかと思います。

そして、これらを高めるには、「当たり前のことを一流にやり続ける」ということではないでしょうか?

 2015/2/27