卸売業に求められていること それは”チャレンジ”

卸売業に求められていること それは”チャレンジ”

 ~卸売業は、小売・消費者の立場を十分理解し、WinWinWinの関係を築くことが重要~

世の中は今、景気停滞、グローバル化、競争激化による売上を圧迫する要素、多品種・小ロットでの出荷要求や賞味期限管理・トレーサビリティといった食の安全への要求、そして環境問題への対応といったコストを押し上げる要素と・・ 本来企業が向かうべき増収増益とは全く逆の要素が企業を襲っています。

そんな状況の中、勝ち抜いていくには、自社の売上や利益の追求だけにとどまらず、得意先である小売業やその先の消費者の立場を十分理解し、WinWinWinの関係を築く事が重要になります。

卸売業に求められていること それは”チャレンジ”

では、小売業や消費者は何を求めているのでしょうか?

【小売業】

  • とにかく安く仕入たい
  • 欠品して欲しくない(特に売れ筋商品)
  • 競争力をつけたい、収益を確保したい

 

【消費者】

  • 安全、安心な商品を購入したい
  • 安くて良いものを購入したい
  • 必要な時に必要なものを必要なだけ購入したい

というようなところではないでしょうか。

 

これらの要求に応えるには・・

  • 徹底したコスト削減(効率化・生産性向上・ムダの排除)
  • 消費者が求める真の情報入手とその対応
  • 市場の動向、地域密着情報の入手とその対応

決して、国や法律、メーカーの方を向くのではなく、得意先や消費者の方を向き、その立場にたって考えられるかが、この状況の中、勝ち抜く方法だと思います

その中でチャレンジしている企業が成長をしています。

 小売業のロスを2%減らした ある企業の事例

■ある豆腐屋さんの事例

このお話しは、ある大手スーパーマーケットでの実話です。

日本でも自社マーチャンダイジング力の強いと有名なこのスーパーでは、商品管理にはかなりの自信を持っていました。

そんなある日に業者である豆腐屋さんが、「実績データをいただければ、売上・荒利を保障するから売場を任せて欲しい」と言ってきたそうです。

それに対しそのスーパーは、それは面白い!と、本当に売場を任せてみたそうです。

すると・・ なんと、売上増加はもとより、ロスが2%減り、荒利も向上するという結果がでました。

 

当然自社の商品管理にかかるコストも減っているわけですから、その効果は絶大です。

結果が出て嬉しい反面、自信を持っていた自社マーチャンダイジング力に苦笑いをさせられたのは事実です。

そのスーパーの責任者は「餅は餅屋や・・」と一言おっしゃり、その豆腐屋さんへの信頼・信用は絶大となり、取引が固定化された事は言うまでもありません。

 

この豆腐屋さんは、スーパーからPOSの販売データを入手し、傾向を分析したうえでの価格・品揃えを実施し、元々持っている地域密着情報(行事等)を加味して結果を出しました。

売上・荒利を保障するというリスキーな手段に出て、不安はあったでしょうが、それだけ生き残りをかけた真剣さが結果を生んだといえます。

他がやれない事を実施した勝利です。

 

アメリカのスーパーでは、分類単位で売上・荒利を任される専門職が社内にいるそうです。

日本のスーパーではバイヤーと呼ばれる人が何から何まで担当しています。

 

その専門職の部分を卸の専門家が実施すれば成功する確率も高いのではないでしょうか?

POSデータを共有し分析し、自社のノウハウをお客様に提供する。

IT投資と企業力の見事なコラボレーションでチャレンジした成功事例だと思います。

在庫削減できるのにやらない理由 『やれない理由より、やれる方法を』

■ 在庫削減を行うには

倉庫にたくさんの在庫を抱えている企業ほど、欠品が多いっていう傾向にある事をご存知でしょうか?これは、在庫が多いがゆえロケーション管理ができていなかったり、発注ミスが頻繁におこったりする事が原因ではないかと考えられます。

『在庫=お金』 とか 『在庫は経営を圧迫する』という言葉は経営者がよく口にする言葉です。

確かに、もし在庫ゼロを実現できたら、欠品ゼロ、ピッキングなし、管理ゼロと、いい事づくめです。 

しかし、やみくもに在庫削減を実施すると、発注を減らす事から始めるため、大抵は主要商品の品切れ等の弊害の方が大きくなります。

 

このように在庫にはいろいろな変動を吸収するバッファーとしての機能があるため、在庫をいきなりゼロにするようなことは、かえって現場を混乱させ、トータルの在庫量を増やす結果にもなってしまいます。

ですから大切な事は、商品毎の適正在庫を把握し、それを実現・維持する事です。

今のコンピュータの能力からすれば、過去の統計と傾向から適正在庫をはじき出す事は難しくないですし、かなりの精度で数値をはじき出す事ができます。

 

では、なぜやらないのか?それは、基礎となる在庫管理がまともでないからです。

正しく正確に在庫の把握ができていない為、システム化したところで、正しい結果が生まれないとういう懸念があり、踏み込めない・・ 

また、やれない理由を正当化するのはいたって簡単なので、やらなくて済んでいるんです。

まずは、やれない理由より、やれる方法を考え、基礎となる在庫管理をきっちりとするところで、初めて在庫削減のスタートラインにたったと言えるんではないでしょうか。

本当のムダに気づいていますか?

■ 以外な結果に驚き!

感覚や憶測レベルでムダを探していっても、それこそムダ!たかがしれています。本当のムダを発見するには、データ取りや調査から実施する事をおすすめします。これからある事例をご紹介します。

ある食品加工業者の例です。

 

白菜を1/4にカットし、それを袋詰めし、ラベルを貼り、箱詰めする。この会社では・・

① まず、白菜をいっきに1/4にカットしていき

② 次に、いっきに袋詰めし、

③ 次に、いっきにラベル貼りを実施し

④ そして、箱詰めをしていく

という、各工程毎にいっきに実施する方法をとっていました。

そこへ専門家よりの指摘で、1個ずつカット→ラップ→ラベル貼り→箱詰めと流れ作業で実施した方が効率的だと言われました。

言われた現場は絶対そんな事はない!今のやり方の方が効率的だ!と口を揃えていったそうです。

 

そこで、ストップウォッチで時間測定をしてみたところ、なんと専門化の言う通り圧倒的に、1個ずつ流れ作業で実施した方が早かったそうです。それどころか、いっきに実施する方法は場所もとるので、作業場所の改善にもなったといいます。

いかがでしょうか?

いかに感覚や憶測がムダであるかがお分かりいただけたと思います。

 

ではもう一つの事例を・・

ある会社では、コンピュータより多くの帳票発行を実施していました。

何の疑いもなく毎日毎日ルーチンワークで実施していました。

そこでそれらの帳票を誰がどのように使用しているかを調査した結果、全く見ていない利用していない帳票が30%以上あったそうです。

前の上司から言われ発行し、ずーと綴じてます。

って・・こんな人件費と紙のムダはないですね!この会社は重複帳票やムダな帳票を徹底調査し、300あった帳票が50以下になったそうです。

 

このように目の前に気づかないムダは多く存在しています。

ストップウォッチを片手に現場へ出て徹底調査してはいかがでしょうか?

チャレンジするかしないかが分かれ目

■ 成長している企業の共通点

私たちは仕事がら多くの会社と経営者の方々にお会いしてきました。

では、すごいと言われる成長企業は、他社と何が違うのか?と考えた時、真っ先に感じるのは、先ほどの豆腐屋さんではないですが、確実に他社の何倍ものチャレンジをしているところです。失敗や撤退も多いですが、その数多くのチャレンジの中から、成功し成長しているのは間違いありません。

そして、皆さん口を揃えて、あの失敗やあの苦い経験がなければ、この成功はなかったと言います。

 

景気が悪いからとか、今はコストがかけられないとか、できない理由を正当化するのはいたって簡単ですし、とても楽な道です。

時間ができたらとか来年からといった話をよく聞きますが、それは「やらない」と言っているのとほとんど同じです。

 

「明日からやる」という人にはいつまでたっても明日が来ない・・ というのをよく目撃します。そんな中、どんどん世の中は変化していってます。

現在の時代の流れは早く、消費者の心理も社会もどんどん変化していきます。

ダーウィンは「この世に生き残るものは、最も力の強いものでも、最も頭のいいものでもなく、最も変化に対応したものだ」と言ったと言われています。企業も人も例外なく当てはまるのではないでしょうか?

ちなみに、みなさん(または会社)は3年前と現在とで、変化していますか?

 

3年前と同じ事をしてないでしょうか?もし、3年前と同じ事をしていたら・・若干問題かと思います。

なぜなら、3年前と同じ事をしている場合、統計上の話ですが、3年後も同じ事をしている確率が極めて高いからです。進化論のダーウィンに言わせれば、生き残れないという事になります。

今こそ、得意先や消費者のために、真剣にコストダウンをはかり、生産性を向上させ、品質改善をはかり、他社との差別化・独自化を実現するタイミングではないでしょうか?