消費財向け販売管理にとって倉庫業務は最も奥が深い!
倉庫業務というのは単にモノを入れる・出すだけの業務ではなく、物流や商流も絡んでかなり複雑な業務もあります。
中にはシステム的にも対応しておかなければ運用にかなり無理が出てしまい、せっかく業務効率向上を目的に導入したにもかかわらず、かえって現場に負担がかかってしまう場合も…
今回は倉庫業務に焦点を当て、販売管理システムにはどういった機能が必要なのかを解説していきたいと思います。
目次
消費財向け販売管理業務にとって倉庫とは
「倉庫を持つ」というのは卸売業の存在意義の1つでもあります。倉庫は、企業様によってさまざまな形態があります。
まず物理的なところを挙げていきましょう。
例えば、扱う商品の数量、価格帯、企業規模などで倉庫の設備が変わります。
ベルトコンベヤーがあったり、巨大な自動ラベル読み取り機があるところもあれば、フォークリフトが何台もあるところ・・・また、キャッシュ&キャリー(現金卸)をされているお客様の倉庫にはレジが設置されているところもあるでしょう。アイスや冷凍食品を扱うところでは冷凍倉庫をお持ちになる場合もあります。
そういったさまざまな設備を持つ倉庫が、複数の拠点にある場合、「どの倉庫で」「どの商品を扱うか」「この得意先様の場合はどこから出荷するか」というのをシステム無しに管理するのはかなり骨が折れます。
さらに、こういった物流的な考え方の他に、商流についても考えなければならない、ということも忘れてはいけません。
次の章からは倉庫と商流についても見ていきましょう。
消費財向け販売管理特有の倉庫の考え方1 委託販売業務
卸売業様やメーカー様によっては、得意先のニーズに合わせるためにさまざまな在庫の持ち方があるのはご存知でしょうか。
例えば、委託販売業務。
一般的に、得意先に納品した商品は得意先の資産となりますが、委託販売業務の場合は納品をしても自社の資産と考えます。(得意先からは売上仕入・消化仕入と呼ばれます)
得意先の売り場から売れて初めて売上が立つので、在庫の管理と計上のタイミングが全くズレるというのがシステム上、1つのポイントとなります。
そのため、商品の移動と売上とを別々に考えられるシステムである必要があります。
【委託販売業務フロー概略】
- 商品移動フロー
得意先様発注≫≫自社受注処理≫≫出荷指示書発行≫≫ピッキング≫≫出荷修正・確定≫≫出荷(実際は移動のみ)
- 商品売上フロー
得意先様売上報告≫≫自社売上入力≫≫売上伝票発行
消費財向け販売管理特有の倉庫の考え方2 預かり売上
「預かり」は得意先から受注いただいて売上は計上しますが、商品は出荷せずに自社倉庫で預かります。物理的な話では、通常の保管場所とは別のところに移しておいたり、マークをつけておいたりして運用をされているところもあります。
システム的には “預り在庫”という架空の倉庫へ商品を移動して管理するという運用が多いのではないでしょうか。
ただしシステム上には別の倉庫として管理していても、営業や倉庫作業者が勝手に持っていってしまう、という話も伺います。
そういうことがあると当然在庫の数量は合わなくなってしまいます。
そのため倉庫を運用する上で必ず、システムや帳票で記録を残してから商品を動かすという運用の徹底が重要です。
【預かり売上業務フロー概略】
- 商品売上フロー
得意先様発注≫≫自社売上入力≫≫売上伝票発行
- 商品出荷フロー
得意先様出荷依頼≫≫自社受注登録≫≫出荷指示書発行≫≫ピッキング≫≫出荷修正・確定≫≫出荷(計上済みのため納品書の金額は0円)
消費財向け販売管理特有の倉庫の考え方3 預け仕入
「預け」とは仕入先の倉庫にモノがあるが、資産としては自社にあることです。そのため仕入先から商品を仕入計上はしますが、入庫はされません。
相場品で仕入値が安かったり、シーズン商品で今しか買えなかったり、大量に在庫を確保しておきたいが倉庫に入り切らないという場合にこういった形態をとることがあります。
この運用では商品の移動とは別に仕入入力させ、入庫に関しても別途移動入力が行える運用想定が必要となります。
【預け仕入業務フロー概略】
- 商品仕入フロー
仕入先様と商談≫≫仕入伝票発行≫≫自社預け仕入入力
- 商品入荷フロー
仕入先様入荷依頼≫≫入荷≫≫入荷検品≫≫移動入力(預け倉庫から自社倉庫へ移動)
消費財向け販売管理特有の倉庫の考え方4 倉庫別出荷頻度
いままでとは少し違う角度から倉庫について考えましょう。
これまでご紹介してきたように、さまざまな倉庫の業務がありますが、私個人としては倉庫の美化業務、というのもシステム的にかなり重要なポイントだと考えています。
なぜなら、「倉庫がきれいな企業は顧客満足度も高い」と考えられるからです。
と、いうのも、ある程度倉庫が大きくなってくると「どこに何を置くか」「どこから入荷してどこから出荷するか」というのも複雑になります。
少人数が倉庫で作業するのであれば「私がわかればそれでいい」状態で倉庫が整理されていなくても良いかもしれませんが、複数の人間が作業するのであればそういうわけにはいきません。
どこになにがあるのかわからず、導線も整頓されていなければ入出庫に時間がかかってしまいますし、ピッキングにもミスが起こりやすくなります。
また、発注をしようにも二重発注が発生してしまい過剰在庫になってしまったり、逆に欠品が発生して、チャンスロスや顧客の期待を裏切ってしまったりしてしまうことになります。
倉庫がきれいであることは、作業効率が高く、ミスが少なく、納品も早くできるため、顧客満足度の向上につながります。
そのためにはシステム上で商品の売れ筋・死筋や回転率を見られるようにしておくことが非常に重要です。
商品の在庫状態を確認できることは、単に商品の売れゆきやバイヤー業務に生かすだけでなく、商品の配置も見直すきっかけとなります。
回転率が高く、出荷頻度が激しい商品については出荷場の近くの出荷しやすい場所に配置したり、出荷頻度が低い商品は高い場所や奥のほうに置いたりすることで、限られた倉庫を有効に活用することができ、しかもピッキングミスが減り、作業効率も上げれば、その分かかっていた販管費も削減することが可能です。
こうした在庫状態の照会も、個人がExcelなどで管理するレベルではなかなか改善しないため、システム的に実装されているものが望ましいでしょう。
実は奥が深い倉庫業務のシステム化
このように、倉庫に関する業務は考え始めるとかなり深く、効率化を求めれば棚の置き方から商品の配置やピッキングリストのデザインなど、まだまだ考える余地があります。
こうした複雑な仕組みは1から構築していたら業界特有の業務に関しては特に確認漏れが発生しやすいため、ある程度形ができているパッケージシステムをご選択されたほうが良いと私は考えています。
しかも、自社の業種に特化したシステムにすれば、機能が標準装備されカスタマイズが少なくなり、低コストで導入期間も少なくて済みます。
ただし、卸売業様やメーカー様は得意先のニーズに応じて倉庫関連の業務が複雑になり、属人化しているところも少なくありません。パッケージに乗り換えて、業務をできるだけパッケージに合わすだけでも業務効率がぐっと上がりますが、どうしてもパッケージに合わせられない業務というのも存在します。
そういった業務をいかに洗い出し、どういった運用ができるか、またどういったカスタマイズが最も適切かを考えるにはそれ相応のノウハウをもったITベンダーとタッグを組むことが成功のカギです。
ここまで読んでいただいていれば、ご紹介した業務や必要な機能について、消費財向け販売管理業務の知識がないITベンダーが1から要件定義をしても、どこまで拾いきれるか、というのはかなり不安ではないでしょうか。
要件の抜け漏れを減らすためにもある程度業務知識のある営業やシステムエンジニアを探されたほうがよろしいかと思います。
そういった点を踏まえ、ぜひこれから顧客満足度を高くする倉庫構築、システム構築をご検討いただければと思います。