卸売業向け!基幹システム機能一覧の理想形

卸売業向け!基幹システム機能一覧の理想形

メーカーから商品を仕入れたり、市場で商品を買い付けたりして、小売業へ商品の供給を行っている卸売業。

メーカー(製造業)と小売業の間に位置しているため、どのような商品が製造されているのか、またこれからどのような商品が製造されるのかという情報と、どのような商品が売れているのかという情報の双方の情報を知りえる立場にある業態です。

 

つまり卸売業は商品の製造から消費に至る流通過程で重要な位置づけなのです。

そこで卸売業に向けた販売管理システムには、どういった機能一覧が理想形なのかご紹介します。

卸売業向け基幹システムの機能体系

図1:卸売業向け基幹システムの機能体系図

卸売業向け基幹システムの機能体系図(図1)の中から『受注機能』『出荷機能』『発注機能』『入荷機能』を抜粋してご説明します。

(1) 受注機能

『受注機能』では、得意先である小売業者からの注文を受け、基幹システムに受注情報として入力を行います。

入力された受注情報は、出荷指示、売上計上、請求機能の順に処理をしますので、受注情報を正確に入力することが重要となります。

得意先(小売業者)からの受注情報を登録する方法は、EDIなどの電子データ交換を行えば、入力作業の軽減と正確性が図られています。

 

しかしながら、卸売業側では、電子データを基幹システムに取り込むための開発コストが負担になっていることが問題となっていました。

最近では『流通BMS®』を活用した標準的なデータマッピングによって、開発コストに負担のかからないデータ交換方法が普及しています。

(2) 出荷機能

『出荷機能』では、得意先(小売業者)からの注文通りの商品と数量を正確に出荷することが重要です。

受注機能で入力した受注データをもとに、ピッキングリストを発行し、商品のピッキング、検品、梱包、車積みを行います。

 

ピッキング作業は、誰でも作業ができるように、倉庫にロケーション番号を設定し、ロケーション番号順にピッキングリストを印刷し、作業者は印刷されたロケーション番号に従って商品をピッキングします。

ピッキングは、得意先ごとに行う方法と、商品を得意先ごとに仕分ける方法の2種類が一般的です。

 

商品のピッキングが終わったら、検品を行います。

出荷商品間違いは、返品処理・再出荷処理などコストと時間を無駄に要するうえ、得意先からの信用低下にもつながります。

検品間違いを防ぐために、ハンディターミナルを利用して、バーコードのJANをスキャンすることによって検品間違いを防ぐシステムを導入する企業が増えています。

 

最近は、大手量販店が自社物流センターを作り、センターへの一括納品を行うことが増えています。

センター納品を行う場合には、出荷梱包単位に『SCMラベル※1』を貼付し、SCMラベルのラベル番号と納品箱の中の商品を紐付け、箱を開けなくても中の商品を確認できます。

またSCMラベルデータをASN(事前出荷)データとして得意先へデータ送信する方法もあります。

※1 SCMラベル:「Shipping Carton Marking Label またはShipping Container Marking」の略。

 

PDラベルの発展形として、企業間・企業内物流における検品作業の簡素化・効率化を目的として開発されたラベル。

出荷する際に、梱包した商品やオリコンなど納品箱に貼るバーコードのついたラベルのこと。

「出荷梱包表示ラベル」「オリコンラベル」「検品ラベル」ともいわれる。

(3) 発注機能

『発注機能』は、在庫状況の確認を行いながら、メーカーへ発注書(自動FAX送信)、または発注データ送信を行います。

商品の需要状況に対して発注数量が少なければ欠品が生じ、商品の需要状況に対して発注数量が多ければ過剰在庫となり、不良在庫の原因となります。

 

適正な発注数量を算出する前に発注点在庫数、最大在庫数を倉庫・商品別に設定して、在庫が発注点を割った商品について発注勧告を行います。

発注勧告が出された商品の適正な発注数量を確認し、発注数量を確定します。

適正発注数量を算出するためには、発注点在庫の設定が重要です。

過去の出荷実績や発注取引条件を加味したうえで発注点を算出するシステムが必要となってきます。

(4) 入荷機能

『入荷機能』はメーカーから納品される商品の受け入れ、検収を行う業務です。

入荷予定表を使用して、発注情報と照合し入荷実績情報を基幹システムに入力します。

 

入荷処理においても、作業の軽減を図るため、ハンディターミナルを使った入荷実績情報入力を行うことが多いです。

入荷作業を行うにあたっては、商品の入荷前に入庫場所の確保、人員手配を行います。

また、入荷作業をスムーズに行うため、倉庫の整理整頓は欠かせません。

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卸売業向け基幹システムの主な機能一覧

(1) 小売業者への販売管理機能

受注 → 出荷 → 売上 → 請求・売掛

機能

概要

受注入力

得意先(小売業者)からの注文データを入力する

受注残照会

受注残データの確認を行う

出荷指示書 発行

出荷作業のためのピッキングリストを発行する

出荷確定

出荷作業の確定処理を行う

売上伝票 発行

売上伝票(納品書)を発行する

売上入力

受注処理を行わずに発生した売上データを入力する

売上返品入力

売上返品データ(小売業者から返品されたデータ)を入力する

売上値引入力

売上後の単価値引き・金額値引きを入力する

直送入力

仕入先から直接納品された場合の売上・仕入データ同時登録を行う

入金入力

得意先(小売業者)からの入金データを入力する

請求書 発行

得意先へ送付する請求書を発行する

請求一覧表 発行

(請求先・締単位での)請求内容を把握するための一覧表を発行する

回収予定表 発行

請求先ごとの回収予定額を把握するための一覧を発行する

売掛金管理表 発行

売掛金状況を把握するための一覧表を発行する

得意先元帳照会

得意先(小売業者)別に取引明細(売上・入金)の確認を行う

得意先元帳 発行

得意先(小売業者)一ヶ月間の取引明細(売上・入金)を発行する

 

(2) メーカー(製造業者)からの調達管理機能

発注 → 入荷 → 仕入 → 支払・買掛

機能

概要

発注入力

仕入先(メーカー)への発注データを入力する

直送受発注入力

仕入先(メーカー)への直送受発注データを入力する

発注残照会

発注残データの確認を行う

予定在庫照会

出荷予定・入荷予定データの確認を行う

入荷予定表 発行

倉庫への入荷予定商品の確認を行う

仕入入力

仕入先(メーカー)からの仕入データを入力する

仕入返品入力

仕入返品データ(メーカーへ返品したデータ)を入力する

仕入値引入力

仕入後の単価値引き、金額値引きを入力する

支払入力

仕入先への支払データを入力する

支払明細表 発行

(支払先・締単位での)支払い対象データの一覧表を発行する

支払一覧表 発行

(支払先・締単位での)支払内容を把握するための一覧表を発行する

買掛金管理表 発行

買掛金状況を把握するための一覧表を発行する

仕入先元帳照会

仕入先(メーカー)別に取引明細(売上・入金)の確認を行う

仕入先元帳 発行

仕入先(メーカー)一ヶ月間の取引明細(売上・入金)を発行する

(3) 在庫管理機能

機能

概要

移動依頼

別営業所への移動依頼データを入力する

移動確定

移動依頼データの確定を行う

移動指示書 発行

移動作業のための移動指示書を発行する

商品振替

商品間振替(セット品作成・解体)データを入力する

入出庫入力

社内使用・廃棄・サンプルなどの入出庫データを入力する

棚卸入力

実地棚卸データを入力する

棚卸チェックリスト 発行

実地棚卸データ入力結果を確認するためのチェックリストを発行する

実地棚卸表 発行

倉庫別の実績棚卸数量・金額を把握するための一覧表を発行する

受払元帳照会

受払明細履歴の確認を行う

(売上・仕入・入庫・出庫等受払データ)

受払元帳 発行

一ヶ月間の受払明細(売上・仕入・入庫・出庫等受払データ)を確認するための一覧表を発行する

在庫照会

倉庫別の商品別在庫数を確認する(有効在庫・実在庫・帳簿在庫)

 

卸売業向け基幹システムで対応することができる主なEDI機能一覧

(1) 得意先EDI機能

対象データ種

送受信

機能内容

受注

受信(受注データ)

小売業から受信した受注データを取込み、基幹システムに受注データを作成する

出荷

送信(出荷データ)

小売業へ出荷データを送信する

※ 小売業側では仕入データとして取込んで処理

受領

受信(受領データ)

小売業から受信した受領データを取込み、基幹システムで受領データと卸売業側売上データの照合を行う

返品

受信(返品データ)

小売業から受信した返品データを取込み、基幹システムに売上返品データを作成する

請求

送信(請求データ)

小売業へ請求データを送信する

※ 小売業側では支払データと照合する

支払

受信(支払データ)

小売業から受信した支払データを取込み、基幹システムで小売側支払データと卸売業側請求データの照合を行う

 

(2) 仕入先EDI機能

対象データ種

送受信

機能内容

発注

送信(発注データ)

メーカーへ発注データを送信する

※ メーカー側は受注データとして取込んで処理

仕入

受信(仕入データ)

メーカーから受信した請求データを取込み、卸売業側支払データと照合を行う

請求

送信(請求データ)

メーカーから受信した請求データを取込み、卸売業側支払データとの照合を行う

在庫

送信(在庫データ)

メーカーへ卸売業側在庫データを送信する

※ メーカー側での在庫情報の把握

販売実績

送信(販売実績データ)

メーカーへ卸売業側売上データを送信する

※ メーカーへの売上情報提供

 

(3) 卸・メーカー 業界標準EDI

EDI名

業界

プラネット

日用品・化粧品・ペット用品業界

ハウネット

家庭用品・食品軽包装業界

ファイネット

酒類・加工食品業界

e-お菓子ネット

菓子業界

 

まとめ

一般的に、卸売業向けの基幹システムには、どのような機能一覧が理想形であるのか、ご紹介してきました。

ぜひ基幹システム刷新時には、このような機能一覧を参考にしてみてください。

 

株式会社テスクは、創業以来、流通業に特化し、消費財向け販売管理システムの導入支援・運用支援に携わってきました。長年つちかってきた経験と実績によって、豊富なノウハウを持っています。

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もし、どんなパッケージなのか、関心をお持ちいただけましたら、製品・サービス資料『GROWBSⅢ』基本ガイドブック』をダウンロードしてご覧ください。

 

※ 参考サイト      :卸売 – Wikipedia

 

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