Web商談ツール~その機能を活かして、より付加価値性の高いオンライン商談を実現

コロナ禍の始まりからちょうど一年が経過。この間私たちのビジネスのスタイルは以前とはまったく異なったものにならざるを得ませんでした。対面商談は制限され、制約下で得意先・取引先との関係をなんとか維持してきました。リモートツールも活躍し様変わりした商談のスタイル。しかし、何か物足りない部分が確かにあります。この一年の変化を見て、これから先の商談コミュニケーションをどのように変化させていくべきか?

新しい年度のスタートにあたり、一度考えておこうと思います。

Web商談で増えるメールと電話のコミュニケーション

小売業と卸売業、卸売業とメーカー、それぞれの取引に伴う商談では数々の情報がやり取りされます。主には商品情報やこれを売買するための情報です。商品の仕入れ(売り手にとっては販売)だけを考えれば、これらのデーターを相手先に届け、採否やその結果、理由のみをやりとりする事務的なメール・コミュニケーションだけでビジネスは完結するはずです。しかし、実際のビジネスでは、こうした商取引情報の交換だけでなく、対話と交渉、時には駆け引きにより、さらに有利な取引条件を引き出したり、市場や競合の動向など自社のビジネス展開に役立つ情報を聞き出したりします。そして、コロナ禍で対面商談が制限される中では電話やWeb商談がこれを補助しています。

従来の対面商談という手法をメールやWeb商談という手段に置き換えたことで、明らかに商談に要していた出張交通費や出力代などの経費、人件費などが大幅に軽減されています。この一面だけを取り上げてみれば素晴らしい変化ですが、一方、皆さんが実感されているように取引先とやり取りするメールでのコミュニケーション量が増え、送受信するデーター量も増え、明らかにパソコンで処理する業務も多くなってきています。

そこで、このような煩雑化する業務を効率化させるために登場するのが、Web商談システムです。

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商談実務を効率化するWeb(ウェブ)商談ツール

作成した提案書や見積もり書を持参して時間と経費をかけて会社を訪問。資料をベースに企画や製品を説明し提案、質疑に答え、宿題や課題を持ち帰る。取引が成立したら契約書を交わし双方で捺印。発注していただくのに必要な商品データーはExcelシートに入力してメール添付で送付。簡単に挙げたのは、これまでの商談プロセスですが、いまの時代、これらの業務はすべてWeb商談ツールで処理できる作業です。例えば、当社テスクが提供するWeb(ウェブ)商談ツール「商談.net」は、以下の流れで商談の中の商品提案業務の効率化を図ります

・取引先に対し商品の仕入れ担当者が提案依頼をかけ、取引先が商品企画の提案を行う

       ↓

・仕入れ担当者は提案された商品について採否を決定

       ↓

・採用が確定した商品については、取引先から送られてきた商品データーを基幹システムに取込み、収納

上記のフローにより、仕入れ担当者が商品マスター登録を行ったり、商品改廃に伴いマスターをメンテナンスする作業は必要ありません。加えて、提案に付帯する商品画像データーや提案書、製品カタログ等の資料、売買契約書、棚割りデーターなどもあらかじめ設定された然るべきフォルダに格納され、忙しさにかまけて乱雑になりがちな仕入れ担当者のパソコンのデスクトップ画面もきちんと整理された状態が維持できます。これらの商品提案プロセスをひとつのツールでまかなう為、数種類のアプリケーションを同時に立ち上げて処理する煩わしさがありません。また何より、これらの取引データーは統一データーベースで共有化される為、部署異動が生じたとしても、業務を引き継ぐ後任担当者が過去の取引履歴や経緯をすべて掌握した上で取引を円滑に継続していただけます。Web商談ツールとは、このようなものです。しかし、これらはあくまでも商談実務を効率化するものであって、付加価値を創造するための活用方法ではありません。業務は効率化を追求し、今後はさらに付加価値を生む商談コミュニケーションをこそ目指す必要があります。

付加価値を生む商談コミュニケーションとは?

では、付加価値性の高い商談とはどんなものか?それは、文字通り、粗利益、営業利益に寄与する商談ということでしょう。小売業にとってみれば、一客当たりの購入額を引き上げ、坪売上げや粗利を上げて部門損益を改善させ、あるいはさまざまなロスを削減する。取引先とそのような情報や知恵の交換ができる商談のことと言えるでしょう。

情報は大きくInformationとIntelligence に分けられますが、商品のスペックや棚割り情報、販売実績などデーター化できるものはInformationです。また、その商品がどのようにすれば売れるか?などMDや販促の手法などは文書化して形式知として伝えられるものもあれば、「こういう場合には、こうした方がいい」という経験から生じるknow howやdo how という暗黙知もあります。これらはIntelligence に分類されます。InformationだけでなくIntelligenceが行き交う商談は、小売業のみならず、取引先側にとっても大きなメリットを生みます。実は、こういったWin-Winの関係を生む商談コミュニケーションもWeb商談ツールで実現が可能です。では、具体的にどのような取り組みが必要なのでしょう?

情報開示で取引先と協業

そのひとつは小売業側と取引先双方でひとつのテーマ(課題)を決め、その課題を解決する動きをつける共同作業なのではないでしょうか?協業と言っても良いでしょう。たとえば、食品部門であまり商品が回転していない定番棚があるとします。どうも味噌の棚の動きが悪い。粗利額も低下している。活性化したい。従来であれば、棚替えシーズンの前に、帳合先に新商品も含めた棚割りの提案を求めます。帳合先はメーカーからの新商品提案も組み込みながら、なんとなく新鮮(に見える)な棚割りプランを提案してくることでしょう。

しかし、データーを有効に活用できるこの時代、小売業が積極的にデーターを開示し、さらに突っ込んだ企画の提案を求めることも可能です。小分類(クラス)レベルでの粗利改善の目標を設定して、以前と比べてどの程度粗利が低下しているのか、単品レベルの数量PIはどうなのかなど、POS販売実績をベースにするデーターを示し、取引先が持つノウハウから提案を求めても良いと思います。

必要であれば、問題のある店や売場の担当者にスマホで売り場の写真を撮影して貰い、その画像イメージをWeb商談ツールで共有し一緒に改善の知恵を練る。余談ですが、特にメーカーにとって、特定チェーンでの全店の売り場で自社製品が陳列されている画像は、喉から手が出るほど欲しい生の情報、という話を大手メーカーのマーケティング担当者から伺ったこともあります。POSデーターなどの定量データーや売り場の実勢実情を示す定性データーを積極的に取引先に開示し、取引先が持つ知見やノウハウで問題解決を目指す。使い方次第で、こんなこともWeb商談ツールでは可能です。

Web商談ツールでの気軽なコミュニケーションで付加価値創造

前述の様な問題解決プロジェクト型のようなコミュニケーションもあれば、取引先とのもっとお手軽・気軽なコミュニケーションで付加価値を創造できることもあります。例えば、たまたまテレビの情報番組で紹介されていた、自社では扱っていないこだわり素材のドレッシング。

これを当社で販売できないか?扱えるところはないか?と各取引先に一斉同報機能を使って提案を求められるのもWeb商談ツールならではの活用方法です。

鶏肉コーナーが最近寂しい。何かとクロスMDしたい。いま、何がトレンド?など、まるでSNSやチャットで会話するように気軽に散在する知恵を集め、自社の収益につなげていく。これも付加価値性の高い商談コミュニケーションと言えるでしょう。

このような課題の投げかけを積極的に行い、自部門の売り場を活性化させ部門損益を向上させる企画やアイデアを取引先から引き出し、一緒にPDCAのサイクル回す。小売業の仕入れ担当者は、バイイングだけを行う専門職ではなく、付加価値生産性の高い売り場を作るマーケッターにならねばならない。そんなイメージが必要になってきているのではないでしょうか?

オンライン商談ツール~その機能を活かして、より付加価値性の高いオンライン商談を実現 まとめ

・オンライン商談ツールで合理化できる事務的な商談業務は、徹底的に合理化。(例えば、提案資料の送付、商品の提案、商品マスター情報の登録、発注業務、契約文書のやりとり)

・協業思考で取引先とテーマ(課題)を決め、Web商談ツールを活用して小売業が積極的にデーターを開示。ゴールに向けてプログラムを進行、PDCAを回す

・オンライン商談ツールのコミュニケーション機能を使用して、気軽に取引先から知恵やアイデアを引き出す

対面商談が制約される中、IT技術を積極的に活用しましょう。それは業務を効率化させるにとどまらず、付加価値向上という流通業本来の目的に沿った活用方法もあるはずです。

これらは「言うは易し、行うは難し」かもしれませんが、今後、小売業であれ卸売業であれ、流通業として生き残りを図るのであれば、商談コミュニケーションの形態を大きく変化させていかなければなりません。そこでは自社のことだけでなく、取引先とのWin-Winの共存関係を築ける<サプライチェーン全体>のことも考えていく必要があるのではないでしょうか?

2021/03/26