消費財向け販売管理システムに必要なサーバー環境の昔と今

今後の企業活動を支える販売管理システムのサーバー環境とは?と聞いて何を思い浮かべますでしょうか。今回のブログでは、販売管理システムを支えるサーバー環境の昔と今を振り返り、ビジネス環境の変化に対応するために必要なサーバー環境について考えます。

消費財向け販売管理システムを支えるサーバー環境の昔と今

消費財メーカーを取り巻くサーバー環境にどのような変化が生じたのか昔と今を整理してみました。

 

1980年代にメインフレームが日本に上陸・・・・・

現在でも大規模な企業・組織で使われ続けているメインフレームだが DX(デジタル・トランスフォーメーション)を進める上で課題の一つとして上げられている「老朽化・複雑化・ブラックボックス化したシステム」の代名詞になっています。IT関連費用の80%は現行システムの維持管理費用に使われていると言われており、戦略的なITツールの躍進に回せないというのが情報システム部門の課題の1つではないでしょうか。

 

1990年代 オープン化の波・・・・・

メインフレームをオープン化したものの、販売管理システムがCOBOLのまま残存し、表形式データがテキストファイル形式で管理されていたり、Java等で再構築しても機能が不足していたりするのが現状です。

メインフレームの資産がそのままインテル・アーキテクチャのサーバーで稼働している状態で、やはり「老朽化・複雑化・ブラックボックス化したシステム」のため、情報システム部門の課題ではないでしょうか。

クラウド技術のベースとなる仮想化技術もでてきた時代で、ハードウエアのメーカー保守終了にともなうサーバー入替でも、販売管理システムの変更なく仮想環境上で動かすことができるので、最新機種のサーバー上で今までの販売管理システムをそのまま動かすことができてしまいました。資産継承性と言えば聞こえが良いのですが、単なる延命処置でしかなかったのではないでしょうか。

 

2010年代 オンプレミスの単純なクラウド化・・・・・

オンプレミスの販売管理システムをそのままクラウド環境に移行したため、クラウドの利点を最大限活用できていません。クラウド化を行っている日本企業の約9割がこの状況で、本来のクラウドの姿とはまだまだ遠い状況です。

上記参考、経済産業省「経済産業省 デジタルトランスフォーメーションに向けた課題の検討」

 

企業を支える販売管理システムも大なり小なりの改善・改修を繰り返した結果、長年利用し続けることとなり、大規模に見直す機会がなかったのが現状ではないでしょうか。ハード面、ソフト面でも古い販売管理システムがそのまま稼働し続ける環境や仕組みが、サーバーメーカーから提供され、業務に影響がないように移行も短時間でできることが重要視され、情報システム部門や利用部門の移行負担も最小限でと考えられた結果が、現在の販売管理システム環境の実態ではないでしょうか。

 

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新型コロナ流行によるオンプレミスサーバー環境の導入減少

新型コロナウイルスの流行で在宅勤務が広がったこともあり、購入後にオフィス内などでの設定が必要となるオンプレミス向けのサーバー需要が伸びていません。特に低価格のオフィス向けサーバー需要が縮小した傾向にあります。在宅勤務の増加は、パソコンやWeb会議システム、コラボレーションソフトなどの需要増につながっていますが、オンプレミスで設置するサーバーの需要増にはつながりませんでした。この傾向は後術するバリューチェーンの変化に伴い、販売管理システムを支えるサーバーにも同様の傾向がでてくるはずです。

業務のデジタル化やデジタルマーケティングによりクラウド需要が大きく伸びており、ビジネスの環境変化に伴い、あるべきサーバー環境が変化してきているのは、今更ですが間違いありません。

情報システム部門も、サーバーの選定や処理能力の設計、データベースの設計、セキュリティ環境などインフラの整備に長い時間を掛ける必要はありません。そうした作業から解放され、よりビジネスの競争力を高めるための支援活動に時間を割けるようになるのではないでしょうか。

 

環境変化に伴うバリューチェーンで企業が期待するサーバー環境とは

休校、休業、リモートワークなどにより、オフィス社食やオフィス街テナント向けなどの業務用製品の需要が全体的に縮小したのではないでしょうか。それまでの需要と供給のバランスは大きく崩れ、リモートワークによる社内システムへアクセスする環境や、コミュニケーションを取る手段が大きく変化しています。

特に企業がクラウド環境に期待していることは社内の効率向上だけではなく、より戦略的なビジネス機能の強化を狙う場合も含まれています。その証拠にという分けではありませんが、社外のビジネスパートナーとの連携を拡大することでより戦略的なビジネス機能の強化を狙うお客様が、クラウドサービスを選択することが増えているという実感があります。

今後、ビジネスモデルを革新しようと考えている企業はサーバー環境の選択として、オンプレミスではなくクラウドサービスを選択することは間違いないでしょう。

 

クラウドサービス選定のポイント~メージャーなクラウド(IaaS)環境の比較~

2018年6月、内閣官房IT総合戦略室は「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」において、「政府情報システムはクラウドサービスの利用を第一候補にする」という方針を打ち出しています。令和元年度補正予算「IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)」においてもクラウドを採用することは、審査加点のポイントになっており、選択しない選択はありません。

クラウドサービス選定のポイントは、十分な稼働実績があり、運用の自動化がされており、情報セキュリティの強化が実施されていて、新機能の追加等に積極的かつ継続的に投資を行っていて、サービス終了のリスクが低いクラウドサービスが良いとされています。

加えて、バックアップ環境や災害対策環境が、データの同期やバックアップへの切換の仕組みも含め、標準サービスとして提供されていることも選定のポイントです。

 

多くのクラウドサービスがありますが、主要なクラウド(IaaS)環境を比較しましたので参考にしてください。

①Microsoft Azure

・MSライセンス(OS、CAL、SQL)が必要なIaaSは Azure が安く有利な体系

・Visual Studio、Azure DevOps などの開発環境を同一課金で提供

②AWS(アマゾン ウェブ サービス)

・市場シェアトップ

・175を超えるサービス

・WindowsワークロードシェアNo.1!

・88回以上の値下げ。値上げは無し!

③IBM Cloud

・クラウドネイテイブ開発環境をリード

・プリペイドカード式なので、一括支払いや固定費化など経費処理しやすい

・サポート付与の選択ができる

 

市場シェアはMicrosoft AzurとAWSの両社で半分以上を占めています。

消費財向け販売管理システム~今後の企業活動をささえるサーバー環境(まとめ)~

前述の通り、今後の企業活動を支えるサーバー環境はクラウドサービスであると理解いただけたと思います。

 

日々の業務で利用する販売管理システムのサーバー環境は、もはや待ったなしの状況でクラウド環境にシフトしています。情報システム部門にとって、長年の資産の上に出来上がった販売管理システムを手放して、新たなシステムを導入することはさまざまなリスクを伴うため、必ずしもシステム刷新に前向きではないケースも多くあります。つまり、販売管理システムのさまざまな問題は、情報システム部門だけの問題ではなく、経営層なども含めて全社的な視点で考えていかなくてはならない問題だということです。

 

ビジネス環境の変化の激しい状況下の賢い選択肢として、経営層は情報システム部門と密に連携してクラウドサービスの活用も検討をすすめてはいかがでしょうか。

2021/1/15