基幹システムと倉庫作業 業務効率化の共通のヒントは5Sにある?

倉庫作業と基幹システムには切っても切れない関係、共通の目的があります。倉庫作業の業務効率化のスローガンである“5S”を基幹システムにおいても実現させなければならない理由とは?

小売業・卸売業の業務のかなめである販売管理システム、倉庫管理のかなめである倉庫作業、ともに業務効率化は最大の目的であり課題となっています。そんな基幹システムと倉庫作業の業務効率化の共通点について解説します。

倉庫作業とは?基幹システムとは?

倉庫作業は、商品の倉庫への出し入れ、保管などの一連の作業です。

実際には、

  • 何(商品)を、
  • どこから(入荷先)、
  • いつ(入荷日)、
  • どのくらい(数量)入荷され、
  • さらに入荷した商品をどのように保管するのか、

 

  • 入荷・保管している商品を、
  • いつ(出荷日)、
  • どこに(出荷先)、
  • どれくらい(数量)出荷するか

などが、倉庫内における商品に関わる作業となります。

基幹システムは、販売の一連の流れと購買の一連の流れを管理します。販売とは、受注から、出荷・納品、代金の回収までの業務をいい、購買とは、発注から、代金の支払までの業務をいいます。

実際には、

  • 何(商品)を、
  • どこ(得意先)に、
  • いつ(納期)、
  • どのくらい(数量)、
  • いくら(価格)で販売したのか、
  • さらに売った商品の代金をいつもらえるか、

 

  • 商品を売るためにいつ(納期)、
  • どれくらい(数量)必要で、
  • いくら(価格)で買うから、いくら(利益)儲かるのか、
  • 仕入れた商品の代金をいつ支払うか

などが、商品の販売・購買に関する情報管理となります。

“倉庫作業”と“基幹システム”、それぞれの目的はなんでしょうか。

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倉庫作業の基本、5S活動

倉庫作業の基本に5S活動があります。5Sとは以下の5項目の頭文字を取ったものです。

整理(SEIRI) 必要なものと不要なものを区別し、無駄なものを処分すること。
整頓(SEITON) 使うものの位置を決め、すぐに取り出せるように整えること。 
清掃(SEISOU) 現場にゴミや汚れがないように、こまめに掃除をすること。
清潔(SEIKETSU) 整理・整頓・清掃が行き届いたきれいな状態を維持すること。
躾(SHITSUKE)

整理・整頓・清掃・清潔が守られるように従業員を教育すること。

また、作業手順やルールなどを守ること。

 

5S活動にはさまざまなメリットがあります。

たとえば、安全性の確保と生産性の向上。在庫を保管している棚に無駄なものがなく、整理されている状態であれば、作業員が目的のモノを探しやすいためムダな作業が発生しません。

また、倉庫では作業員と作業員、作業員とフォークリフトなどとの接触事故が発生しやすい環境です。作業員が転倒しケガをして事故に発展するケースも少なくありません。人材不足が問題となっている昨今では人員が欠員するといったことは会社にとって致命的なダメージになりかねません。

また、商品への破損リスクの低減も挙げられます。人が動く導線にまで商品がはみ出しているとなると、故意でなくとも人間の体が当たってしまったり、フォークリフトをぶつけてしまったりと大切な商品に傷を付けてしまう可能性があります。利益を生み出すはずであった商品が破損させてダメにしてしまっては、会社にとっては利益が損なわれる結果につながります。危険因子は考えればキリがないですが、常日頃5S活動をきちんと実行・徹底できていればこのような事故が発生する前にいち早く異常に気づくことができ、危険因子を取り除くことができます。

基幹システムにおける5Sとは?

倉庫作業における5Sについて紹介してきましたが、実は基幹システムにおいてもこの5Sは非常に重要です。倉庫作業における5Sは倉庫作業の効率化を目的とし効率を求めることを“習慣化“するために掲げられたスローガンです。

基幹システムにおける5Sにおいても目的は“効率化”と“習慣化”です。仕事場やツール、作業手順など仕事をする「当たり前の」環境を整備し効率化し、さらにそれを習慣化することなのです。

基幹システムにおける5S

整理(SEIRI) 必要なデータと不要なデータを区別し、有効なデータのみで整理されていること。
整頓(SEITON)

利用頻度・利用シーンにより、すぐに参照・出力できるように整頓されていること。

必要なデータが簡単に即座に参照、出力できること。

清掃(SEISOU)

利用する人、業務によって使用する機能までの操作ルートが迷いなくできること。

目的としたデータに行きつくまでのルート(操作方法)が整備されていること。

清潔(SEIKETSU)

整理・整頓・清掃が行き届いたきれいな状態を維持すること。

定期的な業務の見直し、新事業・業務改廃などのタイミングでシステムの見直し・改修・改善を行うこと。

躾(SHITSUKE)

整理・整頓・清掃・清潔が守られるように利用者を教育すること。また、作業手順やルールなどを定期的に見直し改善、改修を行うこと。効果的なシステムがあっても、生かすも殺すも利用者次第。担当者の交代に合わせて引き継ぎがされ利用手順、運用ルールレベルの維持が行われていること。

 

基幹システムにおける5Sを有効にするためのポイント

5Sが倉庫作業においても基幹システムにおいても重要であることは大半の人が理解できたことでしょう。

ただ、それを継続し定着させるのは難しいことです。基幹システムにおける5Sを定着させるにはどうしたらよいでしょうか。

例えば、発注業務において発注担当者が急な病気で休んだ時の業務のフォローをシステムが手助けしてくれたら…。いつも発注している商品があり、休んだ担当者任せになっていた場合に「いつもの商品が発注されていませんよ」などと警告メッセージをシステムにログインしたときに知らせてくれたら発注漏れが発生することはありませんよね。これであれば誰が見てもわかりやすく、すぐに対処できます。その結果、発注漏れ発生することがなく必要としている得意先にも迷惑がかかることはありませんし、信頼を落とすこともありません。

ある業務シーンでは、営業会議に必要な得意先商品別の売上実績、粗利、販売推移情報が見つからず出力可能な機能を探し出すまでに時間がかかっていました。加えて、出力できたデータも加工しにくいデータであったため、さらに時間を要してしまいました。

そこで、この企業では、5S、中でも「整頓」に注力し、システム内のどこにどの機能を置くかルールを決めたのです。使用頻度が高い機能は、機能メニューの上位に置いたほうが効率的でしょう。反対に使用頻度が低いものは下位に置くほうが合理的です。定位置が決まったことで、必要なデータを探す無駄な時間を削減でき、生産性を向上できます。

最後に、基幹システムにおける5Sを有効にするためのポイントを見ていきましょう。

  • 活動の目的を明確にする

5Sを実施するのは各業務における現場の担当者です。企業の上層部や部門責任者が5Sをスローガンとして掲げても、実施する担当者のモチベーションが低ければ定着はしません。担当者のモチベーションを高めて5Sを定着させるには、まず目的を明確にする必要があります。「何のために5Sが必要なのか」理解が深まれば行動に移しやすくなります。また、5Sの目的だけでなく、どんなメリットがあるかも担当者に伝えると、より積極的に取り組むようになるでしょう。

 

  • 維持・修正を繰り返す

基幹システムの5Sも倉庫作業の5S同様、続けなければ意味がありません。維持するためには、運用ルールの定期的な見直しや改善が必要です。企業の方針や状況、人員は時代とともに変わります。環境が変わるたびに運用ルールも機能仕様も変更していかないと、業務や作業がやりにくいケースも出てくるでしょう。

定期的にPDCAサイクルを回し、その都度運用ルール、機能仕様が適切か判断して修正・改善を加える必要があります。

さいごに、くり返しになりますが、5Sとは、整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字を取ったもので、業務を効率化するためのルールです。5Sが実現された基幹システムであれば生産性が上がり、社員のモチベーション向上にも繋がります。さらに、作業漏れ、入力ミスなど運用事故のリスクを回避できます。

5Sを定着させるためには活動目的を明確にし、環境の変化に合わせて維持・修正・改善を繰り返していきましょう。倉庫作業における5Sの活用を基幹システムにおいても実現できる、そんなシステムをお探しであれば、テスクのGROWBSⅢがおすすめです。

データの連携性や帳票デザインの変更しやすさなどは業務の見直しに最適です。業界標準の運用を採用し5Sの継続が可能なシステムとしてご用意しています。

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2021/7/9