消費財向販売管理システムのこれからを、卸売業の変化や未来像から考える

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卸売 学び 

消費財を取り扱う卸売事業者の利用する販売管理システムのこれからを考えていく上で、卸売業界の未来を考えながら一緒に作っていく必要があります。なぜなら、卸売業界の進歩と、その基幹を担う販売管理システムは、一蓮托生だからです。

インターネットが普及し始めて20年超、卸売業界は常に衰退が危惧される業態でしたが、果たして実態はどうだったでしょうか?時代の変化に適応してきた卸売事業者は、むしろのその業態の本来の強みを生かして、変化することで、今も変わらず日本の流通産業の中で欠かせない存在なのではないでしょうか?

その中で、消費財向け販売管理システムは、どうあるべきなのかを考えていきたいと思います。

 

卸売業界の変化と販売管理システム

インターネットが普及しはじめてから20年超の間、情報化社会が進展するにつれ、卸売事業者は、常に、社会的なニーズが縮小する業種として、その筆頭格とされてきました。

 

経済産業省の商業動態統計調査(*)によれば、卸売業の商業販売額は、2000年の44兆円から2019年の31兆円まで縮小しましたが、2009年の市場規模も31兆円で、ここ11年間では、市場規模の縮小は止まっているように見えます。ネット通販やダイレクト販売で中間マージンを省いた販売が急拡大したとされる最近10年の傾向の中で、卸売業界の市場規模が維持されているという現象は、卸売業が、現在の情報化社会の中でも不可欠なものとして、機能していることを表していると思います。

その理由は、卸売業は、社会の変化に必要なものだけが、その変化に適応して事業を維持成長させた業界の新陳代謝の結果ではないかと思われます。卸売事業者の多くは、社会の変化に適応すべく、業界が変化し、業態を変化させ、そして業務そのものも変化することで、今なお、社会になくてはならない業種であり続けています。かつて衰退が予想される産業とされたことへの危機感から、最初に危機感を持った企業が変化に挑戦し、それに追随する企業が現れ、業界全体が、必死に変化してきたことで、現在の卸売業の存在意義に繋がっているのではないでしょうか。

 

それでは、その中で消費財向け販売管理システムは、どう変化してきたでしょうか?

 

卸売業で重要なのは、自社の在庫の「今」を正確に把握することです。そして、その「今」を把握することは、消費財を取り扱う卸売事業者にとっては非常に大変です。なぜなら、取扱商品が多岐にわたり、取引先のニーズが多種多様で、業務が非常に多岐にわたるからです。よって、自社の「今」を正確に把握するためその基幹システムとして、販売管理システムを導入し、経営を改善することで、生き残りを図ってきた企業も多いのではないでしょうか?

 

そして現在では、自社で把握された「今」と、小売事業者のお客様の「今」とを、限りなくタイムラグを減らして、いかに効率よく小売事業者のニーズに応えるかが、事業の根幹になっています。そして、その事業の根幹は、なるべく人の手を使わず、一元化して整理把握することが重要で、それらをシステムによって実現されてきた部分も大きいのではないでしょうか?卸売業をされている多くの方は、使うソフトウェアやシステムが変化・変更されるたびに、大変な思いをしながら慣れてきた過去もあると思いますが、その変化・変更の連続の結果、10年・20年の単位で思い返すと、業務の内容やプロセスが大きく変わってきたことを実感されるのではないでしょうか?もちろん、卸売業に従事する多くの人の満足を得られるソフトウェアやシステムかどうかは、わかりませんが、少なくとも進歩や変化を実感されているのではないかと思います。

(*)経済産業省の商業動態統計調査(*)は、集計対象の定期的に見直しを行っているため、あくまで参考値としてみてください。

 

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卸売業界の変化

卸売業界は、市場の成熟化に伴う業界再編の動きも活発な業界で、特に市場規模の一番大きい食品卸売業界で進展してきました。特に同業界による再編に加え、他業態による垂直的な統合再編が進んでいるのも、特徴の一つになると思います。今後も、分野が特定されやすい専門分野で、同じような戦略的な再編が進んでいくものと思われますが、一方で、消費財をあつかう卸売事業者間では、事業承継ニーズを中心に統合再編が進展していくものと思われ、業界全体での規模・シェア・エリア・分野などの要素でインパクトの大きい、ダイナミックな変化が今後も期待されます。

 

卸売業態の変化

卸売事業者の強みは、エンドユーザーが欲しがる情報が業界横断的に入ってくることです。

小売業者を通して、顧客情報を入手し、メーカーからは開発・商品情報を入手し、それが業界横断的に把握できることが、昔から大きな強みでした。それらの情報を生かし、ユーザーや得意先に対して企画提案を、小売事業者・メーカー双方に対して行うことで、存在意義を高めてきました。そういう意味では、卸売事業者は、すでに、情報を生かしたサービス産業化していると言えるでしょう。

 

また、ネット通販拡大等による小売業界の競争激化に伴い、小売事業者の「困っていること」を卸売の段階で解決した上で販売したり、メーカーのちょっとした「困っていること」には、流通加工を施して販売したりするなど、ソリューションプロバイダーの役割も備えてきていると言えるでしょう。

 

それ以外にも、エリアを拡大したり、ネットワークを拡大したり、タブーを超えて小売業に進出したり、個性を生かして多種多様に変化しています。事業承継ニーズの高い昨今では、自社の強みを生かして他業態に進出することは、以前ほど難しくないため、世代交代が進む中で、新しい発想で、他業態に進出し、新しい卸売業態の誕生などもあるかもしれません。そして、近い将来、単純に卸売業界と一括りしても良いものか、わからなくなる時代も来るのではないでしょうか?

 

卸売業務の変化

卸売業務のプロセスは、基本的に大きな変化はありません。

しかし、それらをミスなく迅速にこなす手段は随分と変わってきたのではないでしょうか?少なくともどんな小規模事業者でもPCを使って汎用ソフトウェアで業務管理をしていますし、ソフトウェアの進化に伴い、管理ツールを高度化して、業務を効率化している企業も多いと思います。また、コミュニケーションツールは、電話からメール、メールからチャットに代わり、受発注ツールも、電話・FAXからEDIに、そして、ネットを介した受発注ツールやWeb-EDIに変化してきています。また、現在を把握するためのコードやインターフェイスも共通化することで、システムコストが下がるなど、システム導入のハードルが下がってきたことも、卸売業務の変化を促進している要因と言えます。

 

3つの変化から、卸売業のこれからを考える

これまで言及してきた通り、社会の変化に合わせて、卸売という産業は、危機感の後押しもあって自律的に変化してきました。そしてこれからは、どのように変化していくのでしょうか?

 

卸売業のこれからの方向性は、大手食品卸事業者の動きが、大変参考になると思います。

本業を発展させていく手段としてダイナミックプライシング・サプライチェーンマネジメント・RDCなどを参考に、現在リリースされているデジタルツールを利用して安価で実現を目指すことです。自社だけでできなければ、同業種で組んだり、ITベンダーとその取引先と一緒に組んだりすることで、ゆるやかネットワークで規模の利益を追求することも、今後の成長をサポートしてくれると思います。

 

ただ、現在では、様々な戦略アイデアが簡単に手に入る時代ですので、ディスラプターがいつ出現するかわかりません。そこで、もう少しダイナミックに卸売業の発展形を考えてみたいと思います。

例えば、①小売業兼営②在庫金融業③商品市場運営④卸売プラットフォーム事業⑤投資業などが業界を超えて大きく業態を変化させる方向性が挙げられます。どれも誰かが着手されているものばかりですが、まだまだ取り組み始めたばかりです。卸売業という業態特性にしっかりと向き合い、強みをしっかりと把握することで、卸売業界から、他業態を巻き込んだ業界再編・再浮上の核になっていく可能性も十分にあると思われます。

 

卸売業のこれからを支える消費財向け販売管理システム

前述しました通り、卸売業において、在庫の「今」を把握することは、これまでも、そしてこれからも非常に重要で、その基本的な業務は当面変わることはないでしょう。

 

また、消費財向け販売管理システムの機能は、事業の将来を考える上でも、世間を見渡せば、すべて揃っていると言っても過言ではありません。それだけ卸売業の業務や機能は、基本的で、不変だからです。ただ、すべての卸売事業者のニーズに合ったものがあるか、というとその点は、まだまだ不十分です。なぜなら、卸売業は非常に多様な事業であり、今後もさらに変化を遂げるため、どのソフトウェアもツールも、個々の事業者にフィットするはずがなく、必ず「帯に短しタスクに長し」ということになるでしょう。だから、最大公約数でシステムを選択することが重要になりますし、その見極めがシステム導入の成否を決めることになります。よって、自社の業務に寄り添って、その公約数を見つけてくれるパートナーなども、早めに見つけられると良いですね。

 

また、卸売業界のシステムを開発する側も、たくさんの機能をまとめて販売するだけではなく、一つ一つの機能を個別に利用できるようにしたり、個々の機能モジュールを組み合わせて企業のニーズや業態に合わせたパッケージプランを提供したり、他のソフトウェアやツールと連携して利用してもらうことを前提に、サービスの提供方法を変えていくことも選択肢に入れることが求められてくると思います。販売管理システムに求められる変わらない機能と変わるべき機能を柔軟に組み合わせながら、卸売業界に関わる企業の多様な変化や成長を後押しすることが開発側の重要な役割だと思います。それによって、大手事業者だけでなく、中堅・中小規模の卸売事業者を含めた業界全体の発展に寄与することが間違いないですし、卸売業のこれからを支える消費財向け販売管理システムの在り方になってくるのではないでしょうか。

 

消費財を取り扱う卸売事業者の皆様には、ぜひ、自社や業界の将来像を、システム開発企業に語って頂き、一緒に将来を作り上げるパートナーを見つけてほしいと思います。

2020/12/18