小売業販売管理システムでは何を目的にすべきか?

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小売 課題解決 

小売業販売管理システムは、長年にわたって稼働していますが、今後の企業成長に資する競争力強化には、新しいビジネスへのトライアル&エラーを繰り返し、PDCAを高速に回すことができるデジタル技術を利活用した小売業販売管理システムの構築が不可欠であると多くの小売企業経営者は認識しています。

そして、構築基盤には第3のプラットフォーム(クラウド、モバイル、ビッグデータ、ソーシャル)を採用すべきであるといった明確な、もしくは、漠然としたイメージがあると考えます。このためには、旧世代型小売業販売管理システムを破棄して新たな小売業販売管理システムを再構築することになります。この際に極めて重要な課題は、新たな小売業販売管理システムの目的を何に設定するかであり、これを間違えると小売業販売管理システムはコストセンター(金食い部門)からプロフィットセンター(利益を生み出す部門)への変革機会を失い、最悪の場合には企業を衰退へと誘う事になりかねません。

 

今後の小売業販売管理システムが目的とすべきこと

小売業の中で急成長しているのがアマゾンである事に異存を唱える方は少ないと思いますが、このアマゾンの成長モデルは低コスト構造による低価格の商品提供を通じて実現させています。

小売業の成功企業としてのアマゾンを見習うのであれば、今後に構築する小売業販売管理システムの目的は、第一に低コスト構造による低価格化を支援する現状業務の効率化と自動化です。コロナ禍で顕著になりましたが、時代の潮流は低価格化です。そして、低価格化に継続性を持たせるには低コスト構造への変革が必須要件です。この低コスト構造への変革では、従来の運用とは違った要素を取り入れる、例えば店舗業務の全てを店頭で済ませることが出来る様にモバイル化を実現し、事務所やサービスカウンターに行く必要のある作業を無くせば効率は飛躍的に上がるでしょう。また、作業そのものをなくすにはITを利用して自動化すればコストが極めてゼロに近くなるので、低コスト構造を構築することが出来るのです。具体的に何を効率化もしくは、自動化の対象にするかは小売企業ごとに変わりますが、対象を列挙して効果の高い順にシステム構築すると良いでしょう。

 

第二は新しいビジネスのトライアル&エラーを繰り返し、PDCAを高速に回す事を低コストで支援することです。ウォルマート、ターゲット、テスコ、アルディ、マクドナルドなどでは多くの新しい実験をして、上手くいかなければすぐにやめてしまいます。これらの企業には特別優秀な経営者やブレーンがいて、効果的な方法を考え出して適用しているのではなく、何でもかんでもやってみて、うまく行ったものだけ継続しているにすぎないと聞いています。つまり、大成長の裏では「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」式を繰り返しているにすぎないのですから、新たな小売業販売管理システムは新しいビジネスの発想をスピーディかつ、低コストでの実現を支援することを目的にしなければならないのです。そして目的を達成するためには、第3のプラットフォームの各要素を深く学習して、効果的に新たな小売業販売管理システムをこの基盤の上に構築するのです。

 

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小売業販売管理システムの新たな目的に必要な機能

新たな小売業販売管理システムの目的を実現するためには、本部が本来のあるべき機能を発揮して企業内の意思決定の場にならねばなりません。

効率化や自動化そして新たなビジネスにチャレンジするという高いハードルをクリアするには、企業内に巣食っている非効率業務の炙り出しや解決策の立案、小売企業経営者から提示される新たなビジネスの立ち上げは、選抜されて必要な教育を施された優秀な本部スタッフ以外には担えないのです。小売企業の中には『現場主義』とか『地域密着』を言い訳にして日々の業務に多忙な店舗従事者に押し付けている事例を散見しますが、店舗従事者に委ねても目的が達成できないばかりか、日々の業務が不完全作業になり、やり直しが多発してしまいます。したがって、新たな小売業販売管理システムが目指す目標を達成するために必要な機能は、多くの意思決定を小売本部ができる環境を提供することです。

 

例えば日々刻々と変化する店舗の状況を、数値や画像でリアルタイムに把握できる事が重要になります。これには多くの情報が一元的に管理できるビッグデータの活用が欠かせませんし、新たな小売業販売管理システムも、このビッグデータに対応していなければなりません。そして、これは小売業に限りませんが、ビッグデータを利用可能にする環境がクラウドに他なりません。

 

過去や現状ではリアル店舗とバーチャルな店舗としてのEC(ネットスーパーや通信販売)の運営は別物として扱われている小売業販売管理システムが多いようですが、アマゾンゴーやコンビニ自販機の出現により販売の形式や形状の区分が曖昧になってくるので、各機能を構築するに際しては、それらの垣根を外して対応できるようにしなければならないのです。アマゾンがホールフーズを買収した目的は、リアル店舗の事業展開拡大を狙ったわけではなく、高品質な生鮮品を扱うノウハウを吸収してECに取り入れようとしているのです。単なる生鮮品の品揃えを増加するだけではなく、高品質と低価格を両立してリアル店舗以上に良い品を安く販売しようとしているのですから、リアルとバーチャルに垣根を作ってシステム化してはならないのです。

 

 

小売業販売管理システムの目的実現に向けたIT部門の役割

新たな小売業販売管理システムの目的実現には、IT部門が過去の知識や経験から脱却しなければなりません。

新たなIT部門の役割は、小売企業経営者が発案する新たなビジネスや現行業務の改善指示に対して、低コストかつスピーディに実験を開始し仮説検証の結果を報告して全店展開の判断を仰ぐことです。さらに踏み込めば、ITを利用した事業貢献の提案だけでなく、他社成功事例を引き合いに出して小売業経営者に提案することです。事業部門に対しては事業部門のニーズやウォンツを引き出して把握し、IT利活用に因る具体的なサポートをすることです。常に業務改善や効率向上の検討と計画作成と結果検証に専念する業務に変容し、第3のプラットフォームを利活用して過去のようなレガシーシステムの運用・保守から解放されなければなりません。

小売業販売管理システムでは何を目的にすべきか?~まとめ~

新たな小売業販売管理システムでは何を目的にすべきかについて解説しました。

アマゾンのビジネスモデルは、低コスト構造による低価格の商品提供に加え、品揃えの増加がお客様の満足度向上を誘導します。故にお客様の増加が成し得てアマゾンに対する商品の売手つまり供給者が増加して品揃えが更に増加するといった成長サイクルですが、これは、故渥美俊一氏がチェーンストア理論で提唱していることなのです。つまり、アマゾンは小売りの異端児ではなく、基本に忠実な小売企業なのです。

アマゾンはITを駆使して効率化と自動化を追求し、世界トップの研究開発投資額が示すように、世界で最もトライアル&エラーを繰り返してPDCAを高速に回しているのです。最早アマゾンを追い越すことは不可能でも、先行事例を学習して追従する事は可能です。是非とも新たな小売業販売管理システムで効率化と自動化を推進しながら、多くの新たなビジネスにチャレンジしてください。

 

2021/1/8