スマホ時代の小売店の集客メディア戦略 ~スーパーマーケット編~
新聞購読率の減少に伴い、新聞折込チラシの効果も徐々に下がっています。
一方、スマートフォンの普及率が高まっています。
スーパーマーケットの店舗にとっての地域へのマーケティング方法の柱が失われつつある中、スマホアプリを用いた新たな集客アイデアが求められています。
どのようなメディアを使うのか、どのような内容の告知を行うのかについてアイデア創出の方法や事例について解説していきます。
目次
小売店の集客のためのメディア戦略とは?
長年、新聞折り込みチラシのみを行ってきたスーパーマーケットの多くの企業は、メディア戦略について根本的に見直した機会は少ないのではないでしょうか?そこで、メディア戦略の基本となる考え方をお伝えします。
メディア戦略を立案する際のフレームとして、まずは「誰に」「何を」「どのように」の順番でイメージしていくことが重要です。
得てして最後の「どのように」つまり、どのメディアを使うか、に目が行きがちです。そうではなく、「誰に」、つまりどんなお客様を狙いたいかをイメージすることを起点とすべきです。
小売店の集客のためのターゲッティング(「誰に」)
一言で「お客様」、といっても2日に1回メインのスーパーとして頻繁にご来店をいただくお客様、週1回ご来店をされるお客様、基本は他のスーパーを利用しており自店で安い商品がある時のみご来店されるお客様など、店舗へのロイヤリティ(忠誠度)は様々です。
また、ご来店される方々の年代・性別・収入・志向も様々です。
スーパーマーケットはすべての方に門戸を開いていますが、自社の売り上げや利益を伸ばすためには、どの層のお客様に狙いを定めるかは異なります。
例えば、競合店が強く競合店の状況によって左右される店舗であればロイヤリティの低いお客様がターゲットとして来店頻度や客数を上げることが自社の売上・利益向上につながります。
また、閉鎖商圏で競合がいない/弱い店舗はロイヤリティの高いお客様がターゲットとして客単価を上げることがそれにつながります。
自店の特徴は自店だけを見ていてもわからないので、チェーンストア展開しているスーパーマーケットでは他の店舗と比較をして、特徴をつかんでいくことがよいと思います。
小売店の集客のためのコンテンツ(「何を」)
自店の売上や利益を伸ばすためにキーとなるターゲットを決めることができたら、次は「何を」コンテンツです。
スーパーマーケットは基本的には来店をしてもらわないと商売が始まりません。ターゲットが来店したくなるような情報やサービスを提供する必要があります。
スーパーマーケット今まではチラシの特売情報のみを提供してきました。
もちろん新たなメディアでもチラシの特売情報は強力なコンテンツであることは変わりませんが、せっかく新たなメディアを検討するのであれば、それ以外のコンテンツも打ち出すべきだと思います。
チラシなどの紙媒体と比較して、スマートフォンやネット媒体の違いはターゲットごとにコンテンツを打ち分けられることです。
紙媒体ではどうしても総花的な内容しか提供ができませんが、スマートフォンやネット媒体では顧客情報を収集すれば、ターゲットにより刺さる内容に特化したコンテンツを届けることができます。
どのようなコンテンツにするかのヒントは、ターゲットが魅力に感じる自社の売りは何か、ターゲットが困っている点は何か、ターゲットがあったらいいなと思う点は何かを想像することです。
例えば、こだわり食材を求めている顧客ターゲットに対して、売り場だけでは伝えきることが難しい商品の魅力を伝えたり、店内混雑を嫌う顧客ターゲットに対して予約商品の情報・予約機能を提供して店内滞在時間を短くしたりすることが挙げられます。
小売店の集客のためのメディア(「どのように」)
そのうえで「どのように」、メディアです。それぞれのメディアの特徴・メリットデメリットを理解したうえで、メディアを選択していく必要があります。
あくまで私の独断と偏見ですが、それぞれ以下のようにとらえております。
SNS(Facebook・Twitter・Instagram)
・利用料は無料。
・フォロワー数を多数得ることができれば、多くの人に無料で情報を発信ができる
・フォロワー数を獲得するには情報の伝え方を工夫する必要があり、工夫の仕方によっては炎上のリスクを伴う。
・顧客情報に基づいたアプローチはできない。
チラシアプリ(LINE@・シュフー・トクバイなど)
・他社利用顧客も含めた、幅広いユーザーへのチラシやクーポンを配信することができる。
・チラシやクーポンの掲載ボリュームや期間によって利用料がかかる。
・顧客情報を集めることは、あまりできない。
自社ホームページ
・自由に情報発信が可能。
・アクセス数を集めることができれば、リーチ単価安くアプローチが可能。
・アクセス数を集めるには店頭などでの告知活動や更新頻度がキーポイント。
・顧客情報を集めることはできず、個別アプローチには向かない。
自社スマホアプリ
・一から構築するには多くの費用がかかる。(パッケージ製品を利用すれば費用負担は軽減される)
・アプリをダウンロードしてもらうにはそれなりの店頭などでの告知活動やダウンロード特典が必要。
・自由に発信ができ、チラシ・クーポン以外にも様々な機能を持たせることができる。
・顧客情報を取得でき、プッシュ通知によって個別にアプローチをすることができる
どれがいい・悪いではなく、メディアの特性を知ったうえで、そのメディアにあった告知活動を行うことが集客につながります。
また、販促は集客のための投資でもありますので費用対効果を図っていくことも重要な要素です。上記4メディアのうち、一番普及しているのは自社ホームページです。
その次にはSNSとチラシアプリ。自社スマホアプリについては費用面の導入のハードルが高いため、中小中堅スーパーマーケットアプリはこれからという状況です。
一方で自社スマホアプリは、最も自由度が高く、顧客情報に基づいての個別アプローチが可能なメディアです。
費用が高いからと最初から排除せずに自店のターゲットに魅力が伝わるような方法を考えて積極的に導入を図ってみてはいかがでしょうか。
小売店の集客の実践事例
1.ダイワスーパー(愛知県)のインスタグラム
https://www.instagram.com/p/CCpyBA9JzD1/
愛知県岡崎市に本部のある、ダイワスーパーのインスタグラムは人気を集め、地方スーパーとしては異例の3.6万人のフォロワー数を誇っています。
まさにキラーコンテンツのフルーツサンドの写真に、独特の字体のキャプション(説明文)が特徴です。
豚バラ肉をハートの形に並べてパック陳列するなど、フルーツ以外の売り場でも戦略的に「インスタ映え」を意識しています。
その効果もあり、フルーツサンドは午前中で売り切れる人気ぶりのようです。
2.スター(滋賀)の自社ホームページ
https://www.sstar.co.jp/buyers_selection/
愛知県守山市に本部のあるスターの自社ホームページは、派手さはないものの着実に顧客の支持を集めています。
自社のイチオシ商品を毎週バイヤーから紹介する「バイヤーズセレクション」のページではこだわり商品を買いたい顧客と、売り場だけで伝えきれないこだわりを伝えたい企業をうまくつないでいます。
3.ドライブスルーでの受け取りサービス(複数企業)
昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、店内での滞在時間を少なくするニーズが高まっています。
そんな中、スマホアプリで商品予約を行い、駐車場やドライブスルーで商品を受け取るサービスが複数企業で開始されています。
派手な商品の告知ではないものの、高齢者や健康に不安を抱える方の、安心安全に買い物をしたいという潜在ニーズにうまく応えた事例です。
【まとめ】小売店の集客の集客メディア戦略 ~スーパーマーケット編~
ここまでのポイントをまとめます。
「誰に」:どのようなターゲットにアプローチすれば自社の収益を最大化できるかを考える。
「何を」:ターゲットが来店するための動機を作るための情報や機能は何かを考える。
「どのように」:それらを効果的に伝えるためのメディアは何か、メディアの特徴を理解して選択する。
これらのポイントを意識しながら、効果的に自店の集客を高めてください。
もしかしたら原点回帰をして、昔の八百屋・魚屋・肉屋時代の顧客とのやりとりをするイメージに近いのかもしれませんね。