基幹システムが便利になるExcel出力 Excel出力できないなんて…
基幹システムとExcel出力の関係は、主に分析や判断のために情報を読む道具として帳票出力の代わりにエクセルを利用することを想起しますが、入力のための出力という側面もあるのです。
黎明期のコンピュータでは、データを1レコードずつ画面から入力していましたが、現在ではメール等でデータを入手しExcelを利用して加工した後に基幹システムへの取込処理をする場合が多く見受けられます。
しかし、当然ですがExcelのデータは基幹システムの制約を受けていない場合が大半ですので、取込処理を実施する時に基幹システムとの整合性をチェックさせなければ、悪くすれば基幹システムがアベンドして主要業務に甚大な障害が発生する事態が起こります。
このデータ取込に起因する重大な事故を防止する機能がExcel出力なのです。
一見すると取込と出力は関連性が薄い様に思いがちですが、事故防止の要ともいえるのです。本ブログではこの“要”を解説します。
基幹システムへのデータ取込の為のExcel(エクセル)出力
言うまでもなく、コンピュータを利用することはデータを加工することと同義ですので、コンピュータにとってデータ取込は不可分です。
ごく稀に内部で加工したデータを処理して利用することは有りますが過程に過ぎず、やはりデータの取込がスタートなのです。
つまり、いかに良質なデータを取り込むかが結果の良否に多大な影響を与えるのです。
そもそも、データ取込の目的は、①入力作業負荷の軽減、②入力作業の高速化、③入力ミスの防止、④ベリファイ行為の削減 等です。
これらに合目的的な方法は変更のために必要な部分の新たな入力を極力減らすことです。
言い合えれば、基幹システムの持つデータを利用して、必要な部分のみに限定した修正を行うのですが、黎明期の様に1データずつ画面に呼び出して修正する方法は最早現実的ではないので、基幹システムからデータをExcel出力して必要最小限の修正を加えて基幹システムへ戻すことが現実的なのです。
当然のことですが、戻すつまり基幹システムがデータを取り込む処理では、基幹システムによる整合性のチェックを必ず実施します。
元はと言えば基幹システムに登録されていたデータを部分的に加工する手順を踏むことにより、基幹システムのアベンドを回避することが可能になります。
基幹システムが必要なExcel出力一元管理
Excelの便利なところは、過去に作った膨大なフォームの流用が可能で簡易な修正ならゼロコストで行えることです。
しかしながら、便利さゆえに個人毎且つ作成シート毎にデータが存在し、当然ですが自動的には更新されないので、データの新旧が混在した中で「先祖返り」が発生し、正確性への重大な懸念が発生するのです。
この様な事態は情報システム部門の管理監督が及ばないデータが氾濫することにより顕著になります。
企業の重要な意思決定に負の影響を与えるのみならず、対外的なデータ提供が間違っていると信用にかかわることも発生します。これらの事態を避けるためには、データの一元管理を徹底する厳格なルールを策定して、関係するメンバーに順守させるより方法はないと推察します。
この際に中心となるのが基幹システムに格納されている一元管理されたデータであり、Excelでデータを利用する時には基幹システムから最新の状態のデータをEXCEL出力するのです。
そして、利用済みのExcel出力されたデータは速やかに消去して、個人や各部署で2次利用や3次利用をしないことも必要でしょう。
Excel機能の便利さゆえに再利用への誘惑は容易に理解できますが、時に重大な被害をもたらすことを考慮すると、再利用は賢明ではないことが明白です。
また、中には個人や各部署内でExcelが更新されて更新内容が基幹システムに入力されず、基幹システム格納データが古かったりする現象が発生します。
言うまでもなく、基幹システムに格納されているデータは最新の状態が維持されていなければならず、その為には場合によってはExcel利用を制限することも考慮されなければならないでしょう。
Excel出力で変わる基幹システム
Excelを利用する場合には、基幹システムの一元管理されたデータを利用することが、管理やメンテナンスの業務効率を向上するのみならず、不整合などの弊害防止に役立つのですが、同様に基幹システム側もExcel出力が容易に実施できるように改善されなければなりません。
例えば、基幹システムでは持っているデータ項目で計算すれば値を得ることができる項目は保持しないようにすることが多いのですが、Excel出力が高頻度になれば、Excel側で関数を利用して値を得ると計算式違いを理由とした間違いの発生頻度が上昇するので、回避措置として利用頻度の高い計算結果項目を基幹システム側で保持するように変更することを考慮することが重要です。
また、法令の改正等を理由として計算式が変更されることがあります。
この際にExcelで計算を実施していると関連するExcelシートを全て変更しなければならなくなり、変更間違いや変更漏れが発生しやすく、業務が非効率になります。
したがって、この問題を回避するには、基幹システムにおいて結果を出したデータをExcel出力することが必要になります。
Excel出力と基幹システムの未来
製品の改廃が激しいIT業界ですが、Excelに関しては暫く存続するようですので、Excel出力と基幹システムも維持発展することが予測されます。
当然ですがExcel出力には情報漏洩のリスクが付きまとうので、漏洩してはならないデータはExcel出力ができないような利用制限や、利用者への啓蒙は実施済みであると推測しますが、Excel利用の氾濫は情報漏洩のみならず、古くなったり改ざんされていたりする不正確なデータが正規データと混在して、情報の信ぴょう性に重大な懸念を生じかねません。
したがって、Excelで利用するデータは常に最新の一元化された情報源からExcel出力することを管理徹底する必要があります。
つまり、重要な情報については個人やユーザー部門で管理やメンテナンスすることを避ける方策を取る必要があるのです。
とは言えことわざに「羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」がありますが、漏洩や誤用を避けるためにExcel出力を制限すること、
つまりExcel出力できないは企業運営の効率化を阻害するので、Excel出力は節度ある範囲で利用すべきです。
漏洩の防止と誤用回避が為されることが基幹システムにとっても“要”となるのです。