値引き合戦に参加しない企業の強さの秘密

KEYWORD :

 ~賢くなったお客様は、価値のあるものしか買わなくなった・・~

 バブル経済が崩壊し、小売業の需要と供給のバランスが逆転したと言われて早20年以上になります。現在小売業がおかれている環境は、完全なる供給過多・オーバーストア状況です。仮に大手の小売業の1社が倒産しても、消費者は一向に困らないというのが今の状況を表しているのではないでしょうか。この供給過多・オーバーストア状況になると、何が起こるかというと・・

  • 企業間の激しい競争の勃発
  • 価格下落の発生
  • 品質向上の争い

が必ず発生します。こうなったら、もはや体力勝負です。こうならない為の戦略が、これから小売業には必要です。

現在は消費低迷と言われていますが、私は実はそうではないと思っています。賢くなったお客様が価値のあるもの(欲しいと思ったもの)しか買わなくなったのです。だから値引き合戦に参加しない企業の戦略の方向性は、安売りに走るのではなく、お客様にとっての価値のある品揃えをし、高くても買っていただける環境を提供するところにあるようです。

 値引き合戦に参加しない価値訴求型を目指す小売業が48%と約半数  ~当社アンケート結果

■小売業各社の戦略の方向性は?


当社で実施したアンケートでも、ディスカウント型(値引き合戦に参加)で勝負すると回答した企業16%に対し、価値訴求型を目指すと回答した企業が48%と大幅に多い結果となってます。これは、価格競争に入ると・・

  • 利益が減少する
  • 人件費以外のコスト削減、経費の抑制に入る
  • 人件費の削減に入る
  • 従業員1人あたりの作業量が大幅に増える

という、まさに体力の消耗戦に入っていき、勝敗が決するまで、お客様の奪い合いをするしかなく、最終的には圧倒的に体力のある企業が有利になることが分かっているからではないでしょうか。

また、ある調査では、価格にこだわる人は「多くの同業他店に出入りする」という回答が圧倒的に多く、品質にこだわる人は「お店を限定している」ケースが多いという結果になっています。この調査結果は「価格にこだわるお客様は固定化は困難」ということを示唆しており、価格競争の怖さを浮き彫りにした結果だと思います。

値引き合戦に参加しない強い企業事例

企業事例1: 競争の起きないマーケット構築 ~買い物の楽しさを提供

■ 競争のないエリアで勝負

激しい競争が勃発する中、逆の発想で「競争しない」戦略をとった事例です。競争がおきない自店だけのマーケットを創り、お客様と強い関係を築くことができました。

品揃えの珍しさとボリュームで勝負

この食品小売業は、出店先のほとんどが都心の百貨店内や駅ビルやファッションビルの中。そして注目の競争していないところは“品揃え”。どこにも売ってないような珍しいもの(特に高級品)がズラリと並んでいる。例えばレトルトカレーなら、全国各地のとても他店では売ってない珍しい商品がズラリと並んでいます。そして味噌なら100種類、しょうゆは150種類とあり得ない品揃え。価格に関しても比較的高額品が多く、高額にもかかわらず、例えば500円以上のレトルトカレーが飛ぶように売れています。一般的には、商品のアイテムは集約していく企業が多いなか、立地や客層によっては有効な手段となります。

お客様は豊富な品揃えの中から商品を選ぶ楽しさと、見たこともない珍しい商品を見る楽しさで、心から買物が楽しくなります。見事なお客様を飽きさせないしくみづくりと、新商品の発掘能力であると思います。他店との違いや独自性を明確に出し、見事に競争がおきない自店だけのマーケットを創り、お客様と強い関係を築くことができている例だと思います。

企業事例2: お客様の心に潜在化している満足感を顕在化

シチュエーションを提案し、満足感を顕在化

あるスーパーマーケットでワイン販売コーナーをつくり説明員を置きました。試飲をお勧めしながら「お二人の何か記念日に、お洒落に乾杯するピッタリの評判のワインです」とか「がんばった自分へのご褒美に、お洒落に飲む方が多いですよ」といったシチュエーションを提案し、さらにワインの選び方や美味しいワインの見分け方をガイドすることで買物の楽しさも提供し、見事に高荒利のPBワインを大量に販売することに成功しました。

勝手にリピートするしくみも構築

また、これをPBで実践したところが見事で、荒利も当然高いうえ、NB商品のように、ネットで安い商品を探して、そちらでリピートするという現代特有のリスクも低い。PB商品の品質、見映え、味が揃っていれば、次は説明員やマネキンがいなくても、また同店でリピートいただける可能性が極めて高いというわけです。

生みの苦しみといいますが、こういった努力を数回するだけで、あとは自然に口コミやリピートで売れるしくみが構築できるという「高く売る努力」の典型的事例ではないでしょうか。

 

 

今回は、値引き合戦に参戦しない強い企業にフォーカスしてみました。

確かに消費者は安いものを求めてるように見えます。しかし本当にそれだけでしょうか?これまで紹介した事例のように「高い価値」を求めている人やそれが潜在化している人が多くいるのではないでしょうか?

手っ取り早い方法だからといって、安売りに走っていませんか?

安売りの前に、まだまだ打てる手や出来ることは沢山あるのではないでしょうか?

 2013/7/25