消費財向け販売管理システムに今後、求められること
近年では、クラウド、オムニチャネル、AI、IoTといった技術的な変化だけでなく、消費者ニーズにあわせ、情報の質やスピードを求められるように変化してきています。今後そうした変化の流れはもっと勢いを増すことになっていくでしょう。そういった時代ニーズに適応するためにはどういった販売管理システムを導入すべきなのでしょうか。今回は、今後消費財を取り扱う卸売業様や製造業様が販売管理システムへ求められるべきことを考えていきたいと思います。
目次
消費財卸売業、製造業が今後、求められることは?
スーパーマーケットやホームセンター、ドラッグストアで取り扱われる、食品や日用品をはじめとした消費財製品を取り扱う卸売業様や製造業様は、一般消費者と密接に結びついた商材を取り扱うが故に、軽減税率対応や、食品表示法といった法改正への対応はもちろん、消費者が求める情報開示などのニーズへ柔軟に対応していく必要があります。そういった企業的な変化に伴い、販売管理システムや生産管理システム、会計システムといった、いわゆる「基幹システム」も適応していく必要があります。実際そうした改修に都度コストがかさんで、頭を抱えていらっしゃる経営者様も多いのではないでしょうか。
また、団塊世代の退職ラッシュに伴い、社内の情報管理者も世代交代が始まり、少子化で人材も不足していることから、システム開発を他社にお任せする企業も増えていらっしゃいます。このような業界全体が今後求めるシステム性能のニーズはどんなものがあるでしょうか。
今後の販売管理システム1 ~変わるもの、変わらないものを見極める
働き方改革や、在宅業務など、働き方が変わっていく一方で、基幹業務というものは一般的には変わりません。例えば販売管理システムならば、受発注管理や在庫管理、売掛・買掛管理などの業務の流れは数十年前と今とで、あまり変わっておりません。そのため、まず販売管理システムに求められてきたのは安全性や堅牢性でした。データに不備があっては自社だけでなく取引先にもご迷惑がかかりますし、トラブルが発生してシステムが使えないということがあれば業務が成り立たなくなってしまうからです。これをご覧になっている方の中には「当社は今の販売管理システムを20年以上利用し続けている」という方もいらっしゃるかもしれません。いままでの販売管理システムとは、そういう長期的に、安心して利用できることが重要視されていました。
しかしながら、大きく変化していることもあります。流通BMSの登場や、RPAやOCRといった技術の波及、開示するデータについても、より早く、より正確なものが求められるようになっています。付いていくのもやっとだという企業も多いことでしょう。新しい技術を取り入れていくためや、顧客ニーズに対応するためのデータ連携のしやすさ、というのも重要になってきました。
また、情報システムの管理体制も変化していっています。例えばサーバー管理。以前は本社にサーバーを置き、万が一トラブルがあった場合はシステム担当者が対応したり、OSサポート終了の際にはリプレイスを検討したりしていました。しかしながらクラウドサービスが広まるにつれ、サーバーは社内に存在しないものとなり、管理工数も激減しました。
このように基幹システムは「データを管理する“変わらない機能”」と、「データを集めたり、出力したり、利用したりするための、“変わっていく機能”」とでしっかりと見極めを行う必要があります。そして変わっていく機能については固定的に考えず、変化ありきのシステム導入が必要です。
今後の販売管理システム2 ~SoR とSoEについて
システムの“変わらない機能”と“変わっていく機能”について見極めていく必要があるという話をさせていただきました。ここで、SoRとSoEという考え方について触れたいと思います。SoRとは「System of Record」、つまり、記録をするためのシステムという意味で、販売管理システムでいえばマスターのデータや受注データを保持するための機能です。さきほどだと「データを管理する“変わらない機能”」というのがこれにあたります。これに対してSoEとは「System of Engagement」、対ユーザーのためのシステムといった意味です。ユーザーとは得意先や仕入先といった社外のユーザーもいらっしゃいますし、社内で販売管理システムを使用する社員もユーザーです。社外のユーザーで考えると、注文するためのECシステムや、EDIシステムは、システムユーザーの業務効率を目的に導入されており、SoEの一種と考えて差し支えないでしょう。
また、社内のシステムユーザー視点で考えると、少し拡大解釈かもしれませんが、出先からも承認業務ができるようになるワークフローシステムや、入力業務を削減するExcelでデータアップロード機能などの仕組みも、そうしたSoE機能です。「データを集めたり、出力したり、利用したりするための、“変わっていく機能”」というのはこちらのSoEの考え方に含まれるものといえます。どんなにSoR機能が優れていても、データを入力したり、活用したりするユーザーにとって使いづらいシステムであれば、そのシステムは十分な力を発揮できません。
これからの販売管理システムは、このSoEを備えたシステムであることや、またはそういったツールとデータ連携をしやすいシステムであるか、というのも重要な要素になると思います。
今後の販売管理システムに求められること
販売管理システムに関連する業務というのは大きく変わりません。いままで通り、システムが安全で堅牢性高く使い続けることができることは必須ですが、しかしながら、今後の時代の変化についていくには、いかにデータを効率よく収集し、データを分析しながら「攻め」の武器として活用できるか、ということを考えていかなければなりません。そのため、データを集約して管理している販売管理システムが担う役割はデータの価値が上がってきた現代においてかなり大きくなってきています。
たとえば、欠品連絡をする際、販売管理システムで確認しても、メール連絡をしていることが多いですが、その場合、もし販売管理システムのメニュー画面に掲示板のような機能があれば、いちいちメールを開かずとも、システムを利用しようとした際に確認することができます。
たとえば、マスタメンテナンスを行うときに、同じメーカーから一括で料金変更があったとして、一件ずつデータを呼び出して修正するのではなく、Excelシートにダウンロードして、Excel上で修正をして一括アップロードできれば、修正の手間が大幅に削減されます。
システムのデータのメンテナンスや収集、活用するためにこのようなユーザー目線の機能があれば今あるデータのリアルタイム性、正確性が向上し、「攻め」の武器として活用いただくことができるはずです。
消費財向け販売管理システムに今後、求められること まとめ
今後の販売管理システムに求められることは、以下と私は考えています。
- データを管理する機能は安全で堅牢なシステムであること
- 変化を前提としたシステムであること(連携のしやすさ、多機能性)
- データを収集し、管理し、出力・分析するためのユーザビリティの高さ
今後も技術革新や、消費者ニーズにより、さまざまなツール導入やシステム改修を検討していく必要があります。だからこそ、ツールとの連携のしやすさや、データの入力のしやすさ、データの出力機能など、そういった面にも目を向けていく必要があるのではないでしょうか。日常業務ではなかなか販売管理システムを見直す、ということは無いと思いますが、これを機会に一度検討頂ければと思います。
最後になりますが、GROWBSⅢは流通業に特化して業務システム開発をおこなってきた当社が、SoRだけでなくSoEにも重きを置いて開発したシステムです。ワークフローやSNS機能など、業務に必要となりつつある機能だけでなく、高頻度に変更や追加がある「EDIの取引先追加対応」や「帳票のレイアウト変更」についてはお客様社内で対応ができ、入力工数を削減するためデータのEXCELアップロードやダウンロード機能といった便利な機能も多数装備しております。もしご興味をお持ちいただけましたら是非お気軽にお問い合わせください。
2020/9/25