必見!利益が上がるバイヤーの仕事術

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利益を上げられるバイヤーの人物像

■ また激論を交わしてきました

今回のテーマ”利益が上がるバイヤーの仕事術”について、先日また知人のバイヤー達と激論を交わしてまいりました。松下村塾のような(そんな立派なものではありませんが・・)皆の志と、熱い思いと、業界を変えてやるぐらいの勢いで語り合って、とてもいい話も聞けたので、今回はその時の話をメルマガにしたいと思います。

今回は我々の勝手な意見なので、賛否が相当ありそうです(汗) 先に謝っておきます。 ごめんなさい・・

ではまず、利益が上がるバイヤーの人物像についての話しから・・

■ いい人ではダメ・・

メーカーやベンダーから「いい人」と言われる人は、だいたい利益をあげられないパターンのバイヤーだという話で盛り上がりました。ここで言う「いい人」とは、ただ他人と波風を立てないように気を使うだけの優柔不断な人のこと。

  • いい人  相手から実はバカにされたり、なめられたりして、都合よく使われている

こういう優柔不断な人は相手を怒らせないことを優先するので、表面的には一見人間関係がうまくいっているように見えます。だから波風も立ちません。でもそれだけです。本当に必要なことを伝えようとはしないから、永遠に信頼関係は成り立ちません。こんな厳しい時代に大切な時間をお互い無駄に使っているだけです。

あと、やたらプライベートでもメーカーと仲良くなって、商談の時に友人から物を買うような感じで「よしよし買ってやるよ調」の人も同類。実はいいように手のひらで泳がされ、自分も楽を選んでいるだけ。そんなことで扱った商品が、お客様に支持されるわけがないので利益など上がりません。

■ 嫌な人でもダメ・・ ならば?

一方、相手の足元をみたり、立場を利用して高圧的にでる「嫌な人」も、利益をあげられないパターンのバイヤー

  • 嫌な人 = 信頼関係はゼロなので、相手は本音を話してくれません

そんなふうに買いたたいてる商品は、結局、売れない儲からない気がしませんか?

ではどんな人物像が理想か? それは・・

  • 頼りになる人 = お客様や会社のためになり最終的に相手のためになることには本気で厳しい

「頼りになる人」は、お客様や自社、そして相手の立場に立って考え行動します。だから、相手にとっては表面だけみると厳しい人、嫌な人と思われることもあります。しかし、それはお客様が求める価格・品質・品揃えを実現するために本気になっているからなので、最後には相手のためにやっていたことに気付かされます。

メーカー側は「これを売り込もう」、バイヤー側は「叩いて儲けよう」というお互い全く別々の関心事が、本音でぶつかり信頼関係が出来ることにより、「お客様に喜ばれる商品を共に提供しよう」という共通の関心事になり、商品が良くなり、お互いも成長し、そうすることでおのずと利益も上がってきます。

勝負するのは、NBかPBか留型か?

■ NBで勝負

メーカーのNB(ナショナルブランド品)で勝負するには、本当に厳しい時代になりました。NB商品はメーカーの渾身の作品なので、支持するお客様もその商品がいいことは分かっています。ゆえに、どのお店で買っても同じ商品なので、価値を感じる(1位:安い、2位:便利、・・・)ところで購入されるのがごくごく普通です。

NBで勝負するのは商品そのものではなく、当然価値勝負になるので、ネットのように安いうえに、自宅まで届けてくれるという価値の相乗効果を持っているところがグングン伸びるのは自然な現象です。

我々の中では、バイヤーがNBで勝負に出るのは、労力のわりに結果が出し辛く、頭を使わないことにつながるかも?ということで、NBの品揃えには重点を今後も置くが、勝負という意味では、これからは厳しいという話になりました。

■ PBで勝負

PB(プライベートブランド品)も、安かろう悪かろうは当然ダメ。品質を維持して価格を下げても結構苦戦しているのが現状。今は品質をかなり向上させ、値ごろ感(価値>価格)を出さないといけません。セブンプレミアムの「金の○○」はクオリティが高く、今売れているということがそれを示しているのではないでしょうか。

PB商品は一般的に、小売業側がある程度の規格を練り上げ、メーカーに作ってもらう商品です。前述したように、NB商品はメーカーの渾身の作品です。普通に考えてその渾身のノウハウをPBに注ぐでしょうか?考えれば分かりますよね?よっぽどのことがなければ、自分たちのノウハウを全て出すわけがありません。一生懸命やっているメーカーさんに大変失礼かもしれませんが、これがPBの安かろう悪かろうの正体の1つかも?という話になりました。

あと、PBを売るためには、テレビCMでやってる商品は絶対に品揃えしないといけないという話も盛り上がりました。その商品の類似PB商品はかなり売れるそうです。CMでやってる商品を「ありゃダメ」といって仕入れないバイヤーさんがよくいますけど、何とももったいない話です・・

■ 留型で勝負

留型(とめがた)とは、PB商品と少し違い、小売業とメーカーやベンダーが条件をつけて、そこでしか売れないものを共同で作るというものです。最近留型商品が増えてきているのは、前述の現状からNB・PBと違って他社と品揃えを完全に変えられるからです。必ず価格競争になるNBやPBは利益という結果がなかなか出せないため、自社のオリジナル商品が欲しいというのが小売業もベンダーも一緒です。

そして、そんな思いを込めて作った自分達の商品は、小売側もベンダーも絶対に当たり前のように気合を込めて売ります。事実、留型商品はNBよりも売上・荒利が増えます。そして、自社の売れ筋商品になる確率が極めて高いです。この現状を見れば分かるように、結局、売上や荒利は、商品ではなく人が作っている比重が大きいのです。それを象徴するように、思い入れのある商品の陳列位置は決まってゴールデンゾーンにあるし、フェイス数も多くとってあります。自然と自らが売れ筋商品として育て上げているんですね。

論理的ではないですが、販売する人の想いや気持ちで、売上・荒利は全然変わってくるという話で・・
我々の中では落ち着きました。

できるバイヤーは何を見極める?

■ 品物よりも、メーカーやベンダーの姿勢を見極める

品物の目利きより、そのメーカーやベンダーを見極める目が大切だという話で盛り上げりました。

友人に果物の目利きの天才がいて(本人が言ってるだけですけど(笑)、自分が買付ける商品をいつも某SMのバイヤーが見てて、それを狙って同じものを買っていくと言ってました)、彼が言っていたのですが、今は品物の目利きより、メーカーやベンダーの姿勢の見極め方が重要だって言ってました。

これは例えば食品関係のメーカーの場合、そのメーカーが”儲け主義メーカー”なのか、”美味しいものを作るメーカー”なのかを見極めるという意味です。

■ 足を運べば一発で分かる

仮に、もしメーカーやベンダーが自己中心的な考え方をしたら・・

  • 大量のラインに乗せられるものがいい
  • 生産単位にあった個数の発注がいい
  • 原価の安い儲け筋商品を買って欲しい
  • 廃棄するくらいなら安くても買って欲しい

等々、いわゆる自社の売上や利益を上げるための発想です。こんな露骨な態度をするメーカーやベンダーは、今の世の中さすがにいないと思いますが、友人のバイヤーは、工場へ足を運び、出荷場へ行ってみれば一発で、そのメーカーが”儲け主義メーカー”なのか”美味しいものを作るメーカー”なのか分かると言ってました。逆に行ってみないと絶対分からないとも言ってました。

事務所でふんぞり返ってメーカーと商談しているバイヤーがよくいますが、そういう人は決まってメーカーにも工場にも行ったこともない、利益が上がらないダメダメバイヤーだって言ってました(笑)

■ たけのこの穂先を入れてきた某メーカー

ある素晴らしいメーカーさんの事例をひとつ。

留型商品の開発で友人のバイヤーが、たけのこの煮物を複数のメーカーと共同開発した時の話しです。その中の1社のメーカーが、たけのこの穂先を入れてきたということでとても感動していました。たけのこの穂先は美味しいですが、メーカーは面倒なので基本嫌がります。自己中心的であれば、当然穂先は入れずに作ってきます。それをわざわざ入れてきたことに感動したため、友人はすぐに工場へ行ったそうです。そして、その目で工場を見て間違いなく”美味しいものを作るメーカー”だって確信したそうです。

もちろんその商品は、バイヤーの気持が全然違うため、売れたことは言うまでもありません。

北海道物産展に見る百貨店の力

■ 北海道は売れるという神話

次は、全国の百貨店で開催される”北海道物産展”の話になりました。他の地域の物産展に比べ、圧倒的な集客と売上が百貨店では見込めるそうです。北海道は売れるという神話ができており、多いところでは、年に3~4回開催するとのことです。

それに乗っかり、量販店小売業やスーパーマーケットでも北海道物産展は開催されています。しかし、事情は少々違うようです。お客様にあたる主婦の友人数人に聞いてきましたが、全然印象が違うそうです。

「百貨店のは美味しそうだし、北海道の人が来て北海道でしか買えないものが並んでる気がするけど、スーパーのは、いまひとつ活気がないし、北海道物産展とか言ってるわりには、ロイズや白い恋人とかないもん」ですって。

■ やるなら、自分の足で百貨店を見る

ロイズや白い恋人は、メーカーのブランド意識も高く、なかなか量販店で仕入られないからだと思いますが、そんなことより、実際百貨店の北海道物産展は全然違います。

何が違うって、百貨店の物産展は非日常感が半端ない。申し訳ないですが、量販店小売業やスーパーマーケットの物産展は、日常の延長にある。この空間の違いが一瞬にして分かります。日常空間で、北海道物産展の成功は難しい上に、利益幅が非常に小さいから、北海道神話につられて安易にやってもダメだという話になりました。スーパーマーケットでやっている人のほとんどは、百貨店の物産展を見にいったこともないんでは?という話になりました。

これもやっぱり足を運ばないとダメってことですね。

商品力を支えているのはバイヤー

■ 自由に見学や出張に行けなくなった

これまで書いてきたように、バイヤー自らが足を使って、メーカーを見極め、商品を開発していくことがこれから求められます。実際、中小のメーカーでも、いいものを作っているところは、まだまだいっぱいあるし、いいものをつくっていても営業力のないメーカーは山ほどあります。

これをなかなか見つけられない、開発できないのは、バイヤーの行動力や見る目がないのかもしれませんが、このところの価格競争やコスト削減のあおりを受けて、バイヤーが自由に出張に行けなくなったことも背景にあるのではないでしょうか?

■ 会社の姿勢でバイヤーは変わる?

NBやPBで勝負することが価格競争やネットとの勝負になりがちな現在、バイヤーは留型商品を開発したり、地方の面白い商品を見つけてくるということが重要な仕事と言っても過言ではありません。ですから、バイヤーの出張や見学などを会社として大きな目でみることもポイントとなると思います。商品力を支えているのは間違いなくバイヤーです。私は会社の姿勢でバイヤーは変わると思います。

そしてバイヤーとメーカーが、とことんこだわった商品は必ず売れると思います。なぜなら、そんなこだわり商品には、必ず物語があり、生産者の想いや顔が見えるからです。では、物語があり、生産者の顔が見える商品はなぜ売れるのか?それは価格に対して、お客様がその物語と安心できる顔に納得できるからです。

すぐに商品が飽きられてしまう現代において、そんなものづくりを続けていくことが今後はバイヤーに求められるのではないでしょうか。

今回は『利益が上がるバイヤーの仕事術』というテーマで、書かせていただきました。

昨今、激しい価格競争で、商品力(荒利率ー販管費率)がマイナスになる部門が多くなってきました。ドラッグストアでは、医薬品・化粧品・健康用品以外は全部そうでしょうし、スーパーマーケットの生鮮系でも、畜産以外は意外やマイナスだと思います。(ぜひ部門別損益システムで分析してみてください)

それを見かねてかどうか分かりませんが、酒税法の改正で政府が酒の安売り競争に歯止めをかけることになりそうです。報道では、大手量販店が赤字で集客のために過剰な値引きをしていると言っていますが、大手は大量仕入によるリベートがあるので、値引きが出来ているのというのが本当のところのはずです。いくら歯止めをかけてもPBで安価商品をつくるでしょうし、中小小売店が国の政策に依存しても利益があがる構図にはなかなかならないと思います。根本は消費者は安い方がいいに決まっているからです。

ぜひ、志のあるバイヤーには商品力で勝負していただきたいと思います。価格に納得できる物語のある商品を見つけ、開発し続けていただきたく思います。

我々の激論も、儲けるための食品偽装や産地偽装、安全性の低い商品を市場から追い出し、本当に価値のある商品をお届けし、お客様に、会社に、そしてメーカーに頼りにされるバイヤーになろうということで話を終えました。今回はこのあたりで・・

 2015/4/30