消費財向け販売管理システムにおける単価管理と設定方法とは?

「スーパーテスクから、1ケース1,500円の缶ビールを10ケース、受注しました。」こんな時の、1,500円が「単価」だということは、誰でもわかることでしょう。

この1,500円という単価を決めるため、メーカーや卸売企業では、荷姿、取引数量、取引期間、取引先数(業態によるグループ化、または取引先数)など様々な条件を考えないといけません。そのため、1つの商品において、単価の種類を考えると

 商品×条件×荷姿×仕入単価×取引先業態×取引先 ≒ ∞

となり、人の手ですべての単価を管理するのは大変です。

また、商品を管理するための原価(物流費、作業費など)も踏まえ粗利を把握できる単価管理も必要です。単価は、仕入、販売など個々の場面だけで使用するだけでなく、仕入→在庫→販売 という業務全般に関係しており、企業における売上・粗利など業績に直結するものです。それぞれ、どんな管理が必要になるのか、まとめてみました。

消費財向け販売管理システムにおける単価管理 単価の種類

メーカー、卸売企業において、管理すべき主な単価は以下です。

    • 仕入単価:仕入ベンダー、メーカーから商品を仕入する時に使用する単価です。
    • 在庫単価:期末の棚卸資産を算出する時に使用する単価です。
    • 販売単価:得意先に商品を販売する時に使用する単価です。
    • 小売単価:メーカー、卸売企業の取引先である小売企業側で消費者向けに販売する単価です。
    • 上代単価、希望小売単価:メーカーが小売企業にこの値段で販売してほしいと値付けされた価格です。

また、仕入単価や販売単価は、取引数量・取引期間など取引条件により数種類の単価が必要になりますし、荷姿ごとに単価を設定することがあります。

このあと、それぞれの単価について述べます。

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消費財向け販売管理システムにおける単価管理 仕入単価

企業が商品を受け取り倉庫に入庫した単価が「仕入単価」です。

同じ仕入企業からの仕入でも、荷姿やそれぞれの取引数量、あるいは、倉入と直送などの条件により、仕入単価は異なります。また、複数の仕入企業から仕入する場合は、さらに仕入単価が異なります。

(仕入単価のマスター設定例)

  倉入 直送
 

ケース

(入数24)

ボール

(入数6)

バラ

ケース

(入数24)

ボール

(入数6)

バラ

仕入先A

2,208

570

100

2,280

600

105

仕入先B

2,280

570

95

2,400

600

100

仕入先C

2,160

630

110

2,160

630

110

 

消費財向け販売管理システムにおける単価管理 在庫単価

いくつもの条件で仕入れた場合、商品は蓄積され、在庫となります。複数の条件で仕入れしているので、在庫単価は一律ではなくなります。販売時、いくらの在庫単価で販売したかにより、粗利も変わってきます。また、期末の棚卸評価にもこの在庫単価を使用しますので、この在庫単価は、企業にとっては重要な指標となります。

この在庫単価をどうやって計算するのか、代表的な計算方法をご紹介します。

<標準原価法>

仕入価格にかかわらず、人件費や物流費などの原価を加味した、価格を設定します。この単価を日々の販売活動を続けることになりますが、仕入の実績、労務費、物流費など、決めた原価と差異がないか、チェックしていくことも必要です。

<個別法>

1仕入単位ごとの単価を個別の商品取引ごとに割り当てます。不動産、骨董品、宝飾品など、高額で少量の商品を扱う企業に、向いています。

<先入先出法>

先に仕入れた商品から順に出庫したものとみなして、在庫金額を計算する方法です。仕入ごとのロット管理(仕入日、仕入数量、仕入単価、仕入金額 と出荷日、出荷数量、及び在庫数量 の把握)が必要となります。

<最終仕入法>

最後に仕入れた時の単価を使って、在庫金額を計算する方法です。期中の受け払いなどを参照する必要がなく、期末に最も近い仕入時の単価を使用するため、実務としては最も負荷が少なく、簡便な方法です。一方で、期末の在庫数が最終仕入数を上回るケースが発生すると、期末の在庫金額と期中出荷した金額を反映しないこともあります。

<総平均法>

一定期間(月次が一般的)の機首の在庫高と期中の仕入高合計で、平均単価を求める方法です。一定期間に仕入した金額を仕入した数量で割るだけなので、計算は簡単です。その一方で、月中などでは原価が確定していませんので粗利が把握しづらくなります。

<移動平均法>

商品を仕入れるごとに、それまでの在庫数量、在庫金額と合わせ、平均単価を求める方法です。総平均法とは違い、最新の在庫単価がわかり粗利も把握できますますが、事務作業が複雑となります。

上記以外では、売価還元法もありますが、これは主に、小売企業で扱う方法ですので、当ブログでは説明を省きます。

この在庫単価の計算方法は、各企業において期初に決定、変更はできますが、期中での変更は認められていません。企業で扱う商品の特性、商習慣を鑑み決定することをお勧めいします。

販売単価の設定方法 その1

メーカー、卸売企業が得意先に販売する際の単価管理について考えてみました。最終的には、個々の取引ごとに単価が変わることになりますが、一般的な取引においては、一定期間、販売単価は、企業間で決定しています。

では、それを管理するためには、得意先の数種類(業態、取引高、エリアなど企業別に設定)のランクに分け、それらの単価を商品マスターに設定する方法を解説します。

(商品マスターにおける販売単価の設定例)

商品A

ケース

(入数24)

ボール

(入数6)

バラ

ランク1

2,400

600

100

ランク2

2,880

720

120

ランク3

3,600

900

150

ランク4

4,320

1,080

180

ランク5

4,800

1,200

200

次に、上記の条件では取引ができない場合などは、得意先ごと商品ごとに単価を設定します。

得意先ごと、商品ごとに、荷姿ごとに単価を設定しますので、これらのケースが多くなればなるほど、事務処理が煩雑となり、間違いも発生する可能性が高くなります。

EDIなど受注データを取り込む場合は除き、受注登録が必要な場合は、単価決定に優先順位を設けるなど、販売管理システムにおいては、事務の煩雑さや間違いを少なくするための機能が必須です。

販売単価の設定方法 その2

販売単価について、もう1つ設定方法を述べておきます。

得意先に量販小売店のチェーンストアがあり、その納品伝票は多くの場合、チェーンストア統一伝票とすることが一般的です。この場合、得意先の売価の設定も必要になります。

チェーンストアの場合、在庫評価に売価還元法を採用している企業が多く、Web-EDI、流通BMSなどデータ交換の場合でも、同様に、メーカー、卸売企業に売価管理を求められます。

まとめ

ここまで、消費財を扱うメーカー・卸売企業で必要な単価管理について、紹介をしてきました。

それぞれの企業で扱う商品や業界の商習慣、また取引量などにより、管理する単価や在庫評価は異なります。皆さんの企業で、日々のビジネスで参考になれば幸いです。

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2021/6/25