生鮮EDIとは?目的や効果、その先のデータ活用までご紹介
生鮮食品の取引においてもEDI化すべきだと理解しているにもかかわらず、未だFAX・電話で情報交換をされている小売業様もおられると思います。
今回は改めて生鮮食品部門のEDI化の目的や効果、またその先のデータ活用について考えて行きたいと思います。
生鮮EDIとは?
生鮮EDI とは、簡単に言えば、生鮮部門のEDI化です。
インターネット技術を使った、取引情報のEDI化は、情報を電子化することで成立します。
電子化された情報は、正確かつ迅速に相手に伝えられるばかりでなく、検索や集計を瞬時に行うことを可能とします。
一般食品においては、事前にお取引先様と小売業様とで取り決めた価格で受発注を行うため、1980年代以降、JCA手順による受発注データのオンライン化が急速に進みました。現在では流通ビジネスメッセージ標準(流通BMS®)がスタンダードとなっています。そのため、各店舗からの発注数を電子的に集約する仕組みも多く開発されています。
一方、価格が変動し、産地、規格・等級、数量の変更を余儀なくされる生鮮食品においては、情報の電子化が遅れ、一般食品と比較すると大きく遅れをとったことは言うまでもありません。
小売業様が生鮮EDIシステムの導入を推進するべき理由として、「お取引先様と小売業様の正確かつスピーディーな情報交換」、「仕入伝票処理の省力化」、「仕入金額確定の早期化」、「脱・紙」などが挙げられます。
FAXや電話での市場情報や発注のやり取りをされている小売業様にとってはどの理由も大きな効果をもたらすと同時に大きな業務効率の改善が見込まれることでしょう。
また、令和4年1月1日施行の電子帳簿保存法改正では、(令和4年度税制改正大綱で2年の猶予期間を設けることになりましたが)紙の保存にかかるコストや事務負担を軽減するため、特例として認められていた電子データでの保存が更に緩和され、経理の電子化による生産性の向上・記録水準の向上が図られることになります。
最近ではコロナ禍の影響によるリモートワークへの対応やDX化の推進により企業のデジタル化はますます進化しようとしています。
こうした環境を考えると、生鮮食品のEDI化についても、デジタル化の波に乗り、いかに業務変革を行うかが試されていると言っても良いでしょう。
とは言え、小売業様が生鮮取引も全てEDI化すると言っても、お取引先様もそれに対応して頂かなくてはなりません。
大手仲卸企業においては柔軟な対応が可能という場合も多いですが、小規模な仲卸様や生産者、加工業者様は対応に難色を示すケースもあることも事実かと思います。
したがって、小売業様とお取引先様の両者が協力しあい、取引情報のEDI化を促進する必要があります。
今まで多くの生鮮EDIの導入に携わって来ましたが、小売業様とお取引先様との協力体制や運用方法は千差万別でした。
情報をやりとりするための商品管理コード、出荷・検品情報の反映、返品時の対応、小口お取引先様の取引内容の対応など、小売業様とお取引先様とで無理なく確実に運用されるよう協議し運用されることによって導入効果を出されています。
生鮮EDIの導入メリットとは?
取引内容をEDI化することで一番はじめにメリットとして感じることが出来る点は、取引内容の検索、比較、集計がすばやく行う事が出来る点ではないでしょうか?
複数のお取引先様から発信される市場情報は産地、等級・規格、価格を比較・検討した上で、どのお取引先様からどの商品をどれだけ発注するか決められているかと思いますが、その情報がFAXや電話ではとても大変な作業となります。
また、本日入荷分の仕入れがどれだけあったのかを把握したくても紙の伝票を集計しなくては算出出来ない状態では日々行うことは難しいことでしょう。
こうした作業をストレスフリーに行う事が出来れば、それ以外の作業に時間を割くことが可能となります。
より細やかな商品管理や季節感のある売場作りを行うことができ、お店のファンを増やし、その結果、売上金額の増加に繋がるでしょう。
「生鮮EDIでデータ活用する」とは?
どの小売業様も売上金額及び荒利金額の目標値を設定し、その数値をクリアすべくご尽力されていることと思います。
お店毎にその特徴から増減はあるとは思いますが、食品の売上金額の4割近くを生鮮3部門(青果・水産・畜産)が占めており、粗利金額においては食品全体の5割を超える比率を目標設定するケースが多いと思います。
しかし、粗利金額を算出するためには在庫高金額を把握する必要があるため日々の数値把握は困難です。
そのため日々の数値把握に売買差益を利用されている小売業様がほとんどです。在庫高に大きな変動がないとみなしておおよその利益状況を把握するためです。
上記の部門別の目標とする粗利率はKGI(Key Goal Indicator:目標達成指標」)であり、部門全ての商品それぞれの粗利率ではありません。
青果部門で例えると、生食野菜、菌類、土物、柑橘類、輸入フルーツはそれぞれ違って来ますし、生食野菜でも丸物とカットでも違えば、店内パックなのかアウトパックなのかにもよって売価設定が変わっています。
その点においては一般食品とは大きく異なり単品レベルでの売買差益の算出が困難な場合が多々あります。
そのため、生鮮食品においてはクラス別、サブクラス別の差益の把握が重要となります。
自社のクラス分けとその商品構成を把握しつつKGI達成のプロセスとしてクラスごとの数値をKPI(Key Performance Indicator:業績評価指標)として捉えることで、重点的に取り組む課題を明確にすることが可能となります。
また、このようなKPIは企業内の評価プロセスとして使用出来るばかりではなく、店長やマネジャーによるフォローアップにも活用出来る指標となります。
【まとめ】生鮮EDIとは?目的や効果、その先のデータ活用までご紹介
いかがでしたでしょうか。
生鮮EDIから導入メリット、またデータ活用についてまでをご紹介させていただきました。
前日までの売上及び売買差益と本日入荷分の仕入れ金額から、どの売場を強化すべきか、時にはその時点までのPOS販売金額を確認しつつ対策を講じることもあると思います。
目標達成のためのこうしたPDCAをより短期により早く回すためにも仕入れ金額の正確かつ早期確定が求められます。
データコム社提供のサービス「生鮮発注EDIシステム Fresh O₂」では、日々のクラス、サブクラス別の仕入れ金額を確認出来るだけでなく、POS販売実績データを取込み前日までの販売金額、仕入れ金額及びその売買差益を簡単に確認することが可能です。
最終的には値入が複合的なクラス管理が求められ相乗積を活用する場面も多いかと思いますが、その元となる数値は生鮮EDIシステムの管理画面で確認することができ、また他のBIツール等を使わずワンストップで作業が完結できますので、ご活用頂ければ幸いです。
また、これから生鮮EDIの導入をお考えの小売業様においては、お問い合わせをいただければ、ご提供可能な範囲で他小売業様の運用内容も交えてお話しさせて頂きますので、是非お声がけください。