Web商談システムの課題を解消しながら導入するには?
脚光を浴びる「Web商談システム」ですが、導入の課題は何でしょう。
2019年までは「働き方改革」、2020年以降は新型コロナウイルスの流行によるリモートワークの広がりにより、Web商談システムがにわかに脚光を浴びています。リモートワークになることで、否応なくZoomなどのオンライン会議ツールは急速に普及していっています。しかしながら、Web商談システムについては、興味を持ち検討をする企業は多いものの、実際に導入する企業はそれほど多くはないのが実情です。なぜ検討する企業は多いのに実際に導入までには至らないのでしょうか?
当ブログでWeb商談の課題を検証します。
目次
Web商談システムの課題1:バイヤーが前向きに活用しない
どこの世界でも同じことですが、今まで慣れ親しんだ仕事のやり方を変えることに抵抗を感じる方は必ずいます。ベテランになればなるほど長年の仕事のやり方を変えたくないものですし、ベテラン・重鎮のような人ほど組織においては発言権を持つものです。実際にベテランバイヤーの経験値・暗黙知は優れたものがあり、交渉力にも長けていますので、良い条件での仕入れとなっているケースもあります。
しかしながら、そのような属人的な商談・仕入れでは、そのバイヤーが退職したとき・体調を崩したときに、継続的に良い条件で仕入れを行うことが難しくなります。属人性を排除して、継続的に良い条件で仕入れし続けるためには、個人商店ではなく、組織としての商談・仕入れを行う体制を整える必要があります。属人性を排除した組織としての商談・仕入れは、従業員の不正防止にもつながり、メリットがたくさんあります。
「目先の良い条件」ではなく、より広い視野、高い目線で、「中長期的に組織にもたらされるメリット」を掲げて、仕事のやり方の変更への反対勢力の皆さんに、前向きに取り組んでもらえるように働きかける姿勢が必要です。
Web商談システムの課題2:卸・メーカーの営業が前向きに活用しない
卸・メーカーの営業には、(全員ではないですが!)とにかく会って会話がしたい、会ってバイヤーとリレーションを取りたいタイプの営業がたくさんいます。会ってリレーションを作り、上司を連れて訪問してリレーションを作り、飲み会・ゴルフで接待してリレーションを作り、、、という、昔ながらの営業手法です。このタイプの営業手法を中心としている営業・企業にとっては、非対面型で価値提案が求められるWeb商談システムは、とっても不安なシステムとなることでしょう。このタイプの営業の意見を尊重してしまうと、もしくはバイヤー組織が関係性の良い取引先(卸・メーカー)の営業員の顔を思い浮かべて同情してしまうと、Web商談システムはその力を発揮できなくなります。3つめのトピックでも取り上げる通り、従来通り対面でも商談して、そのうえWeb上でも商談して、、、と二重の商談となってしまい、結果的に仕事が増えるだけとなってしまいます。
このような状態とならないように、割り切ってWeb商談に切り替える腹決めが重要になりますし、TOPやバイヤー組織の責任者がトップダウンで仕事のやり方を変える指示を出したり、強力な推進者をWeb商談システムの導入プロジェクトに巻き込む必要があります。TOP/部門責任者が「仕事のやり方を変えるのだ」という強い方針を出し、それを卸・メーカーにも伝えることにより、卸・メーカーにも小売側の商談姿勢が伝わりますので、中途半端なWeb商談の導入を防げます。Web商談は、しっかり使えば必ず効果を出せます。
Web商談システムの課題3:対面をWebに置き替えないと仕事が増えてしまう
Web商談システムは、今までやっていた対面での商談を、Webに置き換えて生産性を高めるためのものです。しかしながら、対面で商談をし、電話でもコミュニケーションを取り、電子メール/FAXなどの手段でも連絡を取り、膨大な量の書類をやり取りする、、、という従来の仕事のやり方を続けたまま、さらに追加のコミュニケーション手段としてWeb商談システムが導入されるという状態となると、結果的にバイヤーや卸・メーカーの営業は仕事が増えてしまいます。
大事な考え方は、“今までやっていたことをWeb商談システムに置き換え、仕事のやり方を変えるという姿勢”です。この姿勢で取り組まないと、せっかく投資をしてWeb商談システムを導入しても仕事が増えただけとなってしまいます。
Web商談システムの課題4:商談の回数を増やすほど、仕入条件が良くなると勘違いしている
会った回数だけ取引条件が良くなる、値切れば値切るほど原価は安くなる、、、そのような思い込みに基づき商談をしている小売業・バイヤーもいます。(もちろんすべての小売業がそうであるわけではなく一部ですが)
卸・メーカー目線では、会えば会うほど人件費はかさみ販管費が高くなります。値切り交渉を繰り返す相手との商談は、心理的にも苦しいものがあります。小売業界も人手不足に悩んでいますが、同じく卸・メーカーも人手不足で悩んでいたり、若手営業の短期離職が課題になっていたりします。商談の回数を減らし、効率化を図ることにより、卸・メーカーも気持ちよく仕事ができ、販管費も抑えることができますから、提案内容・条件も良くなるはずです。企業の枠を超えて、業界全体で効率化を図れば、サプライチェーンの無駄もなくなり、より良い条件で仕入れることができるようになるはずです。
仕入側であるという優位な立場にあることを利用して、卸・メーカーに圧力をかけて条件をよくすることよりも、サプライチェーン全体の効率化を志向して「商談がしやすい」・「取引がしやすい」環境を整えることにより、よりよい提案内容・条件を提示してもらうことで、小売、卸・メーカーの双方にメリットがある状態を整えるのだという姿勢がWeb商談導入には大切です。
総括:Web商談システムの課題を解決しながら導入するには?
少子化・人口減少の中、オーバーストアが進む日本の小売業界は、今後ますます生存競争が激しくなることが予想されます。小売業だけではなく、商品の提供側である卸・メーカーも、同じように激しい競争を戦っています。
このような環境下、より良い商品を、より良い条件で消費者に提供し、選ばれる店となるためには、小売⇔卸・メーカー間で、内向きで細かな条件交渉を繰り返すのではなく、これまで以上に協力し合って企業の枠を超えて効率化を図る必要があります。企業の枠内での効率化を図るだけでは限界があり、小売⇔卸・メーカーの枠を超えて、サプライチェーン全体の効率化を図っていくことが重要です。
商談は販管費の塊です。小売バイヤー、卸・メーカー営業の人件費から1時間当たりの商談コストを算出してみてください。そこに、会議室のコスト、卸・メーカーの営業の交通費、パンフレットなどの紙のコスト、上司が同席するケースはその上司の1時間当たりの人件費を足してみてください。それが1時間の商談あたりのコストです。商談回数を半分に減らすだけでも、小売も卸・メーカーも、膨大な販管費を削減できるはずです。その削減されたコストを、売価を下げる/商品開発・研究開発に投資する/社員の給料に還元してモチベーションをあげる、、、などに投資すれば、消費者から選ばれる店・商品に近づくことができます。
「商談.net」は、流通業界の業界慣行ともいえる無駄な商談に着目し、企業の枠を超えた効率化を目指して製品の企画を行いました。「システムを導入する」ではなく、「仕事のやり方を変える」という姿勢で導入プロジェクトに取り組んでいただければ、必ず効果を出せます。更に詳しい内容を知りたい方は、資料ダウンロードコーナーをご覧ください。
2020/7/17