販売管理とは?

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小売 学び 

企業の目的について、ピーター・ファーディナンド・ドラッガー氏は「企業の目的は、それぞれの企業の外にある。事実、企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。企業の目的として、有効な定義は一つしかない。すなわち、顧客の創造である。」と言っています。そして、顧客を創造し続けるために利益が必要だと言っています。

利益を獲得するには販売が必要ですが、巷間に「利は元(仕入)にあり」といわれるように仕入も重要な要素です。漠然と「販売管理」を聞くと販売=売上を扱う業務であるとイメージしがちですが、利益を生むのが購買=仕入なので、利益を獲得する販売管理は、適切な仕入を実施するために売上を管理すると言っても過言ではないでしょう。

こちらでは、販売管理を詳らかにするに当たり、“売上”のみならず“仕入”や“在庫”も含めて解説をします。

販売管理とは?その留意点

一口に販売管理と言っても、第一次産業から第三次産業に至るあらゆる企業で行っています。

第一次産業は、自然に働きかけて富を取得する産業のため、設備や機材が必要ですが、仕入れて加工することは多くはありません。第二次産業は、第一次産業が採取・生産した原材料を加工して富を創りだす産業ですので、取得した原材料の形態を大きく変える加工を経ることになります。これに対し、第三次産業のサービス業は、無形のサービスにより富を獲得します。そして、第三次産業の流通業は主に仕入れた財の形態をほとんど変えないで販売することにより富を獲得します。

 

これら全てに適用可能な販売管理を解説すると内容が混乱するので、こちらでは第三次産業の流通業(卸売業と小売業)の販売管理に留意して解説します。

販売管理は、「事前に決められた条件で受注し、出荷の可否を返答しつつ、出荷の手配をし、出荷実績を記録して売上とし、定期的に未回収残高を請求して、入金の記録を付ける。」といった販売過程と、「手持ち在庫状況を認識し、将来を含めた受注に対応できるかを判断し、必要な商品を事前に決められた条件で発注し、発注に対する入荷実績の消込を行って仕入とし、定期的な請求の照合と支払記録を付ける。」といった購買過程、「購買と販売の差である手持ち品の記録。」といった在庫結果の3つの要素に留意して解説します。

しかし、卸売業と違い小売業は、受注時に入金処理決済を完了させるケースや受注なく売上時に入金が完了する場合が多いので、この場合には「定期的に未回収残高を請求して、」が不要になります。

 

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販売管理に欠くべからざる機能

【受注・出荷・売上・売掛・請求】

一つ目の販売過程に関しては、受注から出荷をできるだけ速く処理するために、予めお得意先・商品毎にお得意先と見積や事前提示で合意した出荷単価を記録しておくことが必要です。この後に受注を受け付けて、手持ち商品からの出荷や受注後に調達して出荷ができるかを確認し、要請に応じて出荷の可否をお得意先に返答します。

その際に、出荷期日が先であれば、翌日以降の入荷を見越して対応します。また、手持ち在庫でなくとも事情が許せばお取引先から直接出荷して頂く(メーカー直送)手配をして受注の対応も考慮します。そして、受注内容を効率的に出荷すべく工夫された出荷指図書を作成し、これを利用して出荷すべき商品を揃えた後に、受注と出荷に相違がないか確認(出荷検品)します。

要請があれば、この出荷検品後にお得意先に出荷確定内容を報告します。出荷が確定した受注は、売上として記録し、入金前の売上は同時に売掛としても記録します。売掛に関しては、お得意先からの指定もしくは指定が無ければ、当方の都合で定期的に請求書(紙もしくは電子的)を届けて、これに基づく入金を確認して記録(入金消込)します。請求書の内容が全て期日通りに入金されるとは限らないので、回収を管理して必要であればお得意先に督促します。

 

【発注・入荷・仕入・買掛・支払】

二つ目の購買過程に関しては、入荷時や支払時に揉めごとにならないよう、予めお取引先・商品毎にお取引先と見積や事前提示を受けて合意した入荷単価を記録しておきます。主には、持ち在庫の記録や実地の在庫確認を通じて把握した追加が必要な商品をお取引先に発注します。場合によっては、前述した直送の手配は発注と同義なので同様に記録します。その後の入荷時に数量や単価が発注内容と差異が無いか確認(入荷検品)して仕入として記録します。

発注したにも拘らず入荷が無かったり、入荷指定日に届かず遅れて納品されたことを記録して、後日お取引先に改善を要請が出来るようにします。仕入れ時に支払う場合もありますが、大半は仕入時に支払わないので買掛としても記録します。この買掛に関しては、お取引先から届く請求書と照合して支払いを確定し記録します。

 

【在庫】

三つ目の在庫結果に関しては、入荷と出荷の数量をカウントして残数を商品毎(正確にはSKU単位=商品の最小管理単位)に管理するのみならず、実地棚卸時の結果を反映しつつ計算残数との差数を把握できるようにします。この時に注意すべきは、意図的に廃棄した記録を残しておき、原因不明の差数を少なくすることです。

在庫管理で肝心なことは、「無い物は売れない」というと小馬鹿にしたような文言ですが、売れ筋商品や儲け筋商品の在庫を切らさないように、常に注視できるようにしておくことなのです。

また、入荷と出荷(受払)の単価を詳細に記録して、棚卸時の在庫評価単価に利用できるようにしておくことも欠くべからざる機能と言えるでしょう。

販売管理を実施した時の効果

中国の古典である韓非子には「道理にかなったこと努力をすれば、案外容易に目標は達成できる。しかし、道理に反することをやっていれば、どれだけ苦労しても無駄骨に終わるだろう。」とあります。流通企業も闇雲に思い付きや場当たりで経営を行っていては努力が無駄骨になりかねません。

流通企業が道理にかなった経営を行う道具が販売管理なのです。こちらでは、流通企業が販売管理を正しく実施した時の効果を解説します。

 

【顧客満足向上】

冒頭に記述したように、企業の目的は『顧客の創造』です。

顧客の満足無くして顧客は創造できないため、販売管理の実践を通じた顧客への迅速な対応やニーズやウォンツに対する途切れない商品やサービスの提供、そしてそれらを絶え間なく向上することで顧客満足度が増し、その結果として顧客が創造できるのです。

 

【利益の獲得】

販売や購買そして在庫を適切に管理することにより利益を獲得することが出来ます。

単に売れれば良いと無管理状態で業務を継続していると、儲かっていると思い込んでいた商品の仕入単価が値上げされていて売価の見直しをしなければならないタイミングを逸する、あるいは、お得意先からの入金が遅延して結果的に焦げ付き回収不能になれば利益どころか売上額が損失になってしまいます。

モノの動きとカネの動きを常に注視して利益確保を可能にするのが販売管理なのです。

 

【効率的かつ正確な業務遂行】

業務に遅滞が発生したり、ミスが多発しても業務の要素を分解して整理できなければ問題の把握や改善策の立案、その後の問題解決には繋がりません。販売管理を行っていれば問題発生個所の特定が容易になるので、無駄やムリの排除によって業務効率の改善と正確性が増すようになります。

まとめ

販売管理は名称故に誤解されることが多いのですが、単に“売上”を管理する事ではなく“仕入”や“在庫”、更には“入金”や“支払”を関連付けて管理することが重要です。言うまでもなく、ITが進化し続けている現代社会においては販売管理にITを利用することになりますが、パッケージ・ソフトウェアなどを選定するに当たっては、自社の業務の流れを自身で理解した上で、使い勝手の良いものを選ぶことが明るい未来の礎になります。

                                            2021/02/10