お店の宣伝方法にアプリは有効なのか?
大手スーパーマーケットが一通り自社アプリを導入し終わり、昨今は中小・中堅のスーパーマーケットもアプリ導入・検討が始まっています。周りがやっているからやらなければいけないが、果たして導入効果はあるのか?と、疑問視している経営者の多いのではないでしょうか。
スマホアプリを検討するにあたり、世情も併せてお店の宣伝方法をご紹介させていただきます。
アプリの活用状況と世情
冒頭述べたように大手スーパーマーケット、ホームセンターはすでにほとんどの企業が自社アプリを活用しています。そして、中小・中堅のスーパーマーケット、ホームセンターもどんどんアプリを導入もしくは検討しているのが現状です。なかには導入効果を疑問視しながらも同業他社がやっているから自社もやらなければいけないという考えの基、アプリを導入している企業もあるのではないかとも思っていますが、なぜここまで一気にアプリ導入が進んできたのでしょうか。
そこには世情が大きく関係しています。
インターネットの普及により、ネットで調べれば欲しい情報は手に入る時代となりました。欲しい情報、見たい番組はインターネットで入手が可能です。それに伴い、若者を中心にテレビを見ない人口が増えております。いわゆるテレビ離れです。
紙媒体も同様で、電子書籍、新聞の電子版等の普及もあり、衰退の一途を辿っております。今までは発信された情報を見ていた時代でしたが、見たいものを調べて見る時代に変遷しております。
このような時代背景もあり、新聞の購読率は年々下落しています。
新聞通信調査会「メディアに関する全国世論調査」の調べによると2020年度の新聞購読率は世帯単位でみると61.3%でした。
■月決めで取っている新聞(時系列)
(参考:新聞通信調査会「メディアに関する全国世論調査」第13回調査(公表日:2021年1月23日) https://www.chosakai.gr.jp/project/notification/)
逆に、NTTドコモ モバイル社会研究所の調べによると全国のスマホ普及率は2020年時点で88.9%にのぼります。(参考:モバイル研究所「モバイル社会白書Web版 2020年版」https://www.moba-ken.jp/whitepaper/wp20.html)
■スマートフォン比率(2台目まで含む)[年次推移]
(参考:モバイル研究所「モバイル社会白書Web版 2020年版」https://www.moba-ken.jp/whitepaper/20_chap1.html)
スマホ普及率は今後も年々上がっていくことでしょう。まさにテレビや新聞の情報だけでなく、インターネットで自分が欲しい情報を調べる時代なのです。
そのような時代背景のなかで自社アプリはどう関係してくるのでしょうか?
果たしてお店の宣伝方法としてアプリは必要なのか
スーパーマーケット・ホームセンターの販促において最も効果があるとされているのがチラシです。
特売商品・目玉商品の告知により、お客様に来店いただき、その他の商品も一緒に購入していただく。非常に大きな効果があるから、毎週・もしくは週2回チラシをまいています。
また高齢化社会において、若者はスマホを持っているが、高齢者はガラケーもしくは携帯自体を持っていない。
このような状況下で高齢者比率の高い地域のスーパーマーケット、ホームセンターにおいてアプリは無用の長物ではないか。
このような意見もあるかと思いますが、どこのスーパーマーケットに聞いても確かにチラシをまいた日はお客様も多く、売上もあがっているが、チラシ効果でどれだけ売上が上がったというデータで示せる企業はございません。
毎月チラシには何百万も投資し、販促活動している以上、マーケティング・販促担当は投資に対しての分析・費用対効果を示す必要があります。なんとなくチラシをまいた日はお客様が増える、売上が上がるではダメなのです。
チラシにより、どの地域からのお客様が増え、どういった内容だと売上が上がるという分析をしてより効果的なチラシをまくよう努力していかなければいけません。
次に高齢化社会の中でもうちの地域は高齢者比率が高いというご意見があります。確かに地域により高齢者比率の変動はあります。
では、高齢者にスマホはどれだけ普及しているのでしょうか。
高齢者という定義は様々ですが、2020年時点での60~64歳、65~69歳、70~79歳のスマホ普及率はこのような調査結果があります。
(参考:モバイル研究所「モバイル社会白書Web版 2020年版」https://www.moba-ken.jp/whitepaper/20_chap1.html)
・60~64歳:男性 85.8%、女性 81.9%
・65~69歳:男性 77.9%、女性 80.7%
・70~79歳:男性 66.4%、女性 69.5%
高齢者比率が高いからスマホを持っていないとは言い切れないと考えられるのではないでしょうか。
先に述べたよう新聞の購読率が下がってきており、宣伝効果のあるチラシを目にしていただく機会が年々減ってきている昨今、ここまで普及しているスマホを自社の宣伝・販促ツールとして使用しないのはもったいないとしか思えません。
アプリをお店の宣伝方法として活用するメリット
逆に、ここまでの内容でチラシ以外の宣伝・販促活動をしなければいけないことは理解できたが、はたしてアプリでどれだけ効果が出るのかと思われた方もいらっしゃるでしょう。
私は大きく分けると3つの効果があると考えております。
1.新聞未購読者にもチラシを見る機会が出る
新聞購読者が減っている昨今、店頭にチラシを置いたりと多くのスーパーマーケット、ホームセンターは工夫していますが、これは来店してくれた人しか見ることができません。アプリで見ることができれば、来店予定をしていなかったお客様もチラシを見て来店していただく可能性があります。
新聞未購読者に来店いただく、きっかけになると考えております。
2.プッシュ通知の活用
皆さんもいろんなアプリをスマホに入れていて、様々なプッシュ通知(携帯へのお知らせ)を受けていると思います。アプリを開かなくても携帯のトップ画面へお知らせする機能です。
プッシュ通知のメリットはリアルタイム配信できることです。スーパーマーケット、ホームセンターは各社それぞれの強み・売りがあります。
それをリアルタイムに全面に押し出すことができます。
例えば、お惣菜に力を入れ、地域に根強い評価をいただいているスーパーマーケットであれば
「本日16時!できたてコロッケ販売開始」
であったり、鮮魚が強いスーパーマーケットであれば
「本日!新鮮なブリが入荷!!限定○○」
と告知をするのです。
チラシの計画的な特売と併せてリアルタイム告知により集客力をUPさせるだけでなく、自社の強みを全面に宣伝することができるようになります。
3.統計・分析力の向上
大手スーパーマーケットのアプリではポイントカードと連携しているアプリが多く見られます。
ポイントカードにはお客様の個人情報が含まれております。
これにより、自社にはどこの地域(○○町)のお客様が多く、どこの地域が弱い、といった自社にご来店いただく男女・年齢層の把握が可能になります。
この情報を分析し、より売上向上させる企画を考えたり、自社の弱い地域・年齢層を取込むための施策を考えることができるのではないでしょうか。
ただやみくもにチラシをまいて、結果お客様が増えたよりも集客力向上・売上向上の為に、この地域・この年齢層をどう取込むか等、自社の弱い部分を分析の上、補う努力をしていかなければいけないのではないでしょうか。
その為には情報が必要となるのです。
お店の宣伝方法としてのアプリの必要性 まとめ
「うちは5店舗だからアプリは要らない!」
と、お考えの経営者もいらっしゃると思いますが、お客様の立場に立って考えていただきたいです。自社独占で他に同業他社はないという地域はないと思います。
地域によっては大手・中堅含め、周辺に5社~10社もあり、常に熾烈な争いをしている場所も多くあります。どこの地域でもお客様は企業規模を見て来店していません。
「あそこは180店舗展開のスーパーマーケットだから行こう」とか「あそこは5店舗のスーパーマーケットだから行こう」ということはないのです。
その店が好きだから、便利だから、いい商品を取り揃えているから行くのです。
周辺のスーパーマーケット、ホームセンターがアプリを活用していたら、むしろ差別化を図られている可能性があるのです。
販促はスーパーマーケット、ホームセンターにとって大事なことであり、近隣の同業他社に負けない努力は必要です。
つまり、ここまで自社アプリが普及してきている昨今では、企業規模関係なくアプリは必要だと私は考えます。アプリを導入して徐々にチラシの発行部数を減らし、むしろ販促活動費を下げている企業もあるという話も聞いています。
ただ、アプリは導入すればいいという訳ではありません。
お客様に活用していただく工夫が必要となります。
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2021/6/18