販売管理システムで実現できる与信管理とは?未回収リスクを減らす方法
卸売業様の取引は、小売業様の現金の取引とは違いほとんどが掛け取引になります。
掛け取引は、得意先様から商品を受注して納品後にその対価が支払われる取引です。
納品してから支払われるまでのタイムラグ有り、取引する得意先を信用して取引することが前提となります。
しかしながら、掛け取引は、将来的に後払いとなった代金を回収できるかは確実ではありません。
代金が未払いとなるリスクが伴います。この未回収となるリスクを回避又は低減化させるために与信管理を行うことが不可欠となります。
今回は、得意先様との取引での与信管理について販売管理で活用できる内容についてお話をしたいと思います。
与信管理とは
与信管理とは、信用取引において発生する売掛金が回収不能となるリスクを適切に管理してリスク被害を回避又は最小限に低減化するための管理となります。
与信管理の具体的な対応方法は、得意先様への販売額に限度額を設けたり、与信調査や与信審査を実施して取引の可否を判断したりすることです。
与信管理が適切に行われていないと、売掛金を回収できず焦げ付きや不良債権が生じる原因になりかねません。
得意先様の業績が著しく悪化していないか、倒産の予兆がないかといったことを、注意深く判断する必要があります。
与信管理を怠った場合の問題
信用取引において、適切に与信管理を行うことは非常に重要です。
与信管理がされていない場合は下記の3つの問題が発生してしまいます。
①利益の低減又は赤字計上
万が一、売掛金を回収できず不良債権化した場合、帳簿上は貸し倒れ損失として計上します。
不良債権が発生すると、売上に反映されないばかりか損失が多額に発生してしまいます。
損失は利益を圧迫するだけでなく、不良債権額によっては赤字に転落する原因にもなってしまいます。
不良債権の発生による貸し倒れ損失を回避し、安定的に利益を確保するためにも与信管理を行うことが非常に重要となります。
②資金繰りの悪化
売上が立っているにも関わらず、売掛債権が回収できない場合は、資金が底を突いて倒産してしまいます。
売掛債権の管理不足により回収不能となることで利益が出ていても倒産してしまう場合があります。いわゆる黒字倒産となります。
資金繰りにおいては、仕入先への支払と得意先の売掛回収のバランスを維持して売掛金を確実に回収し、仕入先への支払に備えることが大切です。
それを確実に行うためにも与信管理が非常に重要となります。
③連鎖倒産
得意先の売掛債権が大きいほど、回収不能となった際の損失も大きくなってしまいます。
連鎖倒産とは多額の不良債権を抱えたために資金繰りが悪化し、取引先と共倒れになってしまうことです。
売上比率の高い得意先が業績不振に陥り、売掛金の回収が出来ない場合は自社も連鎖して倒産してしまいます。
特定の得意先に売上が集中しないように注視し、連鎖倒産を未然に防ぐために与信管理を行いましょう。
与信限度額の設定
与信管理において、得意先様の企業単位毎に設定する売掛金や受取手形の残高を含めた上限金額を「与信限度額」といいます。
販売額の増加などによって与信限度額を超過する場合は、再度与信調査を行った上での検討も必要になります。
与信限度額は、一般的には、毎月の販売予定額に与信期間(回収サイト)を掛け合わせた金額をベースとして、検討することが多くあります。
また、与信限度は季節ごとのバラツキを考えて、今後の債権残高の推移を予想し、若干の余裕を見て設定することを推奨いたします。
与信限度額の算定は、下記の計算式で設定致します。
(月間売上予定額×回収サイト月数) + (月間売上予定額×手形サイト月数)
しかしながら、与信限度額は、算出された額が常に適正であるとは限りません。
得意先様の財務状況は常に変化します。そのため与信限度額範囲内で与信取引が行われていれば安心してよいということではありません。
与信限度額を算出する際は、与信管理サービスを利用してさまざまな角度の指標や倒産確率などの情報が得られますので、それらを参考として適切な与信限度額を設定することをおすすめ致します。
販売管理システムで出来る与信管理
設定した与信限度額も実際の販売や回収のなかで実効性を伴って運用されなければ意味がありません。
そのため日々の業務で運用している販売管理システムで与信管理を行うことで与信管理を効率的に確実に運用することが出来ます。
販売管理システムで行える与信管理は、大きく2点あります。
①売掛金の回収管理
販売管理では、担当者別請求先別に、月初に今月回収すべき回収予定額を一覧で確認できる回収予定表を作成することができます。
得意先様から代金が振り込まれる場合は、経理担当者が入金確認のチェックリストとして活用することもできます。
また、営業担当者が訪問回収する場合にも、この表を活用すれば、回収訪問先に漏れがなく、また回収金額の過不足が防げます。
月中に回収予定表を発行して回収予定額に対する入金実績の回収率や未入金などの状況確認も簡単に行えるため漏れの無い回収管理が行えます。
②信用限度額の設定による警告
販売管理に与信限度額を登録することで、与信限度額を上回る受注や売上を計上しようとした際に、警告表示をすることができます。
警告表示は、与信限度額に対する警告比率を設定してその比率が超えた段階で警告表示行い注意を喚起することが出来ます。
また与信限度額を超えた場合には受注入力処理での登録処理が出来なくなる様に制御を行うことなどの2段階での警告処理が行えます。
これにより、担当者の与信意識が低い場合にも、全社統一した与信管理を意識付けして、過剰な取引を抑止することができます。
売掛手形の未決済残高の取り扱いや与信限度額超過時の取引制御設定などにより、お客様の与信管理規定に柔軟に対応可能です。
与信状況は、受注や出荷などのデータ登録時に、リアルタイムに更新され、各企業との取引リスクが軽減出来ます。
まとめ
今回は、与信限度額の設定や与信管理を怠った場合のリスク及び販売管理システムで活用できる与信管理の方法についてお話しました。
企業が売上・利益の最大化を実現するためには、積極的な営業活動や売上拡大が必要とされています。
しかし、得意先様の与信リスクを考慮せずに取引を行うと、代金が回収できないリスクが増大してしまいます。
リスクを極力排除しつつ得意先様と良好な信頼関係を構築していくためにも、改めて与信管理の重要性を理解して実施して頂くことをおすすめ致します。
最後になりますが、株式会社テスクは、創業以来、流通業に特化し、消費財向け販売管理システムの導入支援・運用支援に関する豊富な実績と経験によって蓄積された十分なノウハウを持っています。
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最後までお読みいただきありがとうございました。